人が好む匂いは犬にとっては正反対！？犬の嗅覚の基本や臭いの種類、使用する際の注意点

犬の嗅覚は、一般的に人の嗅覚の100万倍もの違いを感じられると言われていますよね。100万倍なんて随分と途方もない数値に感じてしまいますが、その中には犬が嫌う臭いも当然含まれています。

では、普段私たち人が良い匂いだと感じている匂いは、犬からではどのような感覚だと思いますか？

今回は、犬の嗅覚の基礎知識から人が好みやすい匂いでも犬にとっては嫌う臭いの種類、その匂いを使う際の注意点についてご紹介します。

＜目次＞

▶犬の嗅覚は本当に人の100万倍？
▶人で良くても犬にとっては嫌う臭いの種類５つ
▶犬が嫌う臭いを使用する際の注意点
▶まとめ

犬の嗅覚は本当に人の100万倍？

犬を迎えると良く、「犬の嗅覚は人の嗅覚の100万倍以上！」なんて言葉を聞くことがあるかと思います。

だから、「人が感じない匂いも、犬にとっては物によって刺激臭となるため気を付けましょう。」とも言われています。

しかし、本当に犬の嗅覚は、人の嗅覚の100万倍なのでしょうか？

正解は…、【YES】でもあり、【NO】でもあります。というのも、犬の嗅覚というのは、鼻腔の中にある嗅上皮（においを感知する粘膜）という粘膜の表面積の広さと嗅細胞の数で決まるため、表面積が広ければ広いだけ、そして、嗅細胞の数が多ければ多いだけ、ニオイを感知する鋭さは強くなるからです。

この「犬と人の嗅覚の100万倍の違い」を厳密に表せば、人が認識できる最小の臭い単位を“100万倍に薄めても犬の嗅覚は知覚することが可能”ということで、100万倍という表現が一般化されました。

ちなみに、短頭犬種と長頭犬種でも、ニオイの感じ方、捉え方には違いがあります。

▽『短頭犬種と長頭犬種のニオイの感じ方の違い』

引用元：https://www.royalcanin.co.jp/dictionary/column/20170223

一般的に短頭犬種として人気のパグやフレンチ・ブルドッグなどでは、嗅上皮面積は大体18cm²で嗅細胞は大体１億個ですが、長頭犬種のジャーマン・シェパードやビーグルなどでは、嗅上皮面積は大体150cm²で嗅細胞は大体２億個、チワワやポメラニアン、パピヨンなどの超小型犬に至っては、上記の犬種以上ににおいを感じづらいとされ、犬種によってもその鋭さには違いがあるため、これらの違いにも注目しておくことが大切です。

人で良くても犬にとっては嫌う臭いの種類５つ

それでは人では良い匂いでも、犬にとっては嫌う臭いの種類をここでは５つほどご紹介します。

人によってはすごくお気に入りの匂いが、愛犬にとっては苦手な臭いとして認識されてしまっている場合もあるため、まずはご自身の好きな匂いが愛犬の苦手な臭いに該当していないかどうか、項目を確認してみましょう。

①香水
②マニキュア
③アルコール
④ヘアスプレー
⑤柑橘系の柔軟剤

① 香水

まず犬が嫌う臭いの一つには、香水が挙げられます。

香水の場合、様々な種類の匂いがあるため物によっては問題ない物もあるかもしれませんが、犬は一般的に香水の匂いを苦手とします。中でも女性が好みやすいシトラス系の香水や男性が好みやすいスパイシー系の香水は、犬にとっては刺激臭が強すぎて、付ける度、クンクンされる度に、『フンッ』と鼻を鳴らしたり、『クシュン！』といったくしゃみをされたりするかもしれません。

② マニキュア

男女問わずオシャレの一つとして好まれるマニキュアやネイルも、犬にとっては嫌う臭いの一つとして挙げられます。

マニキュアやネイルは、ものによって付ける時こそ結構な匂いがあるようなものだと思いますが、犬にとっては上記でもお伝えした通り100万倍にその匂いを薄めても感じ取れてしまうため、乾いた後であっても嫌な臭いに違いはあまりありません。

特にマニキュアに使われる臭いの元は、『酢酸エチル』や『酢酸ブチル』、『トルエン』といった臭いの強いものなので、酢酸系の匂いを一番苦手とする犬にとっては、１億倍の臭いで伝わっているものだと覚えておいてください。

③ アルコール

お酒好きな人からすると少々がっかりしてしまうかもしれませんが、犬にとってアルコールの臭いも嫌がられる臭いの一つです。

お酒の匂いは提供された時点で物によっては、人でも分かるようなキツイ匂いだと思いますが、これが体内に入り、且つご自身の体内のアルコール分解許容量を超えてしまった時には、そのアルコール分は時間が経てば経つほど代謝産物のアセトアルデヒドや酢酸などへ変わり口臭として表れるため、犬からすればその臭いは臭いを嗅いだだけでもフラフラ～っと感じてしまう程不快なものとして認識されると言われています。

