犬を迎えると、必ずと言って良いほど直面するブラッシング。
特に春と秋にやってくる換毛期では、犬種の違いによって他の季節と比べ物にならない毛がドン!と一気に生え変わるので、「別犬…?」という冗談を口にしたことがある飼い主さんも多いと思います。
今回は、そんな犬の換毛期にまつわる話の中から『夏毛』と『冬毛』の違いや『換毛』と【脱毛】の違い、部位によるブラシの使い分けなどをご紹介します。
犬にとっての換毛期とは?
犬はその季節の寒暖差に適宜対応して、皮膚や身体の健康維持に努めるために、夏には夏に適した被毛の生え変わりを起こし、秋には秋に適した被毛の生え変わりを起こします。
犬にとって必要な換毛期とは、人で言うところの衣替えに当たるのです。
ただ、犬の換毛期というのは、個体差はもちろんのこと、犬種、飼養環境、日照時間、地域・気候の違いによっても換毛期を迎える時期が異なるため、一斉にすべての犬種で春頃と秋頃に換毛期が訪れるという訳ではありません。
また一般的に明確な換毛期を起こす被毛タイプは、皮膚を保護するオーバーコートと体温調節機能を担うアンダーコートの2層構造(=ダブルコート)を持つ犬種に限られているため、オーバーコート(=シングルコート)のみを持つ犬種については目立った『換毛期』というものは存在しません。
▽『シングルコート犬種とダブルコート犬種の違い』
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犬はなぜ換毛するの?犬の換毛期はいつ頃?長毛種や短毛種の違いや注意点について
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目立った換毛期がないからといって全くブラッシングが必要ないわけではありません。犬を迎えた以上は定期的なブラッシングは必ず必要です。
そのため、例えば犬を迎えようと思った際にペットショップの店員さんやブリーダーさんから、「あまり毛が抜けないからお手入れもしやすいですよ」と言われたとしても、その言葉を鵜呑みにはせず、こまめなブラッシングを行うよう心掛けましょう。
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犬の『夏毛』と『冬毛』はどう違う?
では、一口に換毛期と言っても春の換毛期で起こる『夏毛』と秋の換毛期で起こる『冬毛』には、どのような違いがあるのでしょうか?
具体的な特徴や違いをそれぞれ確認してみましょう。
夏毛
春の換毛期によって起こる『夏毛』は、夏という暑い季節を乗り切るために、以下のような特徴を兼ね備えています。
▼【夏毛の主な特徴】
・細くて短い毛
・密度がなく通気性が良い
・密集した毛が少なくなるのでスッキリとした印象になる
犬の被毛が『夏毛』に変わる際には、それまで密に生えていた体温調整機能を担う『冬毛』が抜け落ち、代わりに密度が低く通気性が良い『夏毛』が生えることで、夏を快適に過ごすことが可能です。
良く柴犬や秋田犬といった日本犬が、それまでモコモコでポテッとしていた外見を春の換毛期で一気に「別犬」だと称されるのは、こうした特徴があるからです。
我が家の柴犬も『夏毛』になった時の見た目は随分とスッキリし過ぎた印象が強く、来た当初は「抜けすぎでは…?」と心配するほどスカスカになった経験があります。
ただ、このような特徴は後述する『換毛』とそうでない【脱毛】では大きく状況が違うため、ご自身の愛犬が問題のない換毛期なのかそうでないかは、しっかりと確認しておくよう注意しましょう。
冬毛
一方で秋の換毛期によって起こる『冬毛』の主な特徴は、『夏毛』の時とどう違うのでしょうか?
『冬毛』の場合には、冬という寒い季節を快適に過ごすために、以下のような特徴を兼ね備えています。
▼【冬毛の主な特徴】
・長く生え揃った毛
・保温性があり密集している
・量が多く密集するためふわふわ、モコモコな印象になる
犬の被毛が『冬毛』に変わる際には、それまで粗く細かった『夏毛』が抜け変わり、代わりに密度や保温性が高い『冬毛』が生え揃うことで、冬を快適に過ごすことが可能です。
『夏毛』の時の柴犬や秋田犬の印象が、ふわふわ、モコモコ、加えてポテッとした印象やコロッとした印象が増えるのは、こうした特徴があります。
けれど、『冬毛』の場合も『換毛』で抜ける毛とそうでない【脱毛】で抜ける毛では大きく状況が異なるため、『夏毛』の場合同様、注意するようにしましょう。
犬の換毛と脱毛は何が違う?
