犬といえば硬いものを噛むのが好きというイメージがありますね。
ストレス解消のために愛犬に犬用のガムやオモチャを与えている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
でも実は犬は噛む力は強いですが、歯は折れやすくできています。
硬すぎるオヤツやオモチャを与えていると、いつのまにか歯が欠けたり折れるといった事故が起きてしまうかもしれません。
今回は「犬の歯が欠けやすいオヤツ・オモチャ」を5つご紹介します。
歯が欠けてしまったときの対応や治療、歯に優しいオヤツやオモチャ選びも合わせて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
<目次>
犬の歯が欠けやすいオヤツ・オモチャ5選
原因として一番多いのが、歯より硬いものを噛んで歯が欠けたり折れてしまうケースです。
犬に与えるときに注意しなければならないオモチャやオヤツにはどんなものかあるでしょうか。
5つご紹介します。
▼犬の歯が欠けやすいオヤツ・オモチャ5選
①「硬すぎる歯磨きガム」
②「ひづめ」
③「鹿の角」
④「ヒマラヤチーズ」
⑤「テニスボール」
①「硬すぎる歯磨きガム」
歯を綺麗にするために歯磨きガムを愛犬に与えている飼い主さんは多いと思いますが、歯磨きガムの硬さは商品によって異なり、中には硬すぎるものもあります。
また、犬種や年齢によって噛む力は異なるので、小型犬や子犬に中型・大型犬用歯磨きガムを与えていると硬すぎて歯が欠けたり折れてしまうことがあります。
歯磨きガムを与える場合は、硬さがあっているか確認して与えるようにしましょう。
②「ひづめ」
デンタルケアができるので人気の高いオヤツですが、ひづめから犬の大好きな匂いが出るため夢中になって長時間噛んでしまい、顎や歯に負担がかかり歯の破損につながる恐れがあります。
③「鹿の角」
鹿の角もデンタルケアができる、いつまでも夢中でかじってくれると人気のオヤツですが、ひづめと同じく長時間噛むことで歯が摩耗し歯が欠けてしまうおそれがあります。
実際に動物病院からもひづめや鹿の角が原因と思われる歯の破損事故が報告されているので、与える前によく検討することが大切です。
④「ヒマラヤチーズ」
食品添加物を使わない安全なオヤツで人気のヒマラヤチーズですが、硬いので歯を欠けさせるおそれがあります。
また長時間かじり続けることで歯の表面に細かな傷がつき、歯が摩耗したり汚れがつきやすくなります。
⑤「テニスボール」
テニスボールをおもちゃとして与えている方も多いのではないでしょうか。
「テニスボールは硬くないから噛んでもいいのでは?」と思うかもしれませんが、テニスボールは摩擦が強いため長時間噛んでいるうちに歯が削れて、折れやすくなったり歯の中の神経が出てきてしまうことがあります。
どうして硬いものを噛んだら犬の歯は欠けるの?
犬は硬いものが大好きなイメージがあるのに、どうして硬いものを噛んだら歯が欠けたり折れてしまうのでしょうか。
理由は2つあります。
▼犬の歯が欠けやすい・折れやすい理由は?
①「犬の歯のエナメル質は薄いから」
②「奥歯が硬い物を噛めるようになっていないから」
①「犬の歯のエナメル質は薄いから」
歯の一番外側を覆っている層を「エナメル質」といいます。
熱いものや冷たいもの、酸性の食べ物など色々な刺激から歯の内部を守る役割があります。
人の場合、エナメル質の厚みは2~3mmと言われていますが、犬の場合0.3~0.5mmで人の半分以下の厚みしかありません。
犬は歯が丈夫と思いがちですが、実は人に比べると非常に歯は脆いです。
ただ噛む力自体は人の2倍以上あるので、硬いものを噛むと歯が耐えきれずに折れたり欠けたりしてしまいます。
②「奥歯が硬い物を噛めるようになっていないから」
歯が欠けたり折れたりするのは「第四前臼歯」という奥歯が多いです。
犬が物をかじるときはこの第四前臼歯という奥歯を使います。
ただ、この第四前臼歯は肉を切り裂いたり食べ物を細かくしたりすることに使用される歯で硬い物を噛む仕様になっていません。
そのため、硬い物を噛むと歯が欠けたり折れてしまいます。
愛犬の歯が欠けた、折れた場合どうしたらいいの?
