だんだんと年の瀬が近づいてきましたね。
楽しいイベントが目白押しのこの季節に注意したいのが犬の誤飲事故です。
人が集まってパーティーをしたり人の出入りが激しくなると、愛犬への注意がおろそかになり、普段は起きないような事故が多発します。
人には無害でも犬が食べると命にかかわる食べ物もあるので、今一度犬に食べさせてはいけない物を復習しておきましょう。
今回は年末年始に誤飲されがちな食べ物をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
<目次>
- ▶年末年始の犬の誤飲事故はなぜ増える?
- ▶年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「チョコレート」
- ▶年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「やきとり」
- ▶年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「焼き豚・ハムなどの加工肉」
- ▶年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「生の海老・蟹」
- ▶年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「骨付き肉」
- ▶年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「ケーキ」
- ▶年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「もち」
- ▶年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「玉ねぎ・ネギを使った料理」
- ▶年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「ぶどう」
- ▶年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「アボカド」
- ▶犬の誤飲事故を防ぐために大切なこと
年末年始の犬の誤飲事故はなぜ増える?
下の図はペット保険のアニコム損害保険㈱が月別の誤飲事故の請求件数をまとめたグラフです。
グラフを見ると12月から3月にかけて誤飲事故が増加していることがわかります。
▼誤飲事故の請求件数
誤飲事故が増加する理由として、下記のことが考えられます。
▼年末年始に誤飲事故が増える理由
・クリスマスなど人が集まるイベントが多い
・人の出入りが多い
・準備の慌ただしさで犬の手の届くところにうっかり食べ物を置いた
・犬の行動に目が届きにくくなる
・ゴミが増えた
・犬の扱いに不慣れな客が犬に食べ物を与えた
犬の手の届くところにうっかり食べ物を置く、犬の扱いに不慣れな来客が食べさせてはいけない物を与えてしまうなど、普段の生活と少しだけ違う変化が犬の誤飲事故増加に繋がっていると考えられます。
年末年始は動物病院もお休みしていることが多いので、誤飲事故を起こさないように今から意識して備えておくことが大切です。
次章では年末年始に犬が誤飲しがちな食べ物をご紹介するので、取り扱いには特に注意しておきましょう。
年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「チョコレート」
年末はチョコレートのお菓子やケーキなどを食べる機会も増えるので、犬がチョコレートを食べてしまう事故も増えがちです。
チョコレートに含まれるテオブロミンは中枢神経を刺激して、不整脈や心拍上昇を引き起こします。
老犬や小型犬が食べると命の危険もあるので、取り扱いには特に注意したい食べ物です。
年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「やきとり」
やきとりを串ごと誤飲してしまうという事故は意外と多いです。
「えぇーそんなことある?」と思うかもしれませんが、犬は食べ物を丸呑みする生き物なので、人のように串から肉を外すことをせず串ごと噛み砕いて丸呑みします。
砕かれた串が食道や胃、腸管に突き刺さると大変危険ですし、肉の塊を喉につまらせる可能性もあります。
年末年始にやきとりを食べるという場合は、串の後始末(ゴミを漁って誤飲することもある)も含めて注意しておきましょう。
年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「焼き豚・ハムなどの加工肉」
焼き豚やハムなどの加工肉には多くの塩分が含まれています。
犬は尿と一緒に塩分を排出することはできますが、過度に接種すると心臓に負担がかかる可能性があります。
たった1枚だとしても犬の1日の塩分摂取量を上回ってしまうので、注意が必要です。
また、焼き豚やハムを縛っている紐は誤飲報告も多いです。
紐を誤飲すると腸内で紐が絡まって腸が壊死する可能性があるので、紐の取り扱いにも注意しましょう。
年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「生の海老・蟹」
生の海老や蟹には「チアミナーゼ」と言われる酵素が多く含まれており、多量に接種するとチアミン欠乏症(脚気)を引き起こす可能性があります。
チアミナーゼは熱を通せば壊れるので、加熱した海老や蟹であれば犬も食べることができますが、犬によっては海老や蟹にアレルギーを持っている場合があります。
