夏の暑さで食欲が落ちていたわんちゃんも、気温が下がると食欲が増します。
パクパク食べる姿がかわいくて、ついついご飯やオヤツをたくさんあげていませんか?
肥満は多くの飼い主さんにとって悩ましいトピックです。
どうして肥満になってはいけないのか、どうやったらダイエットは成功するのか、詳しく解説します。
ダイエット経験のある犬は6割
ペットライン株式会社がダイエットに関する調査を発表しました。
愛犬のダイエット経験者にアンケートを取ったところ、ぽっちゃりしたわんちゃんのダイエット経験率は60.7%でした。約3頭に2頭がダイエット経験者と考えると、多くの方が愛犬の体形を気にして努力している様子がうかがえます。
しかし、成功率を調査すると約6割となっており、約4割のわんちゃんがダイエットに失敗してしまったと答えました。
愛犬のダイエットがなかなか難しいことを表す数字ですが、失敗してしまった原因は一体何でしょうか?
愛犬のダイエットを失敗する理由は?
愛犬のダイエット経験者にどんなダイエットに取り組んだかを調査したところ、一番多い回答は「フードの量を減らした」、次に「フードを体重管理用のものに変えた」「オヤツを減らした」と続きました。
ダイエットに必要な「食べ物の管理」「運動」「体重測定」がすべてランクインしているので、正しいダイエット方法を取り組んでいることが伺えます。
しかしダイエットの最中、辛かった事や障害になったことを調査すると、一番多い意見が「愛犬をかわいそうだと思ってしまったこと」でした。悲しいお顔でおねだりされてしまい「心が折れそうになった」や「ついオヤツを与えてしまった」という方が多く、ダイエットに挫折してしまったようです。
他にも、「家族が協力してくれない」や「散歩をするのが大変だった」という意見もありました。
確かに、家族内でこっそりオヤツを与える方がいたり、動かない愛犬をなだめての散歩は大変なのでダイエットに挫折してしまう気持ちもわかりますね。
しかし肥満は、今は良くても後から怖いツケを払うことになってしまいます。
どうしてダイエットをした方がいいの?犬の肥満がダメな理由
肥満はどうしていけないのでしょうか?
体重が増えても支える骨や関節は丈夫になるわけではありません。動くたびに関節や背骨に負担がかかるため、痛みを感じます。そのため、運動を嫌がり筋肉量が落ち、さらに体を支えられなくなるという悪循環に陥ります。
また体が大きくなった分、心臓は今までより余計に動いて血液や酸素を送り出すため、心臓に負担もかかります。
首回りに脂肪がつくと、空気の通り道が狭くなるので、呼吸がしづらくらります。
わんちゃんは「いろんな場所を探索したい」という本能的な欲求がありますが、少しの運動で息が上がるので、満足に探索や動くことができずストレスが溜まっていきます。ストレスは問題行動を引き起こす原因にもなります。
肥満は様々な病気の引き金になるだけではなく、犬らしい感覚や欲求を解消する機会さえ奪ってしまうのです。
愛犬のダイエットを成功させる6つのポイント
愛犬のダイエット経験者の多くが挫折をしてしまったように、ダイエットを成功させるためにはいろいろな壁があります。
ダイエットを成功に導く6つのポイントをご紹介します。
①今の体重でフードの量を決めない
ドッグフードには体重ごとの食事量が記載されていますね。肥満状態の体重の量で与えてしまうと、さらに太ってしまいます。
獣医師さんに相談して、愛犬の理想の体重を割り出してもらい、理想体重の量を与えましょう。
また、記載されているドッグフード量はあくまで目安です。わんちゃんも個体差があるので、同じ量食べても太る子と痩せる子がいます。
こまめに体重を測り、愛犬に合った食事量を見つけてあげてください。
➁健康的なダイエットを行う
「ダイエット=体重を減らすこと」に目が行きがちですが、健康を損なってしまうと何の意味もありません。実際に、キャベツと少量のドッグフードでダイエットを行い、栄養素が不足して皮膚病にかかってしまったというケースもあるそうです。
一気に食事量を減らしてしまうと、愛犬の負担になってしまいます。
ドッグフードはカロリーだけでなく栄養にも注意する、食事の回数を増やしてトータルの食事量は減らすなど、健康を損なわないように気をつけましょう。
➂オヤツはヘルシーなものを少量だけ
オヤツ抜きはかわいそう、オヤツを使ったコミュニケーションがとりたいという場合は、低カロリーなオヤツを少量だけあげましょう。
1日分のオヤツはタッパーに入れておき、その中以外から与えないようにします。
ゆでたササミや馬肉、キュウリ、蒸したサツマイモなどもりっぱなオヤツになります。
④食べ物への執着を和らげる
ダイエットを始めると、食べ物に執着したり、ストレスを感じるわんちゃんもいます。
オヤツをあげるときはただ与えるのではなく、脳や鼻を使ったトレーニングをして達成感も与えましょう(報酬としてオヤツを食べると満足度がアップします)
オススメなのは中にオヤツを詰められる知育オモチャです。中のオヤツを取り出すために、口や手を使い考える必要があるので、精神的にも体力的にもエネルギーを消費することができます。
また、わんちゃんが好きな味の歯みがき粉で、歯みがきをしてあげるのもいいですね。
※ダイエット中は誤飲・誤食が増えるのでゴミ箱あさりなどに注意しましょう!
➄犬は満腹中枢が鈍いことを知ろう
わんちゃんはお腹がいっぱいと感じる神経が鈍いといわれています。
また、食べられるときに食べておくという習性が残っているので、ご飯やオヤツを食べても欲しがり続けるという状態が起こります。
お腹がいっぱいという感覚がない子に、ねだられるままオヤツをあげていると、大変なことになるのがわかりますね。
吠えたらオヤツをあげる、ねだられたらオヤツをあげるという行為は、要求を通すための行動を強化していることになるのでやめましょう!
⑥家族で協力をする
愛犬をダイエットさせるときは、家族一丸となって取り組みましょう。
1人でも反対したり、協力しない方がいるとダイエットが失敗する可能性は高くなりますし、わんちゃんも混乱します。
わんちゃんは自分で食事管理をすることができません。家族みんなできちんと管理してあげましょう!
愛犬のダイエット成功にはいくつものハードルがあります。
心が折れそうになることもありますが、5年先10年先の愛犬健康のために頑張りたいですね。
<参考文献>
犬が教えてくれた愛犬を太らせない7つの習慣 続田 敦 (著), 続田 孝子 (著)
愛犬のダイエット、4割は成功せず!「愛犬のダイエット 成功と失敗を分けるもの」ペットライン株式会社
<画像元>
illust STAMPO
ICOOON MONO
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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