④ ヘアスプレー

ヘアセットをする時に欠かせないヘアスプレーも、犬の立場からすると臭いのキツイ物として認識されている一つです。

ただ、今では無香料の物も多く販売されているため、特にヘアスプレーに対するこだわりなどがなければ、そこまで分かりやすく愛犬が嫌がるような素振りは見せないかもしれませんが、念のため、ご自身が今使用されているヘアスプレーの香料がどれだけキツイものかは、確かめておくことをオススメします。

⑤ 柑橘系の柔軟剤

洗濯物を洗う時に使用される柔軟剤の中でも、特に柑橘系等の物は犬の嫌がる臭いとして認識されやすいため、注意が必要です。

特に柔軟剤の匂いがキツイタオルなどで、愛犬の体を拭いたり、愛犬用のタオルとして使用したりするのは、かえって愛犬のストレスになってしまう危険性があります。また、こうした柔軟剤に使われている香料は、揮発性のアルコール類やアルデヒド類、芳香性エステル、合成ムスク、天然植物由来のエッセンシャルオイルなどが使用されているため、場合によっては愛犬に皮膚疾患などのアレルギー症状が現れてしまうことにも注意しておいてください。

犬が嫌う臭いを使用する際の注意点

ニオイに敏感な犬にとって、犬が嫌う臭いを飼い主さんが使用することは、出来れば避けた方が愛犬にとっても安心です。

しかし、そうは言ってもそれまで自分が気に入って使用していた香水やマニキュア、ヘアスプレー、柔軟剤などをいきなり全て総取っ替えするのも勇気がいりますよね。それにお酒が大好きな飼い主さんの場合、お酒を一滴も飲めないのは酷というものです。

では、全く使用する事・飲むことは出来ないのか…と言えば、そんなことはありません。

それまで気に入っていたお気に入りの匂いの香水やマニキュア、ヘアスプレー、柔軟剤を使う際には、それらの注意を怠らない事で対処することが重要となってきます。

例えば、お気に入りの香水やマニキュアが愛犬の嫌う臭いだった場合、ご自宅でも楽しみたい気持ちがあるかもしれませんが、それはグッと堪えて外出の時のみそれを楽しむという方法が出来れば、愛犬に不快な思いをさせなくて済みます。

もちろんその際には、帰宅後すぐに香水なら洗い流したりする必要があり、マニキュアなら除光液で除去したりする必要がありますが、それさえ出来れば、気兼ねなく愛犬を撫でることが可能です。

また、ヘアスプレーを付けたりする時も使用する場所（犬が入ってこない部屋や洗面所など）を工夫することで、愛犬の突発的なくしゃみや咳などを回避することが出来ます。さらに、匂いのキツイ柑橘系の柔軟剤を使用する時にも、それまで愛犬の使うタオルなどでもその柔軟剤を使用していたなら、愛犬の分には無香料の柔軟剤を使用するなどの工夫で、対処することが出来ます。

そして、お酒好きな飼い主さんに関しては、『酒は飲んでも飲まれるな』の精神で、アルコール分解許容度のコントロールを心掛けることで、ある程度臭いの発生を防ぐことが出来ます。

お酒は飲むという行為からも分かるように、ついついほかの水分摂取を怠ってしまいがちですが、逆にそういった行動は利尿作用のあるアルコールの濃度を高め、脱水症状の引き金となってしまう危険性があります。

そのため、お酒を飲む時はお酒とは別に水分の摂取を心掛け、且つ、ほどほどに嗜むことで、愛犬からの「臭い！イヤ！！」を回避するよう心掛けてみてください。

まとめ

いかがでしたか？

犬が嫌う臭いには、他にもお酢や香辛料、殺虫剤などいくつかありますが、犬の嗅覚は、本当に人よりもすごく優れているため、嫌な臭いであっても、好きな匂いであっても、敏感に、そして繊細に感じ取ることが出来ます。

しかし、それは逆を言えば嫌な臭いは特に強烈に、好きな匂いはもっと好きにという極端なバランスを生み出してしまうため、出来るだけ愛犬には愛犬の好む匂いの中で、生活させてあげてくださいね。

＜参考書籍＞

いぬ大全304

楽しい解剖学ぼくとチョビの体のちがい

教養としての犬思わず人に話したくなる犬知識130

気持ちを知ればもっと好きになる！犬の教科書

＜参考サイト＞

犬・猫の飼い主様！いい香りにはご用心～柔軟剤やアロマの危険性～
＞https://cordy.monolith-japan.com/news/8745/

“お酒と口腔ケア”の大切な関係
＞https://ls1.koikeya.co.jp/shop/pages/2018press17_2_2.aspx

この記事を書いた人
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yukako

幼少期の頃より柴犬やシェットランド・シープドッグと生活を共にし、現在は3代目となる柴犬と暮らしております。
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
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