災害の多い日本。特に近年は思わぬ場所で想像以上の規模の災害が毎年のように起きて、甚大な被害をもたらしていますよね。
被災地では、話題にさえ取り上げられることのない動物たちの犠牲も数多くあると思うと胸が痛みます。
みなさんも、万が一の時に大切な愛犬の命をいかにして守るかきっと考えたことがあると思いますが、その手段のひとつとして、ご自宅に車をお持ちなら車中泊を検討してみてはいかがでしょうか?乗り慣れた車なら非常事態でも愛犬のストレスを最小限に抑えることができます。
それでは具体的に考えてみましょう。
愛犬と避難所で過ごすことの問題点
現在、多くの自治体で災害時のペット同行避難を推奨しています。ペットを助けるために命を落としてしまう方や、ペットを置いて避難することで精神状態が不安定になる方がいるためです。
また、飼い主さんとはぐれた犬や猫が繁殖してしまったり野生生物と接触したりして、自然環境に影響を及ぼしたりする恐れがあることも理由とされています。
動物愛護の考えは昔に比べると広まってきてはいるものの、国や自治体が優先するのはあくまでも「人間の安心・安全」。動物と暮らす私たちは、それを理解した上でどのように避難するか考える必要があります。
■参考:環境省発行「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」
>https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506/ippan.pdf
▲このような環境で、ワンコも人も安心して過ごせるでしょうか?
避難所に愛犬を連れて入れるかどうかは、自治体によって異なります。準備が不十分な避難所では建物の中には連れて行けず、駐車場など屋外に設けられたペット専用スペースで飼い主さんと離れて過ごすことを求められる場合も。
また、屋内で一緒に避難できたとしても、慣れない環境や人々の落ち着かない雰囲気に適応することが難しいワンコなら、吠えたりウロウロしたりお漏らししてしまったり、周囲の方々に迷惑をかけてしまうことがあります。おとなしく過ごすことができるワンコであっても、内心は不安と恐怖を感じているはず。
自分と家族の体調や今後のことを心配しながら他の避難者に気を遣わなければならない飼い主さんにとっても、相当なストレスであることは容易に想像できます。
10年以上前から車中泊旅行をしている私たちは、常々から「万が一の際には車を避難所として使おう」と考えています。上記の懸念点を考慮すると、大型犬であるゴールデン・レトリーバーと2頭の猫を連れての避難所生活は無理があると思うからです。
車中泊なら普段から災害時避難を想定した練習も可能ですし、必要な物資を保管しておくこともできます。それに何より自由が利くので、愛犬にも私たちにも精神的ストレスが少ないと考えています。
避難場所としての車中泊:準備物
愛犬との避難場所として車を利用するために、準備しておきたいものをお話しする前に、肝心の車について注意点があります。
過去に、愛犬を避難所に連れて行けず車内で過ごしていた被災者が、エコノミークラス症候群で命を落とされたことがありました。軽自動車サイズでも工夫次第で車中泊はできますが、必ず人間も愛犬も全員が足を伸ばして寝られるスペースを確保するようにしてくださいね。
次に、車内に避難用品を保管しましょう。日持ちする水や食料、食器、ペットシーツ、ビニール袋、タオル、着替え、靴などの日用品です。
ドッグフードは未開封のものを用意し、自宅で使用中のものを使い切る頃に買い足す「ローリングストック」として備蓄すると良いでしょう。
それでも夏場など車内が高温になる時期は、入れっぱなしは避けた方が無難ですね。気候や天気、地面などがどのような状態でも対応できるよう、服や靴は人間用だけではなく愛犬の分も準備しておくと安心です。非常用トイレ(人間用)もお忘れなく!
必要最低限のものがセットになったものを購入しておき、愛犬に合わせて中身を入れ替えておくのも良いですね。
【ペット用防災セット】
また、愛犬には普段から必ず迷子札をつけておきましょう。これは平時でも大切なことではありますが、災害時は特に普段とは違う環境であり、何が起きてもおかしくない状態です。
気が張り詰めている時は恐怖からパニックを起こし、脱走してしまったり呼び戻しがきかなくなってしまったりすることも考えられます。迷子札が外れてしまった場合を想定して、マイクロチップを装着しておくこともお勧めします。
車中泊に慣れる練習をしよう!
いくら慣れた車でも、ドライブするのと車中泊するのとでは大違い!いざという時に避難してもストレスを感じてしまうようでは意味がありませんよね。愛犬も飼い主さんも安心して快適に過ごせるように、普段から次の練習、準備をしておきましょう!
楽しい経験を繰り返す
すでに喜んで車に乗るワンコなら良いですが、嫌がったり怖がったりする子なら車に対する印象を変える必要があります。
嫌いな病院に行く時だけ車に乗る、ということはありませんか?愛犬が車嫌いという場合、出かけなくても良いので、できれば毎日のように車に乗せ、車内でおやつやごはんをあげることを繰り返しましょう。
車に乗ることを嫌がらなくなったら、愛犬が喜ぶ場所へドライブして楽しい経験を積み重ねておくと、いざという時に車内で過ごすことに対するストレスを最小限に抑えられます。
快眠環境を整える
車中泊を快適に過ごす一番のポイントは「寝床」です。可能な限り広くスペースをとり、お好みのマットレスを準備します。
アウトドア用の空気を入れて膨らますタイプのものなどがありますが、連日は苦痛だと思います。我が家のキャンピングカーで色々試した結果、最終的に自宅で使うのと同じ素材のマットレスに落ち着きました。あまり大きなものは置けませんが、背中と腰が支えられればごろ寝マットサイズでも十分ですよ。
愛犬にはクレートを用意してあげると良いでしょう。普段からクレートで安心して過ごせる練習をしておいてくださいね。ただし、大型犬用のクレートを置けるスペースを確保することは難しいと思いますので、その場合は飼い主さんと同じスペースで寝ることになります。
普段クレートで寝ている子の場合、フリーだと落ち着かなくなってしまうことがありますので、こちらも練習しておいた方が良いでしょう。
車の窓には目隠しになるものを用意しましょう。着替える時や就寝時に必要です。カーショップでは一般的な車種やサイズに合うカーテンを取り扱っています。断熱タイプなら暑さ寒さもある程度遮断してくれますよ。
▲寝床は重要!
さまざまな場所で車中泊してみる!
愛犬が車に慣れ、快適な寝床を整えたなら、実際に車中泊をしてみましょう。初めてで心配ということであれば、まずは自宅駐車場でも結構です。一泊では気づけない不便さもありますので、慣れてきたら二泊以上試すことをお勧めします。
また、サービスエリアやRVパーク(車中泊専用スポット)などを活用して、環境を変えて練習することと、さまざまな季節を経験してみることも必要かもしれません。
ご自身と愛犬がどの程度の物音なら気にせず眠れるのか、どの程度の気温なら快適に過ごせるのか知っておくことは重要です。注意:夜間でも熱中症が心配な時期は避けてくださいね!
避難が必要となった時、ワンコを連れているとさまざまな制限を感じることになるでしょう。せめて少しでも安心して眠れる場所を確保するという意味で、車をお持ちの方ならぜひ車中泊という選択肢を検討してみてください。
その場合、いざという時に危険や問題がなく利用できるように、普段から練習をしておくことを強くお勧めします。練習がてら愛犬と車中泊することは、限られた空間でちょっと不便な非日常を味わえる良い体験にもなると思いますよ!
長年犬と旅をしてきたノウハウが誰かのお役に立てればうれしく思います。
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