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実は迷信だった!犬のしつけにまつわる5つのこと【動物看護師が解説】

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これを許すとわんちゃんの立場の方が強くなる!そう言われてきたわんちゃんのしつけがたくさんあります。

しかし、実際にはわんちゃんの立場が強くなることはない、迷信のようなしつけもよく聞きます。

わんちゃんのしつけにまつわるさまざまな迷信を動物看護師が解説します。

愛犬が先に食事をしてはいけない?

人より愛犬の方が先に食事をすると愛犬の立場が強くなると聞いたことはありませんか?

オオカミの群れには順位(階級)があるので、強い順に食事をとっていくという通説がわんちゃんのしつけにもちこまれたのだと思いますが、これは迷信。

確かに、わんちゃんにもオオカミにも順位はあります。しかし、ある動物学者はオオカミの観察を続けた結果、必ずしも強い順に食事をとっているわけではなく、下位のオオカミが先に食事をとったり、みんなで一緒に食事をとることもあると言っています。

特にわんちゃんの場合は食べ物が十分にあり、横から取られることもない状況です。食事の順番で立場が変わることはありません。

散歩のとき愛犬が前を歩いてはいけない?

散歩のときに愛犬が先に行くと、自分をボスだと思いこむということもよく聞きますね。

ボスが先頭を歩き、そのあとを群れが付いてくるという考えからでしょうが、オオカミや野生の犬の群れを観察すると必ずしもそうではないそうです。

誰でも群れの先頭になって移動することはあるし、一番後ろからボスが群れをコントロールしている場合もあるのだそう。

わんちゃんがぐいぐいリードを引っ張って歩くのは、自分がボスと思っているのではなく、引っ張らないと散歩に行けないと学習している可能性があります。

わんちゃんが先に出ていると狭い道では事故になる可能性もあるため、人の後やそばに付かせて歩くトレーニングは必要ですが、わんちゃんが先に歩くからといって立場が逆転するわけではありません。

人の座る場所に愛犬が立ち入ってはいけない?

人が座る場所(ソファーなど)にわんちゃんが座ると人を下位に見るようになる、主従関係に影響を与えるということもよく聞きますね。

もともとはデンマークや欧米で70年代ごろに言われ始めたことだそうですが、オオカミの群れの観察や科学的検証が進み、今では否定的な見方が強いです。

人の社会では社長椅子=会社のボスが座るという見方がありますが、犬の世界と人の世界の階級制度は必ずしも一致しません。

わんちゃんと飼い主さんの日常生活の中にルールや信頼関係がなければ、犬の立場の方が強くなるということは考えられます。しかし、飼い主さんがやっていいこと、悪いことのルールを決めて守れているならば、わんちゃんはどこに座っても問題ありませんし人を見下したりしません。

愛犬と一緒に寝てはいけない?

わんちゃんと一緒に寝るのはよくないと否定する方もいます。

わんちゃんと一緒に寝るメリット・デメリットはありますが、わんちゃんがベッドに入ることで自分の方が立場が強くなる、主従関係が崩れることはありません。

一緒に寝ることで信頼関係が崩れたという場合は人が順位を下げたのではなく、普段の生活の中で関係がうまく築かれておらずルールを決めていないことが考えられます。

わんちゃんと一緒に寝ても飼い主さんとの関係に影響はありません。

愛犬を仰向けにして立場を教える?

愛犬が言うことを聞かない場合、「主従関係を教えるために仰向けにする。」「首や頭をつかんで揺さぶる。」という方法を今でもしつけの本やサイトで見かけます。

しかし、これは間違い。人は決して犬やオオカミと同じような行動はとれません。

そのため「形」だけわんちゃんに示してもわんちゃんは従いませんし、わんちゃんの性格によっては怖がって飼い主さんへの信頼を失くしてしまいます。また、自分を守るために攻撃してくる可能性もあります。

ボスというのは必ずしも乱暴である必要はありません。自分がボスだと力ずくで従わせるのではなく、周りが自然と頼る犬やオオカミがボスになります。

人もそうですが、どっしり構えているボスと力ずくで脅してくるボスだったら前者についていきたいですね。

やってほしくないことをわんちゃんに伝える方法はたくさんあります。決して力ずくで従わせることはしないでくださいね。

わんちゃんが人と暮らすためにはルールやしつけが必要です。しかし、その中には根拠がないものや昔の通説がそのまま残っている場合もあります。

いろいろな方面から情報を集めて判断することが大切です。

<参考文献>

・夢ナビライブ 講義No.06946 動物行動学:イヌの「遊び」

・ドッグ・トレーナーに必要な「犬に信頼される」テクニック 著者: ヴィベケ・S・リーセ / 著者・写真: 藤田 りか子

・ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック 著者: ヴィベケ・S・リーセ / 著者・写真: 藤田 りか子

・犬の科学 ほんとうの性格・行動・歴史を知る スティーブン ブディアンスキー (著), Stephen Budiansky (原著), 渡植 貞一郎 (翻訳)

・イヌの動物行動学: 行動、進化、認知 アダム ミクロシ (著), ´Ad´am Mikl´osi (原著), 藪田 慎司 (翻訳), 森 貴久 (翻訳), 川島 美生 (翻訳), 中田 みどり (翻訳)

・犬の行動学 エーベルハルト トルムラー (著),  渡辺 格 (翻訳)

<画像元>

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イラストAC

いらすとや

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Unsplash

Pixabay

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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