基本的に換毛期は時期が来れば、個体差によるものの大体はすごい量の抜け毛が予想されます。
しかし、これは『換毛』の場合と【脱毛】の場合で、大きく対応が異なります。
一般的に換毛期によって『換毛』が起こった場合には、全体的に毛が生え変わるため、どこか一か所がボソッと抜けるような抜け毛の束があっても、最終的には全身が均等に生え変わっていれば問題はありません。
けれど、例えばどこか一か所が禿げたように脱毛していたり、換毛期ではないのに毛が大量に抜ける場合には、何かしらホルモンの異常が関係していたり、皮膚疾患が影響していたりする可能性が考えられます。
筆者の愛犬も季節によって、上記のようなまだらに禿げてしまう箇所が見受けられることがあります。
これらは食物アレルギーであったりアトピー性皮膚炎であったり、また、膿皮症やノミアレルギーなどの痒みを伴うことが原因で愛犬自身が皮膚を引っ掻いて毛が抜けてしまっている際に見られます。
また、ホルモン異常で起こる脱毛の原因にはクッシング症候群や甲状腺機能低下症といった痒みを伴わない場合が考えられるほかに、犬のヒート(生理のようなもの)でも脱毛が見られることがあります。
筆者の愛犬の場合、食事によるアレルギーが今までに見られていないことから、獣医さんからは「ハウスダストによるものかもしれない」ということで日々の掃除を徹底することで現在は様子を見ている状態ですが、こうした皮膚疾患やホルモン異常などの症状は、換毛期で起こる換毛では見られない症状なので換毛期が終わっているのに脱毛が見られる際は、獣医さんに相談すると良いでしょう。
ブラシは部位で使い分けた方が良いの?
犬のブラシには人が使うブラシと同じように、様々な種類が存在します。
それこそ昔と違って今となっては、短毛犬種専用や長毛犬種専用として売られているものから抜け毛除去用のブラシや仕上げ用、毛の艶出し用のブラシに至るまで、用途によって使い分けが可能な商品が数多く開発・販売されているため、初めて犬を迎える人にとっては、どれを購入すればよいか分からないこともあることでしょう。
ただ、そんな数多くあるブラシを愛犬に使用する場合、部位によって使い分けることをオススメします。
というのも犬の皮膚というのは、前提として以下のような特徴があるからです。
▼【犬の皮膚の主な特徴】
・犬の皮膚は人の皮膚の厚さの1/3~1/5程度しかない
・毛で覆われていない部分は乾燥肌になりやすい
・お腹周り、脇下、足の付け根など皮膚の薄い部分は特に刺激に弱い
これらの特徴は、基本的にはすべての犬種に共通していると思って相違なく、特にお腹周りや脇下、足の付け根に関しては皮膚トラブルを起こしやすい部位となっているため、そこをスリッカーブラシでブラッシングしてしまうと逆効果となってしまいます。
筆者の場合、基本的に背中や首回りなどでは、比較的換毛期で起こる抜け毛においても量が凄い状態になりやすい個所でスリッカーブラシ(刺激が最小限のもの)を使用し、足先、脇下、お腹周り、足の付け根などについては、ピンブラシまたはラバーブラシを使用するようにしています。
このように、愛犬にブラッシングを施してあげる際には、ご自身の愛犬が短毛犬種なのか長毛犬種なのか、刺激に対する耐性が強いか弱いか、皮膚への持病があるかないか*で適宜対応することで、愛犬に合ったブラシを見つけてあげてください。
※持病がある際には獣医さんとも相談した上でご判断ください。
まとめ
今回は、年に2回来る換毛期でも『夏毛』と『冬毛』では特徴が違うこと、単なる『換毛』と【脱毛】では状況が違うこと、そしてブラシの使い分けの重要性をご紹介しました。
適切なブラシの使用は皮膚の健康や体温調整機能だけではなく、愛犬とのコミュニケーション、病気の早期発見にも役立つため、是非とも定期的にブラッシングしてあげてくださいね。
<参考サイト>
犬の換毛期「夏毛」と「冬毛」について
>https://www.paws-foglio.jp/blog/18765/#:~:text
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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