犬の室内飼養が多くなり、近頃は冬の時期に愛犬の寒さ対策をするのは不思議ではなくなってきましたが、皆さんは愛犬の今年の冬支度はお済でしょうか?
寒冷地域に住むワンちゃんの飼い主さんは特に、冬支度をすでに済ませ、準備万端!という方も多いかもしれませんね。
けれどその毎年の寒さ対策、そのままで大丈夫ですか?
今回は、愛犬の飼養方法別で寒さ対策を見直したいポイントと犬の快適な冬の過ごし方をまとめました。
愛犬の冬支度が万全なら安心!…とは限らない
日に日に気温が下がり、人だけでなく、愛犬にも寒さ対策を気に掛けたい冬の季節。中でもシングルコートのワンちゃんやスムースコートのワンちゃん、体格が小さいワンちゃんを飼養している飼い主さんについては、出来るだけ寒くないように、愛犬の冬支度は万全に!と考える人は多いことでしょう。
ただ、愛犬の冬支度(寒さ対策)は、飼い主さんが「これで万全!」と思っても、その犬種の特徴やその時の健康状態、年齢、飼養方法によっては十分過ぎる場合もあれば、不十分な場合もあります。
犬は人同様、一般的には恒温動物(こうおんどうぶつ)と言われる、外気温に左右されずに一定の体温を保てる動物です。
しかし、特に子犬やシニア犬に至っては、人ほど温度変化に対する対応は上手ではなく、時として熱中症や低体温症などの弊害を起こしてしまうことも可能性としては考えられます。
そのため、愛犬の冬支度(寒さ対策)を行ってあげる時には、犬の正常な体温である、おおむね38.5度~39.0度のこの平熱を目安に冬支度(寒さ対策)をするよう意識するのが大切です。
【自宅で愛犬の平熱を知る方法】
1.犬用体温計の先端にワセリンや食用オイルなどを塗って肛門内で直腸温を測る。
2.耳用または非接触型の体温計で耳介内の体温を測る。
3.日頃から愛犬の脇の下や内股を触って大体の体温を知っておく。
上記で示した方法以外にも、愛犬がパンティング(舌をへっへとする仕草)をしていたり、逆に寒そうに丸まっていたりしていれば、ある程度現在の冬支度(寒さ対策)では、温め過ぎかそうでないかを判断出来ますが、それではやはり不安だと感じるようなら、動物病院で愛犬の日々の正確な体温を測ってもらうよう心掛けましょう。
室内飼養で見直す寒さ対策ポイントって?
それでは、今や多くの飼い主さんの常識となった室内飼養で見直す寒さ対策ポイントとはどういった事なのでしょうか?室内だとついつい見落としがちな点に着目しながら確認していきましょう。
室内飼養の寒さ対策見直しポイント:熱中症
室内飼養の寒さ対策をする上で見直したいポイントの一つ目は、熱中症です。寒さ対策をするからには、やはりそれなりの防寒対策が必要なのはその通りなのですが、だからと言って暖房の効いた室内でも服を着せたままの状態は、特に子犬やシニア犬で熱中症を起こしてしまう危険性があります。
寒がっている場合を除いては、散歩から帰ってきた後には服を脱がして、室内の暖房器具の使用などで、温度調整、湿度調整をして過ごさせてあげましょう。
室内飼養の寒さ対策見直しポイント:皮膚の乾燥
私たち人でもそうですが、冬の乾燥する時期にエアコンのみで室内を温める方法は、人の皮膚以上にデリケートで敏感な犬の皮膚を乾燥させてしまうため、寒さ対策の見直しポイントとして注意が必要です。
エアコンは部屋を温めてくれる一方、加湿器などの併用で使用しないと室内が乾燥し、愛犬の皮膚のバリア機能低下を招いて、皮膚の痒みや被毛のパサつきなどを起こしてしまいます。
寒さ対策で部屋をしっかり温めるためにエアコンを使用することはとても大切ですが、その時には加湿器を付けてしっかりと部屋の湿度を保ったり、愛犬に保湿クリームやスプレー、ローションなどで皮膚が乾燥したりしないように心掛けましょう。
室内飼養の寒さ対策見直しポイント:低温火傷
寒さ対策として欠かせない暖房器具のホットカーペットは、エアコンよりも経済的で、足元から体を温めてくれるため、愛犬が好んでその場でじっと寝息を立てるという姿も珍しくないと思いますが、そうした時に気を付けたい見直しポイントが、低温火傷です。
現在はペット専用のホットカーペットなどが売られていて、温度の調整も何段階かに分けられる商品が多数見受けられますが、私たち人用のホットカーペットを好む愛犬の場合、皮膚の薄さが人の1/3~1/5程と言われる犬には、低温火傷の危険性があります。
特にシニア犬については一度その場に寝てしまうとなかなか起きずに知らない内に火傷していたという状態も不思議ではないため、出来る限り頻繁に確認するよう心掛け、出かける際には必ずホットカーペットは消して、湯たんぽやカイロなどで代用しましょう。
室内飼養の寒さ対策見直しポイント:脱水症状
エアコンやホットカーペットと肩を並べて冬の暖房器具で欠かせないのがこたつですが、こたつに好んで入るワンちゃんは、脱水症状に陥らないように注意しましょう。
昔は脚が短いこたつが多かったので、人がこたつに入れば入った分、例え愛犬がこたつに潜り込んでも結果的に押し出されて掛け布団の上で寝ていることもあったかもしれませんが、現在はダイニングこたつテーブルという脚が長くて、椅子に腰かけるタイプのものも多くなったため、愛犬がこたつに潜り込んでも、飼い主さんたちの足が愛犬にぶつかることはなくなり、ある程度のスペースを愛犬が確保できるようになりました。
人でもこたつで寝たら風邪を引くと言われるだけあり、こたつは温かくて心地よい半面、乾燥や脱水症状を引き起こしてしまう危険性があるため、特に水分補給を怠りがちなシニア犬は、定期的に状況を確認するように心掛け、飼い主さんが出かける際には必ずこたつは消して出かけるように注意しましょう。
屋外飼養で見直す寒さ対策ポイントって?
