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愛犬の褒め方、いい加減になっている人は要注意!適当な褒め方がダメな理由や弊害とは?

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犬を迎えてまず初めに必要になるしつけ。

多くの方が最初こそ目一杯褒めて、そして、しつけによって愛犬の覚える芸が定着した時には、ご自身の自信にも繋がって達成感のようなものも生まれますよね。

けれど、その時の情熱は今でも変わらず愛犬に向けられていますか?

今回は、愛犬との生活に慣れた時こそ見直したい『犬の褒め方』について、適当な褒め方がダメな理由や弊害などをご紹介します。

犬の脳は左右で人の言語とイントネーションを判断できる

以前から犬は人の言葉に良く反応し、人に対する共感力や学習能力がとても高い動物だとされてきました。

中でも、飼い主さんと遊ぶことも学習することも大好きなチェイサーというメスのボーダー・コリーは、なんと1,000以上ものおもちゃの名前を覚えたという研究結果もあるそうです。

実は、それほど記憶力や理解力に優れている犬の脳は、左右で人の言語とイントネーションを判断していることも研究で分かっています。

この研究は、2016年にブダペストにあるエトヴェシュ・ロラーンド大学の研究者たちによって示された内容で、犬は人の「言語」とそれに対する「イントネーション」を異なる脳の領域で処理している可能性があることを示唆したのです。

具体的には、犬は人の発する言葉の意味(言語)を左脳で処理し、感情やイントネーションを右脳で処理しているとする内容です。(※その後2017年にこの処理方法は左右反対であったことが、アメリカ科学振興協会が発行しているScience誌によって判明していますが、論文の主な結論自体には影響しないとされています。)

この研究では、これといってあまり意味をなさない言葉に対しては、左脳は反応せず「よく出来たね!」や「いい子!」という誉め言葉に対しては、左脳領域が反応したようです。

また、この時に発した言葉のイントネーションでは、声のトーンに心が籠った時だけ、報酬系の領域が活性化したとの発表がされました。

これが意味するところとは、結局は犬も人と同じように両方の脳を駆使し、飼い主さんの言葉の意味と込められた感情のイントネーションを判断していることが分かったということです。

適当な褒め方がダメな理由とは?

では、適当な褒め方やいい加減な褒め方がダメな理由をここではご紹介します。

ご自身に、もし当て嵌まるような内容があった場合には、今一度愛犬との接し方を見直してみてくださいね。

適当な褒め方がダメな理由①:愛犬の混乱を招く

「オテ」や「お座り」、「マテ」といった最低限覚えさせておきたいしつけは、犬との生活において欠かせないものだと思います。

特に愛犬とどこかお出掛けしたいと思った時には、それらの芸が一通り出来ていれば、愛犬の万が一のケガに繋がらないのはもちろんのこと、他犬や他人に対する配慮にも繋がります。

しかし、このようなしつけを、例えば覚えたからと言ってその後の褒め方が適当になったり、いい加減になったりすると愛犬の混乱に繋がってしまう可能性があります。

最低限覚えさせたいしつけがある場合、そのしつけだけでも心を込めた褒め方を意識するよう心掛けましょう。

適当な褒め方がダメな理由②:モチベーションの低下

人の場合でもそうですが、犬もそれまで褒められていたものがおざなりな対応になってしまった場合には、その行動に疑問を抱き、モチベーションの低下に繋がってしまうことがあります。

中でも日常的におざなりになりがちなしつけの代表格として、トイレ後の反応が挙げられますが、トイレのしつけで適当に褒めたり、逆に当たり前になり過ぎて褒めなかったりすると、犬は時としてトイレとは違ったところで粗相をしてしまうかもしれません。

トイレトレーニングは例え成犬になったとしても、環境の変化やレイアウトの変更で、愛犬が一時的に出来なくなってしまうこともしばしばあります。

トイレへの褒め方については特に、【一朝一夕にあらず】というような心持ちで愛犬と接し、常に愛犬が「ヤッタ!褒められた!」と感じられるような褒め方をしてあげましょう。

適当な褒め方がダメな理由③:信頼関係の低下

愛犬が飼い主さんからの指示によって覚えた芸は、それまで築いてきた絆の証でもあります。

にもかかわらず、「覚えたからこれで良し!」という独断で褒め方が不安定になってしまった場合、犬は飼い主との信頼関係に不安を抱き、その指示に従う時と従わない時が発生してしまう可能性があります。

