「犬が好きなのに、犬からは好かれない」とか「愛犬が家族の中で自分にだけよそよそしい」などと感じるときは、もしかして知らず知らずのうちに犬が嫌う行動をとってしまっているのかもしれません。人間側に悪気はなくても、犬が嫌だなと感じる行動があります。どんな行動をとると犬に嫌われてしまうのでしょうか。
犬をいきなりなでる
「犬は人懐こくて、人間が好きなのでいきなりなでても大丈夫!」と思っている方も多いと思います。
お出かけ先や動物病院などでも、突然犬の目の前に近づいてきて、頭をなでたり、「お手」を要求したりしているのをよく見かけます。私も、愛犬に初対面の方からいきなりそうされることもめずらしくありません。
しかし、「犬はいきなり触られてもOK」というわけではないのです。
犬は人間社会に深く接して暮らしているので、たいていの場合がまんしてくれますが、いきなりなでられたり触られたりすることを快く思っているわけではないのです。
そして、いきなり犬を触る方は、頭をなでることが多いですが、頭は目や鼻といった大事な器官がある場所であり、信頼している人間以外には本来は触られたくない場所なのです。
いきなり頭をなでる行為を人間側は友好の印として行っていても、犬にとっては気持ちのいいものではないことを理解しておきましょう。
犬を正面から見つめる
突然犬の正面に来てしまう人がいますが、これは犬にとっては敵対行為と同じです。
人間にはうなったり牙をむいたりしてはいけないと理解している犬がほとんどなので、あからさまにそうしないだけであって、信頼関係のない相手に真正面から見つめられるのは好きではありません。
好きではないというより、相手は自分に敵意を持っていると思われてもおかしくないのです。
犬同士で友好的な関係を築くときは、真正面から見つめあうのではなく、まずお尻の匂いを嗅ぎますね。
犬は視力より嗅覚が優れているので、相手が何者であるか理解するために、匂い嗅ぎます。
犬のしつけで「アイコンタクトが大事」ということがあるせいか、「犬の目を見つめることが信頼の証」と思っている人も少なくありません。
もちろん大好きな飼い主さんであれば、犬は自分に注目してくれることに喜びを感じますが、そうではない相手に正面から見つめられることは、友好的な行為とは判断しないのです。
初対面の犬や信頼関係を築けていない犬と接触するときは、まず急激な動きは避けて、ゆっくりと動くようにしましょう。
そして正面から見つめることは避け、犬の横に姿勢を低くして回り込むようにしましょう。手を差し出して、ゆっくりと落ち着いた声で話しかけてください。
犬が鼻を近づけてきて十分匂いを嗅いでくれたら、後頭部や首の後ろなど犬が気持ちよく感じるところをそっとなでましょう。
初対面の犬や自分の飼い犬以外に触るときは、必ず飼い主さんに触っていいか確認しましょう。中には他人に触られるのが苦手なワンちゃんもいます。
大声を出す・怒鳴る
犬は人間と比べると約400倍の聴力があるとされています。
ですから、犬は大きな音にびっくりしてしまうことがあり、人間の子供や大声を出す人が犬は苦手なのです。
子供はいきなり大きな叫び声をあげたりしますね。
私の愛犬も子供があげる悲鳴にも似た大声にはかなり驚くこと多く、騒いで大暴れしている子供から遠ざかろうとします。
大人でも無意識に大声をあげてしまうこともあると思います。
犬が苦手な大声には、大音量のくしゃみ、スポーツ観戦時など興奮したときに上げる応援の声、怒鳴るように話すなどがあります。
大声は犬にとっては威嚇に聞こえることもあるので、大声を出す人を苦手な犬は多いのです。
すぐに怒る
犬にして欲しくないことを教えるために叱ることは必要ですが、犬がしたことに対して怒りの感情をぶつけることは良くありません。
「怒る」と「叱る」は違い、犬を怯えさせたり不信感を抱かせたりすることにつながり、まったくしつけには効果的ではありません。
人間が感情的に怒っているときは、犬はただ恐ろしいだけでその理由を理解できないばかりでなく、理不尽にぶつけられる感情に対して自分の身を守るために反抗的な態度に出てしまうこともあり、まったく逆効果です。
犬を叱るときは冷静に低い声で話すように心がけましょう。怒って怒鳴りつけても犬は戸惑いおびえるだけです。
そして、怒ってばかりいる人間を犬は信頼することはできないのです。
犬が触ってほしくない場所を触る
犬には触られるのが苦手な場所があります。
それは犬によっても異なりますが、一般的にマズル(鼻づら)、耳、足の先、しっぽは多くの犬が触ってほしくない場所です。
信頼関係が気付けていない場合は触らないほうがいいですし、犬との関係が良好であっても、用もないのにしつこく触るのはやめましょう。犬に嫌われてしまいます。
犬に急に触る
犬が寝ていたり、ほかのことに気を取られていたりするときに、急に触ると犬がびっくりしてしまいます。
ビクンと体を震わせるほど驚くこともあるので、飼っている犬とはいえ声をかけてから触れるようにしましょう。
犬を驚かせる行為を続けていると避けられるようになってしまいます。
また、かわいくてしょうがない気持ちはわかりますが、無理に犬をハグすることも避けた方がいいでしょう。
犬が「抱っこして」と自らくるのであれば問題ありませんが、犬が望んでいないのに抱っこしたり、抱きしめたりすると犬は体が束縛されるので不安になります。
完全に信頼しきっていない相手にそうされると余計不安に感じますよね。
無理にハグしたり、スリスリしたりすると犬に嫌がれます。
たばこや香水の匂い
タバコや香水の匂いは、犬にとっては不快のようです。
タバコの匂いは人間でも嫌いな人は多いですが、香水などの人間にとってはいい匂いと認識されているものでも犬にとっては不快な匂いなのです。
犬は非常に嗅覚が優れていて、人間が感知する匂いの何百倍もの匂いを犬は感じているのです。
最近、流行っている衣類に匂いが付く柔軟剤も犬には良くないという意見もあります。
人間同士でも「香害」と評されることもありますから、犬にとってはより苦痛に感じているかもしれません。
おうちの中では禁煙していても、タバコを吸う人は衣服や体に匂いが付いてしまうので、「タバコを吸うお父さんが苦手」な子も珍しくないようです。
まとめ
犬に嫌われる原因は何だろうと考えたときに、実は犬が苦手な人間の行動は人からも嫌われることが多いことに気が付きます。
初対面の人間に不用意に触る人はあまりいないでしょうが、大声を出す、怒鳴る、怒る、キツイ匂いなどは人間でも嫌ですね。
犬にも良識をわきまえて接する必要があるでしょう。
突然犬の正面に来て、いきなり犬の頭上に手を差し出すのは、犬が困惑してしまうので、飼い主としては本当にやめてほしいと思います。
家族として一緒に暮らしている犬であっても、嫌がる行為を常に続けられるとストレスになり、病気の原因にもなりかねません。
犬と人間は別の動物ですが、相手を尊重することが良好な関係を築くということは同じかもしれないですね。
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