年末年始はクリスマスやお正月など行事が目白押しでなにかと慌ただしいですね。
忙しい時期だからこそ穏やかに日常を過ごしたいですが、人が集まったり愛犬から目を離す時間の多い年末年始は思わぬ事故が多発しがちです。
今回は年末年始に犬に起きがちな事故を5つご紹介します。
楽しい年末年始につらい思いをしないようにご紹介した内容をぜひ活かしてみてくださいね。
<目次>
年末年始に犬に起きがちな事故①「誤飲」
年末年始は「犬の誤飲事故」が増えることをご存知でしょうか。
下の図はペット保険のアニコム損保㈱が報告した犬の誤飲事故の発生件数を月別に表したグラフです。
グラフを見てみると12月から2月にかけて犬の誤飲事故の発生数が多いことがわかります。
▼犬の異物誤飲による請求件数
年末年始にはクリスマスや大掃除、お正月など人が多く集まるイベントが多いです。
普段は使用しない洗剤や掃除中に出た不用品、頂いたお土産など日常で見慣れないものが犬の生活圏に置かれるので、犬の興味を引き誤飲を引き起こしやすくなります。
また飼い主さんも来客の対応や準備などで愛犬の行動に目が届きにくくなります。
こういった状況が愛犬の誤飲の機会を一段と増やし、年末年始に犬の誤飲事故が増えると考えられています。
誤飲した物によっては命の危険(紐やラップ、竹串の誤飲は腸管を傷つけたり壊死させる恐れがある)もありますし、年末年始は動物病院が休みのことも多いです。
悲しい事故を起こさないように、人が集まる時期はより一層誤飲への注意が必要です。
▼こちらの記事もおすすめです
「冬は犬の誤飲事故に注意」誤飲しやすいものトップ10と誤飲事故が多い犬種もご紹介
>https://www.inutome.jp/c/colum9-331-47897.html
年末年始に犬に起きがちな事故②「盗み食い」
普段は気をつけていてもイベントの多いこの時期は、来客の対応や荷物の受取りなどちょっとした隙にテーブル上の物を盗み食いされることは多いです。
犬が食べても問題ない物であれば笑い話ですみますが、年末年始には「チョコレートケーキ」「骨付きの肉」「焼き鳥」「もち」「ぶどう」など犬が盗み食いをすると命に関わる食べ物もテーブルに並びます。
年末年始は「テーブルの端に食べ物を置かない」「食べたらすぐに片付ける」「ゴミはロック付きのゴミ箱に捨てる」「拾い食いをしないトレーニングをする」など盗み食いをされにくい環境づくりを心がけましょう。
▼犬が盗み食いすると危険な食べ物
・チョコレートを使ったお菓子(中枢神経を刺激し不整脈や心拍上昇を引き起こす)
・焼き鳥(串ごと誤飲し砕けた破片が食道や胃に突き刺さる)
・焼き豚やハム(塩分過多・肉を縛っている紐を誤飲すると腸閉塞の危険)
・骨付きの肉(骨ごと噛み砕き破片が食道や胃に突き刺さる)
・餅(丸呑みして喉に詰まらせる)
・ネギを使った料理(ネギに含まれる成分が赤血球を破壊し貧血を引き起こす)
・ぶどうやシャインマスカット(下痢や嘔吐、急性腎不全を引き起こす)
・アボカド(嘔吐や下痢、呼吸困難などを引き起こす)
年末年始に犬に起きがちな事故③「低温やけど」
寒さが厳しい季節になると湯たんぽやペット用のヒーターで暖を取らせる方も多いのではないでしょうか。
しかし、ペット保険のアニコム損害保険㈱が報告したペットのやけどの通院傾向(季節別)によると、1月から3月にかけて火傷の通院数が増えていることがわかります。
▼季節ごとのやけどの通院傾向(345,649頭を対象に調査)
高温のものに接触すると短時間でもやけどをしますが、低い温度(44~50℃ほど)でも長時間接触していると低温やけどを引き起こします。
低温やけどは痛みを感じにくいため、やけどの傷が深くなり重症化しやすいです。
また犬の場合、全身を毛に覆われているため皮膚の異変に気づきにくく、発見が遅れることがあります。