愛犬との信頼関係の欠如は、このような指示に従わないという原因になるだけではなく、ストレスなどの増加にも繋がってしまう危険性があるため、注意が必要です。

愛犬との信頼関係を崩さないためにも、愛犬が教えた芸を飼い主さんに披露した際には、しっかりと褒めてあげるよう意識しましょう。

犬への適当な褒め方で起こる弊害

人の記憶力に関する研究で、時間が経つごとに記憶が薄れていくことを数値化し、それを発表した『忘却曲線』というものがあります。

この『忘却曲線』とは、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウス氏がおこなった研究内容で、時間経過に伴う記憶の変化やメカニズムを提唱したものとして有名ですが、この研究結果によると、人の記憶は情報を覚え始めた瞬間から忘れ始め、1時間経過後には、その約半分以上(56%)の覚えたことを忘れることが示唆されています。

▽『人の記憶力に関する推移(忘却曲線)』

しかしこの研究結果は、当然ながら復習を繰り返すことによって、記憶の定着を確実なものにしていけることも、しっかりと示されています。

▽『人が復習によって得られる記憶の定着率』

けれど、これらの結果は犬でも同様なことが言えるようで、覚えさせたい芸を一旦完璧に覚えたとしても、その後の褒め方がいい加減になったりすると、次にその芸をしてもらいたいと思った時には、もしかしたら犬はその意味が良く理解できず、反応が遅かったり、鈍かったりしやすくなる可能性があるのです。

基本的に犬の場合には代表的な記憶の定着方法として、アメリカの心理学者であるソーンダイク氏が提唱した、“結果によって変わる行動の効果の法則”と呼ばれる『オペラント条件付け』というものがあります。

▽『オペラント条件付けの基本原理』

良いこと(快刺激)

嫌なこと(嫌悪刺激)

増加

①正の強化

例:飼い主さんの指示に従ったら良いことが起こった

②負の強化

例:自転車が脇を通った時に吠えかかったら遠ざかって行った

減少

③正の罰

例:名前を呼ばれて飼い主さんの元に行ったら爪切りをされた

④負の罰

例:ハーネスが嫌で逃げ回っていたら大好きな散歩を中止された

犬の場合には、このような原理に基づいてしつけを繰り返し行なえば、長期的な記憶の定着が見込めると言われています。

ただし、このような条件付けも、あくまで繰り返し行わなければ、反応に対するズレや鈍りに繋がったり、最悪はそのしつけした内容や芸自体を忘れてしまうなどの弊害に繋がったりしてしまう可能性があります。

愛犬が悲しがらない褒め方をするためには…?

犬にとって飼い主さんから示される言葉や感情、イントネーションとは、私たち人が、人に対して求めるものとほぼ変わりません。

例えば大切な人に食事を作っても、うんともすんとも反応がなかったり、心の籠った「美味しい」や「ありがとう」などの言葉が貰えなかったりした場合には、気分の良いものではありませんよね。

犬も同じで、当たり前にできるようになったトイレであっても、そのトイレをした後の飼い主さんの反応が、「あ、したの?いい子ー」というような間延びした褒め方では、「え…、それだけ?」と感じてしまうかもしれません。

また、元々お風呂嫌いだった愛犬が、褒められることで徐々に慣れていったのに、飼い主さんの方が勝手に「もう褒めなくて平気かな?」と判断して、褒める言葉が少なくなってしまえば、愛犬側からしてみたら、「褒めてくれるから我慢できたのに…」という感情を抱かせてしまうかもしれません。

記憶は、どんな記憶であっても、繰り返し継続しなければ徐々に薄れて行ってしまうのは、致し方ないことです。

しかし犬の場合、人と違って言語を脳で判断しているとはいっても、その範囲は“言葉”というよりかは、“単語”が大半です。「いい子」や「偉いね!」や「すごいね!」、このような言葉とイントネーションを掛け合わせることで、犬は「今わたし(僕)は、飼い主さんから褒められているんだ!」と理解できるため、例え覚えた芸やしつけがしっかりと出来て、ほとんど完璧のような行動であっても、愛犬を褒める時には、しっかりと心の籠った褒め方を心掛けてあげましょう。

<参考書籍>

いぬほん 犬のほんねがわかる本

気持ちを知ればもっと好きになる! 犬の教科書

<参考サイト>

Dog brains divide language tasks much like humans do|犬の脳は人間と同じように言語タスクを分割する
>https://www.sciencenews.org/article/dog-brains-divide-language-tasks-much-humans-do

エビングハウスの忘却曲線
>https://sakura394.jp/wp-content/uploads/2020/05/f541260c2910a0555c8e00f175e2d5501.pdf

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yukako

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幼少期の頃より柴犬やシェットランド・シープドッグと生活を共にし、現在は3代目となる柴犬と暮らしております。
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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