では、愛犬の歯が欠けたり折れてしまったら、私たち飼い主はどうしたらいいのでしょうか。
愛犬の歯が折れたり欠けてしまったらできるだけ早く動物病院に行きましょう。
歯の折れ方や欠け方によっては歯の神経や血管が露出していることがあります。
▼第四前臼歯が割れて神経や血管が露出している
血管から菌が歯の内部に侵入すると、歯の根元に炎症が起きて膿が溜まったり、知覚過敏を起こして食べ物を食べにくくなるおそれがあります。
今トラブルが起きていないように見えても、高齢になって免疫力が落ちてから歯の状態が悪化し、大きな手術が必要になるケースもあるので、気付いた時点ですぐに動物病院に行きましょう。
愛犬の歯が折れた・欠けた場合、放置したらどうなるの?
歯の欠けがほんの少しだったり、愛犬が痛がっていないとそのままでいいかなと思うかもしれません。
ですが、時間がたてばたつほど治療の選択肢は狭くなります。
犬の口内環境はあまり清潔ではありません。
そのため、時間が経過するほど菌による感染のリスクが高くなり、抜歯という選択肢しか取れなくなる可能性があります。
色々な治療法を選択できるように欠けた箇所が少しだったとしても、すぐに動物病院で診察を受けましょう。
愛犬の歯が欠けた、折れた場合の治療は?
では、愛犬の歯が欠けたり折れてしまったら、どんな治療をするのでしょうか。
治療法は大きくわけて2つあります。
①「歯から神経が見えていない場合」
・歯冠修復(破損した場所を詰め物で塞ぐ)
②「歯から神経が見えている場合」
・歯髄保護(神経が露出した部分を塞ぐ)
・抜髄根管充填(神経を抜いて空洞になった部分を埋める)
・抜歯
歯から神経が見えていない場合は、欠けた部分を詰めて整えるという処置で済むこともありますが、歯の中に入り込んだ菌がのちのち炎症を引き起こす可能性もあるので、継続的な通院が必要になります。
一方歯から神経が見えている場合は、神経を取り除く治療や抜歯が行われます。
「犬の年齢」「歯が欠けてからどれくらい時間が経っているか」「細菌感染の有無」「飼い主さんの希望」などを総合的にみて治療方針を獣医師さんが判断します。
抜歯と診断された場合でも歯科専門の動物病院に行くと、別の治療方法が取れる場合もあるので歯科専門の動物病院で診察を受けることをおすすめします。
愛犬の歯に優しいオヤツ・オモチャを選ぶポイント
では、愛犬の歯に優しいオヤツやオモチャはどのように選べばよいのでしょうか。
ポイントをまとめてみました。
▼愛犬の歯に優しいオヤツ・オモチャを選ぶポイント
・オヤツは手で折れる硬さのものを選ぶ
・ハサミでカットできる硬さのオヤツを選ぶ
・プラスチックより布やロープのオモチャを選ぶ
オヤツはハサミで切れたり手で折れるくらいの硬さのものを選びましょう。
またプラスチック製のオモチャは硬すぎたり、遊んでいる最中に割れる可能性があるのでロープや布製のオモチャを選ぶとよいでしょう。
与える際は飼い主さんの目が届きやすい場所で与えたり、与える時間を決めておくと事故が起こりにくいです。
また、パピーや小型犬は中型犬や大型犬に比べると噛む力が弱いので、オヤツやオモチャ選びは慎重に行いましょう。
犬は硬いものが大好きというイメージがありましたが、実際には歯は脆くできており、ちょっとしたことで欠けたり折れてしまいます。
ペット用に売られているから安心と思い込まずに、オヤツやオモチャを選ぶときは十分注意して選んであげましょう。
<参考URL>
ひづめ・鹿の角に注意! ポラリス動物クリニック
>https://www.polaris-ac.com/2023/03/08/%E3%81%B2%E3%81%A5%E3%82%81-%E9%B9%BF%E3%81%AE%E8%A7%92%E3%81%AB%E6%B3%A8%E6%84%8F/
『先生!うちの子、歯が折れましたー!』動物メディカルセンター
>https://dmcgroup.co.jp/blog/%E3%80%8E%E5%85%88%E7%94%9F%EF%BC%81%E3%81%86%E3%81%A1%E3%81%AE%E5%AD%90%E3%80%81%E6%AD%AF%E3%81%8C%E6%8A%98%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%83%BC%EF%BC%81%E3%80%8F
<画像元>
Unsplash
Canva
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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