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愛犬を旅犬に育てたい方へ!重要なのは子犬期の社会化旅行

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子犬を迎えたばかりの方、これから迎えるという方の中には、「いつか愛犬と一緒に旅行したい!」と思う方も多いのではないでしょうか?

犬が旅行を楽しむためには、社会化トレーニングが欠かせません。十分に社会化された犬ならどんなところにも安心して連れて行くことができます。同時に、普段とは違うところへお出かけすることで、日常生活ではできない体験が子犬の心の成長をうながします。

旅行と社会化トレーニングは表裏一体。まだ小さなあなたの愛犬を立派な旅犬に育てるポイントをご紹介します。

社会化トレーニングとは?

▲家族となる猫と「はじめまして♪」

犬が人と一緒に暮らす上で何よりも重要な「社会化トレーニング」。人間との暮らしの中で出会うさまざまな人や動物、物や音などに対して過剰に怖がったり興奮したりしないように慣らしていく練習です。

▲小さい頃から子どもとも触れ合わせよう

新しく出会うものに対して好意的な印象を与えるのは年齢を問わず大切なことですが、一般的には生後3カ月頃まで(※注)の「社会化期」と呼ばれる時期をいかに過ごすかが犬の一生において非常に重要と考えられています。

また、誕生前後の環境や母犬の健康状態、精神状態も子犬の発育と性格形成に大きく影響を与えます。残念ながら、このことをきちんと理解しているブリーダーが日本にはまだ少ないのが現状です。貴重な社会化を不適切な環境で過ごさざるを得ない子犬を減らすためには、我々飼い主側が正しい知識をつけ、商業主義の繁殖業者にお金を落とさないようにするしかありません。

※注:社会化期が具体的にいつまでかということは、個体差や犬種による違いがあるとされています。

▲誕生前後の環境が重要!できるだけ家庭に近い環境で育つのが理想的。

社会化が不十分だとどうなるの?

社会化期の真っただ中である生後2~3カ月というのは、多くの方が子犬を迎えるまさにその時期と重なります。

この時期に十分な社会化のチャンスを与えられなかった犬は、見慣れない人や物に対して恐怖心と警戒心を抱き、それは攻撃や逃走という行動に現れます。道ですれ違う杖をついた人に吠えかかったり、傘を広げたら怖くて震えたり、大きなエンジン音にパニックを起こして脱走したり、他の犬を見たらケンカをふっかけたり・・・。そんな状態では満足にお散歩に行くこともできないし、一緒に旅行なんて遠い夢になってしまいますよね。何より、毎日ピリピリと神経をとがらせていなければならないのは犬にとってとても気の毒です。

人間の暮らしの中で生きていく以上、社会化トレーニングは犬のQOL(生活の質)のためにも欠かせないものなのです。

▲怖いものは少ない方が生きやすいね

良き旅犬になるための社会化トレーニング

▲カフェ初体験。騒がずに座っていることを覚えます。

見知らぬ人や物に出会う可能性がぐっと高まる旅行にも、もちろん社会化トレーニングは大切です。まずは「愛犬に旅先でどんな風に振舞ってほしいか」「愛犬と一緒にどんなことをしたいか」という理想を明確にしましょう。

この理想は可能な限り具体的に、理由もあわせて考えてみると良いです。例えば、旅先で他の犬に吠えてほしくないから、他の犬がいても落ち着いていられる子になってほしい、知らない人に飛びついて汚したり怪我をさせたりしたら困るから、人に会ったら四つ足を地面につけていてほしい、アジリティを楽しみたいから障害物に自分から挑戦できるようになってほしい、一緒に登山をしたいから山道や森でも興奮しすぎずに歩いてほしい、など。

目標となるお友達ワンコがいると分かりやすくてなお良いですね。「〇〇しないでほしい」ではなく「〇〇してほしい」と、理想の状態を思い描くことで、具体的にどのような行動を身につけてもらえばいいかがはっきりします。ちなみにこれは日常の子犬育てにおいても大切なポイントです。

理想が明確になったら・・・

次は、実際に旅行のための社会化トレーニングのスケジュールを立ててみましょう。

まずは旅行中に出会う可能性がある物や音に慣らしたり、さまざまな人や犬と会ったりすることが必要です。車やバイク、エンジン音、走り去る自転車、祭りばやし。男性、女性、よちよち歩きの子ども、杖をついた老人、マスクをした人、傘を持った人、ベビーカー、車椅子。大きな犬、小さな犬、子犬、老犬。

