犬同士のじゃれあいはコミュニケーションのひとつです。
でも犬種によってはじゃれあいがダイナミックであったり、吠えかかったり噛みついたりといった仕草を見せることがあるため、遊びなのか喧嘩なのか判断に迷ってしまうことがあります。
そこで今回は「犬の喧嘩とじゃれあいの違い」や「犬の喧嘩の原因」を紹介します。
「犬同士を喧嘩させないために大切なこと」も合わせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
<目次>
「犬同士のじゃれあいと喧嘩」違いはなに?見抜くポイントは?
犬同士がじゃれあっているのか、それとも喧嘩をしているのかどう見極めればいいのでしょうか。
ポイントは3つあります。
▼犬同士のじゃれあいと喧嘩 違いを見抜くポイント
①「鳴き声・唸り方」
②「尻尾の振り方や体の動き」
③「噛みつき方」
①「鳴き声・唸り方」
激しく興奮していたり喧嘩に発展しそうなときは、歯をむき出しにして低く唸るような声を出します。
嬉しさの表現で唸ったり歯をむき出しにするタイプの犬もいますが、威嚇の場合は唸り声に加えて、表情がこわばって目つきが鋭くなるといった表情の変化も見られます。
愛犬が嬉しいとどんな鳴き方をするのか、怒っているとどんな唸り方をするのかを知っておくと、じゃれているのか喧嘩なのかの判断がつきやすくなります。
②「尻尾の振り方や体の動き」
尻尾をゆったりと振っていたら安心して遊んでおり、尻尾を上にピンと高く上げていたり小刻みに振っていたら興奮していたり緊張している場合が多いです。
また体全体が硬直して動きがこわばりがちになり、背中の毛が逆立ちます。
鳴き方や表情に加えて上記のような尻尾や体の動きをしていたら、喧嘩に発展していく可能性が高いです。
③「噛みつき方」
じゃれあいのときにも甘噛みをすることはありますが、1点を集中して噛んでいたり、噛まれているのが一方的であったり、噛まれた犬が悲鳴をあげていたらじゃれあいではなく喧嘩になっている可能性があります。
すぐに飼い主さんが仲裁に入るようにしてください。
「喧嘩の予兆は?」犬同士が喧嘩をする原因
仲良く遊んでいるように見えても実は遊びではなく喧嘩になっている場合があります。
では、犬同士はどういったことが原因で喧嘩に発展してしまうのでしょうか。
▼犬が喧嘩をする原因
・所有欲や縄張り意識
・発情期の影響
・相手のじゃれあいがしつこい
・不安や恐怖
・所有欲や縄張り意識
犬にも縄張り意識や所有欲があります。
「ここは自分のテリトリーだ」「このおもちゃは僕のだ」と認識している場合、テリトリー内に入ってきたりおもちゃを奪われそうになると、奪われないように相手を攻撃して喧嘩になってしまうことがあります。
犬の所有欲は物や場所だけではなく、食べ物や飼い主さんなどいろいろな物に対してあるので、愛犬が何を大切にしているのかを知っておくようにしましょう。
・発情期の影響
発情期のメス犬がいると、周囲のオス犬が匂いに興奮して喧嘩になることもあります。
特に未去勢のオス犬は反応しやすく、メス犬をしつこく追い回して喧嘩に発展することも少なくありません。
去勢済の子であっても反応して興奮する場合があるので、愛犬が遊ぶ環境に発情期の子がいないか注意するようにしましょう。
・相手のじゃれあいがしつこい
子犬のときに母犬と早く離されたり兄弟との触れ合いが少ないと、経験不足からじゃれあいが上手ではない可能性があります。
乱暴にじゃれあってきたり、終わりにしたいのに何度もしつこくじゃれてきたりすると、相手の犬の怒りを買って喧嘩に発展してしまうこともあります。
・不安や恐怖
臆病な性格の犬の場合、不安や恐怖から攻撃的な態度を取ってしまうことがあります。
また、攻撃的な傾向がある犬もちょっとしたことがきっかけで喧嘩になってしまうことがあります。
「犬同士の喧嘩はどう止める」喧嘩の止め方3つ