では、逆に今ではすっかりマイナーとなった屋外飼養で見直す寒さ対策ポイントには何があるのでしょうか?
ご家庭のご事情や状況によって、どうしても屋外飼養になってしまう時の寒さ対策の見直しポイントを確認していきましょう。
屋外飼育の寒さ対策見直しポイント:低体温症
寒さ以外にも、ケガや病気などで起こり得る低体温症は、犬が大体37.5度以下になってしまうと震え、心拍、血圧の低下、不整脈、呼吸困難など様々な症状に見舞われます。
屋外飼養をしている飼い主さんの中には、寒さ対策として毛布を犬小屋に敷き詰めてあげたり、洋服を着せてあげたり、出来る限りの防寒対策をしている飼い主さんは多いかもしれません。
しかし、低体温症は一般的に熱が出た場合よりも危険な状態だと言われており、放置しておくと命の危険があるため、この場合には直ちに温かい場所に移動させ、温かいものを飲ませたり、毛布で体を包んだりしてあげてください。
屋外飼育の寒さ対策見直しポイント:凍傷
凍傷と聞くと、人の症状というイメージを持つ人も多いと思いますが、実は犬も発症率は低いものの、全くならないという訳ではありません。
例えば愛犬に心臓病などの持病があった場合、その影響で血液の循環が悪くなると、寒さの度合いによってはしっぽや耳、足先などに凍傷が起きることがあります。
凍傷になると患部が赤紫色に腫れあがり、放っておくと化膿、最悪は脚の切断という状態になってしまいかねないため、可能であれば冬場だけでも室内飼養に切り替えて、温かい環境の中で愛犬を過ごさせてあげるように心掛けましょう。
犬の快適な冬の過ごし方とは?
室内飼養であれ、屋外飼養であれ、犬と寒い冬の季節を過ごすためには、色々と工夫が必要です。
犬は人と生活を共にする中で、人に合わせた生活環境に順応し、昔言われていた寒さに強い動物という考えは、変わりつつあります。
そのため、出来る事なら犬は室内飼養で過ごさせてあげることをお勧めします。
というのも、犬を室内で飼養させることは、冬の寒さを凌ぐためだけではなく、脱走や事故、連れ去り事件の防止やノミ・ダニの感染症予防、体調不良やケガの防止など、様々なメリットがあり、特に犬の室内飼養は、屋外飼養だった頃よりも寿命が延びる可能性も示唆されているためです。
これまでご紹介した見直しポイントは、前述でもお伝えしたように、愛犬の特徴や年齢、健康状態、飼養環境によって大きく変更する必要もあれば、ちょっとした工夫で対応できる場合もあります。
ただ、何よりも飼い主さんが注意してほしいのが、室温、湿度管理です。
犬が冬場快適に過ごせる温度というのは、冬場では大体20℃~23℃と言われており、湿度は大体40%~60%が快適とされているため、これらの目安に注意しながら、愛犬には快適な冬ライフを過ごさせてあげてください。
まとめ
犬の寒さ対策は、基本的には飼い主さんの手助け無くして適切な体温管理は適いません。
だからこそ適切に、愛犬が快適に冬という寒い季節をしっかり乗り切れる室内環境は私たち飼い主の責務として、しっかりと整えてあげたいものですね。
<参考書籍>
犬の医学
もっともくわしいイヌの病気百科 イヌの病気・ケガの知識と治療
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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