お気づきの通り、これらは旅行じゃなくても慣れてほしいものばかりですよね。そう、普通の社会化トレーニングが旅行のためにも基本となるのです。

▲カートに乗って交通量の多い道で社会見学。

同時に行いたいのが、実際にお出かけをすることです。愛犬の様子を見ながら、まずは日帰りの近距離から始めてみましょう。

社会化期は恐怖心より好奇心が上回っている貴重な時期。将来的に愛犬との旅を楽しもうと考えるなら、この時期から負担のない範囲内でお出かけの経験を積んでおくと良いでしょう。

子犬の体調に気を配り、お昼寝の時間もしっかり設けて、短いお出かけをたくさんすることで、愛犬にとってお出かけが興奮すべき特別なものではなく、日常起こり得るイベントのひとつになります。

▲最初は日帰り旅行から。山道ドライブや観光客との触れ合いを楽しもう。

生後4カ月になる頃にはワクチンプログラムも完了し、積極的に外出できる時期となります。

同じくらいの月齢の子犬や、優しい性格のおとなの犬に触れ合う機会は特に意識して設けるようにしましょう。ただ、この頃になると警戒心が大きくなってくるため、少しでも怖がる様子があれば無理をさせないことが非常に重要です。愛犬と相手の犬の出すシグナルをきちんと読み取り、危険そうな時には決して近づけないことです。そのためにも犬のカーミングシグナルについて事前にしっかり知識をつけることをお勧めします。

▲パピーパーティーにも積極的に参加しよう!

社会化期の臨界期(最も重要な時期)を過ぎても、引き続きあらゆる物事に触れ合わせ、良い経験を積むことを忘れないでください。決して無理強いせず、愛犬の様子を慎重に観察しながら、新しい刺激を怖がることのないよう、楽しい気持ちへ導いてあげましょう。

ただ連れ出すだけじゃダメ!我が家の失敗例

▲何度もお出かけして多くの犬に会ってきたのに・・・この後おなかを壊した愛犬(左)。

頻繁に旅行をする我が家に生後2カ月でやってきた愛犬は、一般的な家庭犬に比べてはるかに広い世界を見てきたと思います。それなのに1歳を過ぎても相変わらず新しい刺激に対して必要以上に反応し、おなかを壊すことが続いていました。何とか改善しようとトレーニングに通い始めて学んだのが、「この子が納得できるかどうかが大切」ということ。ただやみくもに連れ出すだけでは不十分で、新しい環境をしっかりと五感で確認することが重要なのです。そしてどの程度で納得するかということには個体差があり、我が愛犬の場合、他の子よりも少しだけ多く時間を必要とするタイプだったようです。

社会化トレーニングでは色々な楽しい経験をさせましょう、ということがうたわれますが、それだけではなく、自分の愛犬が納得できたかどうかという点にも気を配ることを忘れないようにしましょう。

ワクチンプログラムとのかね合い

社会化トレーニングとワクチンプログラムについてはさまざまな意見がありますが、どちらを優先させても何らかのリスクは付きまとうという覚悟は必要だと思います。

個人的には、生きているだけで怖いことだらけという犬生はつらいだろうなと思うので、自分の愛犬には社会化トレーニングを優先させてきました。気を付けていたのは、不特定多数の犬が出入りする場所や野生動物のいるような場所は歩かせないことと、体力の低下が抵抗力の低下につながるため疲れさせすぎないということです。

どうしても心配な場合は、抱っこやカートから世界を見せるだけでも効果的ですので、愛犬には広い世界を楽しめるようにしてあげてほしいなと思います。

旅犬の地位向上を目指して

社会化トレーニングは、愛犬と旅行をする場合もそうではない場合も、同じくらい重要なものです。子犬から育てるのであればぜひ、その貴重な時期を有効的に使って、旅先で出会う人や物を楽しめるようにしてあげましょう。

また、十分に社会化された犬は、見知らぬ場所でも落ち着いていられるものです。旅行中のカフェやホテルでマナー良く過ごす犬は、周囲の人に好印象を与えることでしょう。そんな犬が増えることで、愛犬と楽しめる施設がさらに充実するようになればいいなと願っています。