毎日の愛犬の散歩。その散歩でわんちゃんと飼い主さんに「絆(きずな)」が生まれることをご存じですか?
どうして「散歩」と「絆(きずな)」が関係あるのか?動物看護師が解説します。
<この記事を読んでわかること>
■愛犬と絆(きずな)はどうやって生まれるのか?
■絆(きずな)がないとどうなるのか?
■散歩に行くベストな時間帯
「散歩」と「絆(きずな)」の関係って?
そもそも「絆(きずな)」とは何でしょう?
科学の世界では「絆(きずな)」の定義が決まっています。
■お互いに「あなただけだよ」と思っていること
■お互いが「離れたとき」「再会したとき」に特別な反応があるか
わんちゃんと飼い主さんに「絆(きずな)」があるかを調べた実験では、アイコンタクトをとるわんちゃんと飼い主さんは、幸せホルモンとよばれるオキシトシンがお互いに増え、絆(きずな)があることが確認されました。
オキシトシンは「絆(きずな)」をつくるのに欠かせない、大切なホルモンなんですね。
このオキシトシンは、散歩や遊びの刺激で分泌されます。
だからわんちゃんは散歩が大好きですし、大好きな散歩に連れ出してくれる飼い主さんといると「楽しい」「幸せ」という気持ちになるんですね!
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愛犬と絆(きずな)がないとどうなるの?
愛犬と絆(きずな)が結ばれていないと何が問題なのでしょうか?
絆(きずな)が結ばれていないということは、信頼関係ができていません。つまり、わんちゃんが常に不安を感じている状態です。
不安が大きいと恐怖を感じやすくなります。恐怖を感じやすくなると、「飼い主さんと離れることを異常に怖がる」「ちょっとしたことで攻撃する」などの問題行動が現れます。
愛犬の問題行動にはちゃんと理由があり、わんちゃんからの「気づいて」というサインなのです。
オキシトシンは、「ストレス反応を軽減」「安心感をもたらす効果」も報告されています。散歩は、「この人といると安心」という気持ちも養ってくれるんですね。
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愛犬の散歩は朝がオススメ!
せっかく散歩にいくならベストな時間も知りたいですね。
オススメの時間帯は、朝と夕方の2回。オススメする理由が2つあります。
犬の習性にあってるから
わんちゃんの本来の習性は薄明薄暮性。つまり、朝方と夕方に活動が活発になる生き物です。
図のように、「朝起きて運動してご飯」「夕方運動してご飯」というのは理にかなっているんですね。(胃捻転の心配があるので必ずご飯は散歩の後にしましょう。)
また、朝しっかり散歩にいくとわんちゃんのエネルギーを発散することができるので、昼間はのんびり穏やかに過ごすことができます。
「お留守番させる時間が長い」「よくいたずらをする」わんちゃんは、ぜひ朝の散歩を取り入れてみましょう。
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セロトニンで心が穏やかに
セロトニンという幸せホルモンをご存じでしょうか?セロトニンはきちんと分泌されていると心が穏やかになりますが、不足すると、興奮・不安・攻撃を引き起こします。
セロトニンは日光やリズミカルな運動などの刺激によって分泌されます。
朝のお散歩は、セロトニンを分泌させる絶好のチャンスなんですね!(激しい運動だとセロトニンは出ないので、朝はのんびり歩くくらいがオススメ)
逆に、わんちゃんをセロトニン不足にする行動は
■昼夜逆転の生活(夜遅くまで起きているのもダメ)
■緊張や不安が続く状態
■運動不足
です。
「朝は忙しい」「ゆっくり寝たい」という気持ちもありますが、わんちゃんの健康のために、ちょっと早起きしてお散歩しましょう!
散歩が苦手なわんちゃんは工夫を!
ちょっと注意が必要なのが、散歩が苦手なわんちゃん。
「屋外が怖い」「屋外に出たがらない」わんちゃんを無理に外に連れ出したり、散歩をしてもオキシトシンは分泌しないでしょうし、状態が悪化するかもしれません。
まずは、「屋外=怖くない場所・楽しい場所」ということを教えることが大切
わんちゃんが落ち着ける広い場所まで連れていき、そこでおやつをあげたり、おもちゃで遊んであげましょう。それを何度も繰り返すと、少しずつわんちゃんが外の環境に慣れてきます。
慣れてきたら、わんちゃんの様子を見ながら活動範囲を広げていきましょう。
わんちゃんとの絆(きずな)は、特別なことではなく、毎日の積み重ねで作られていきます。
そのひとつが散歩。ただ歩くだけではなく、わんちゃんとの大切なコミュニケーションの時間にしましょう!
<参考文献>
・人と犬のより良き関係に関する生理学的研究 相互コミュニケーションにおけるオキシトシンの役割
・愛犬との絆を深める散歩でマスターする犬のしつけ術/著者:田中雅織
・ドッグ・トレーナーに必要な「犬に信頼される」テクニック/著者: ヴィベケ・S・リーセ/著者・写真: 藤田 りか子
・犬はあなたをこう見ている 最新の動物行動学でわかる犬の心理 ジョン ブラッドショー (著), 西田 美緒子 (翻訳)
・動物看護のための動物行動学/著者:森裕司 武内ゆかり/監修:日本小動物獣医師会 動物看護師委員会
・攻撃性を科学的に考える【しつけ・行動・マナー 】
http://www.petjpr.com/column/news-bin/Detail.cgi?rgst=00000060&CatgM=1
・Urinary oxytocin as a noninvasive biomarker of positive emotion in dogs
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0018506X11001322
・吠えたり、噛む犬はうつ病? 「動物行動科学ジャーナル」が最新研究を発表(ペットプレス)
https://blog.canpan.info/dogenkasenaika/archive/4144
・犬が飼い主を噛む理由とは?|獣医行動診療科認定医が解説
https://tomo-iki.jp/shiba-problem/1891
・ストレスにおけるセロトニン神経の役割
https://core.ac.uk/download/pdf/144452364.pdf
・オキシトシンと視線との正のループによるヒトとイヌとの絆の形成
http://first.lifesciencedb.jp/archives/10063
・セロトニンの増加が心身に及ぼす効果
https://heisei-ikai.or.jp/column/serotonin/
<画像元>
無料写真素材 写真AC
かわいいフリー素材集イラストや
Pixabay
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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