犬の仕草をよく観察して、いち早く変化に気づいてあげましょう。
▼犬が低温やけどをしたときの症状
・皮膚が赤くなる
・水ぶくれができる
・特定の場所を舐め続ける
・触ろうとすると嫌がる
▼犬に低温やけどをさせない工夫
・ペット用ヒーターを使用する際は毛布などを敷き直接ペットを乗せない
・ペットヒーターの温度は38度前後に設定
・湯たんぽは直接本体に体が触れないようにする
・自分で熱源から逃げられるようなスペースを設ける
・飼い主さんが熱源にいる時間を管理する
(低温やけどになるまでの時間:人の場合 44℃→3~4時間 46℃→30~1時間)
・長時間同じ場所にいることが多い犬の場合はヒーターの使用は避ける
・ストーブは周りを柵で囲って熱源から距離をとる
年末年始に犬に起きがちな事故④「感電」
寒くなるとこたつやヒーターなどの暖房器具を使うことが増えますね。
こういった暖房器具のコード部分を犬がかじると、犬の体に電気が流れて感電事故を起こす恐れがあります。
特に子犬は好奇心が旺盛なので、飼い主さんの目が届かなくなると、いたずらでコードをかじって感電してしまうこともあります。
犬が感電すると局所的なやけどや肺水腫(電流で血管が損傷し肺胞に水が貯まる)、筋肉の硬直や心不全などを引き起こします。
見た目が元気そうであっても内臓が損傷し、後から症状が出てくる場合もあるので、感電を確認したらすぐに動物病院にいきましょう。
▼感電事故を防ぐために大切なこと
・コードやコンセントにコンセントカバーをつける
・留守中はエアコンを使用する
・犬が失禁している場合は電源を切るまで犬や尿に触らない
・コードをカーペットの下に隠す
・部屋で自由に遊ばせる場合は、コードをコンセントから抜く
年末年始に犬に起きがちな事故⑤「脱走」
パーティーやイベントなどで人の出入りが激しくなると、犬の脱走にも注意が必要です。
犬の脱走の原因として下記のことが考えられます。
▼犬の脱走や迷子の原因
・庭から逃げてしまった
・玄関のドアが開いていて逃げてしまった
・窓が開いていて逃げてしまった
・網戸を開けたり壊して逃げてしまった
・雷や花火などの音に驚いて逃げてしまった
・車の乗り降りの際に逃げてしまった
原因を見てみると「大掃除のときの換気で窓を開ける」「来客時のドアの開閉」などちょっとした隙に犬の脱走が起きていると考えられます。
また、来客が玄関や脱走防止用のゲートを閉め忘れたり開けっ放しにして、脱走させてしまうこともあります。
愛犬の脱走を防ぐために「脱走しやすいドアや窓の前に柵を設置する」「オートクローズのペットゲートを使用する」「車に乗せるときはフリーにしない(車の乗り降りの際に車外に飛び出る可能性がある)」などを徹底しましょう。
▼こちらの記事もおすすめです
「迷子になった犬の行動パターンは?」迷子犬が見つかる確率や連絡する場所についても解説
>https://www.inutome.jp/c/column_9-373-50987.html
慌ただしく過ごしていると、どうしても注意力が散漫になり、それが思わぬ犬の事故につながっています。
年末年始に起きやすい犬の事故を覚えて、笑顔で年末年始を迎えられるように事故防止策をとってみてくださいね。
<参考URL>
犬、猫の誤飲:傾向と対策【傾向編】アニコムホールディングス
>https://www.anicom-page.com/hakusho/journal/pdf/120206.pdf
ペットのケガや事故の実態調査を実施
>https://www.anicom-page.com/hakusho/family/pdf/121101.pdf
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。