では、犬同士が喧嘩を始めてしまったら、飼い主さんはどのように仲裁に入ればよいのでしょうか。
喧嘩の止め方を3つ紹介します。
▼犬同士の喧嘩の止め方3つ
・水をかける
・犬同士の間に物を挟む
・大きな音を出す
・水をかける
犬同士が激しく喧嘩を始めたら、犬に水をかけましょう。
水をかけられると驚いて喧嘩を止めたり、一瞬怯んだりするのでその間に犬同士を引き離しましょう。
・犬同士の間に物を挟む
犬の体を掴んだり犬同士の間に入ろうとすると、興奮した犬が噛みついてくる可能性があります。
喧嘩をしている犬の間にタオルや上着など視線を遮るものを挟みましょう。
一瞬でも視界が遮られると驚いて動きが緩やかになります。
その間に犬同士を引き離しましょう。
・大きな音を出す
大きな音を出すと犬の意識を別なところに向けることができます。
一瞬動きが鈍るのでその間に犬同士を離しましょう。
笛や音の出るオモチャなどは持ち歩きやすいので、仲裁アイテムとして持っておくと安心です。
▼やってはいけない犬同士の喧嘩の止め方
犬が喧嘩を始めたときに一番やってはいけないことは、急に抱き上げようとしたり首輪を掴んで力まかせに引き離そうとすることです。
喧嘩中は興奮状態にあるので、掴まれたことに驚いて飼い主さんを噛んでしまう可能性があります。
また早く犬同士を引き離すことは大切ですが、首輪を掴んで引きずると首が絞まり、首や気管を痛めてしまう恐れもあります。
犬の安全のためにも飼い主さんの安全のためにも、仲裁をするときは水やタオルなどの道具をつかって仲裁するようにしましょう。
犬同士を喧嘩させないために大切なこと
では、犬同士の喧嘩を未然に防ぐために大切なことはなんでしようか。
ポイントをまとめてみました。
▼犬同士を喧嘩させないために大切なこと
・相性のいい犬かどうかを見極める
・トレーニングをおこなう
・ストレスをためない
・相性のいい犬かどうかを見極める
人と同じように犬にも相性があります。
体格差はもちろんですが、遊び方が似ているか、性格や動きが似ているかなど犬同士を遊ばせる前に飼い主さんが相性のよさを見極めてください。
会うたびに「唸られる」「歯をむき出しにする」といったサインを出す子とは相性が悪いので、なるべく避けるようにしましょう。
・トレーニングをおこなう
犬が吠えたり威嚇を始めても「名前を呼ばれたら飼い主さんを見る」などのトレーニングをしておくと、喧嘩を始める前に気持ちを落ち着けることができます。
また、伏せやおすわりといったコマンドは地面に体をつけるので、攻撃体制にうつりにくく冷静さを取り戻すのに役立ちます。
・ストレスをためない
犬はストレスがたまると攻撃性が強くなります。
ストレスをためないように毎日の散歩や遊びは欠かさないようにしましょう。
運動が好きな犬であれば、たまにドッグランや森あそびなどに連れ出してあげるとよいストレス解消になります。
犬のことは犬同士に任せるとよいということを耳にしますが、完全に任せるのではなくときには飼い主さんが間に入って関係をコントロールしてあげることはとても大切です。
最初はじゃれあいをしていたとしてもだんだんヒートアップして本気の喧嘩に発展することもあります。
喧嘩にならないための予防策を取りながら、楽しく遊ばせてあげたいですね。
<参考書籍>
ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック
ヴィベケ・リーセ (著) 藤田 りか子 (著)
ドッグ・トレーナーに必要な 「犬に信頼される」テクニック
ヴィベケ・リーセ (著), 藤田 りか子 (著)
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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