年末年始は動物病院もお休みのことが多いので、年末年始に海老や蟹を初めて与えるのは避けておいたほうがよいでしょう。
年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「骨付き肉」
骨付き肉はクリスマスの定番ですが、犬に与えるのは避けておいた方がよい食べ物です。
やきとりの串と同様に骨ごと噛み砕いて、割れた骨がのどや消化管に突き刺さる可能性があります。
ゴミ箱を漁って誤飲することもあるので、ロック機能付きのゴミ箱に捨てるなど食べた後の処理にも注意が必要です。
年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「ケーキ」
食べすぎたり脂肪の消化がうまくいかないと消化不良で嘔吐や下痢といった消化器症状を引き起こすことがあります。
また、ろうそくなどの食べられない装飾をケーキと一緒に誤飲することもあります。
犬が中毒を起こす食べ物が入っていなければ、重篤な症状が起きるわけではありませんが、人用のケーキのお裾分けは控えておいた方がよいでしょう。
年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「もち」
もち自体に中毒を起こす成分は含まれていませんが、犬は丸呑みをする生き物なので噛まずに飲み込こんで喉に詰まらせる可能性があります。
噛む力や飲み込む力が弱っているシニア犬は特に危険なので、与えるのは絶対にやめましょう。
年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「玉ねぎ・ネギを使った料理」
ハンバーグやすきやき、お鍋など年末年始はネギや玉ねぎを使った料理を出す機会も増えますね。
玉ねぎなどのネギ属には「アリルプロピルジスルフィド」という成分が含まれており、赤血球を壊す働きがあります。
ネギ本体を食べなくても成分が溶けだした汁を舐めただけでも中毒症状を引き起こします。
この中毒の怖いところは犬種によって症状の出方に差があること(少量の接種でも症状がでる犬がいる)と、症状が現れるまでに数日かかる場合があることです。
様子を見ている内に悪化することもあるので、まず誤飲させないことを徹底しましょう。
年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「ぶどう」
ぶどうやシャインマスカットも犬に与えてはいけない食べ物です。
詳しい原因はまだ解明されていませんが、犬がぶどうを食べると下痢や嘔吐を繰り返したり急性腎不全を引き起こします。
果肉の部分だけではなく、皮の部分を食べて急性腎不全を発症し亡くなった事例も報告されているので、少量であっても与えることは避けましょう。
年末年始に犬に誤飲されがちな食べ物「アボカド」
私たちの生活に馴染みのあるアボカドですが、犬に与えることはおすすめできない食材です。
アボカドには「ペルシン」という殺菌成分が含まれており、人には無害ですが犬には嘔吐や下痢、呼吸困難といった中毒症状を引き起こす可能性があります。
どのくらいの量を食べると危険なのかもまだ解明されていないので、犬にアボカドを与えるのは避けておいたほうがよいでしょう。
犬の誤飲事故を防ぐために大切なこと
これまでの内容で年末年始にどんな食べ物に注意するべきなのかおわかり頂けたと思います。
では、誤飲事故が増えてくるこれからの時期にどんな対策をとれば事故は防げるのでしょうか。
犬の誤飲事故を防ぐために大切なことを一覧にまとめました。
▼犬の誤飲事故を防ぐために大切なこと
・誤飲をする理由を探す(かまってもらえなくて退屈しているなど)
・来客に犬に与えてはいけない物を共有
・テーブルの端などに食べ物を置かない
・食べ終わったら早めに片付ける
・ゴミ箱をロック付きにして犬のいる場所に置かない
・物を落としても勝手に食べないトレーニングをする
・犬が子犬の場合は特に注意する(0~1歳の誤飲率は全体の半数を占める)
・年末年始に駆け込める動物病院を探しておく
誤飲事故の怖いところは中毒を起こす物や危険な物を食べてしまっても無症状の場合があることです。
元気があるとつい様子を見たくなりますが、数時間後に容態が急変するといったことはよく起きるので誤飲対策をしっかりとって、誤飲をしてしまった場合はすぐに動物病院にいきましょう。
楽しいイベントが多い季節は犬の誤飲事故も増える時期です。
悲しい事故を起こさないように対策をしっかりとって愛犬と楽しい時間を過ごしたいですね。
<参考URL>
Acute kidney injury in dogs following ingestion of cream of tartar and tamarinds and the connection to tartaric acid as the proposed toxic principle in grapes and raisins
>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/vec.13234
犬、猫の誤飲:傾向と対策【傾向編】アニコムホールディングス
>https://www.anicom-page.com/hakusho/journal/pdf/120206.pdf
<画像元>
Canva
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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