日々欠かすことが出来ない愛犬との散歩。
愛犬のストレス発散だけでなく、飼い主さんとのコミュニケーションを図るために散歩は大切な日課ですよね。
しかし、そんな愛犬との散歩で要注意なのが、通称「ひっつき虫」と言われる植物です。
この記事では、犬の体に一度引っ付くと結構厄介!散歩中に用心したい「ひっつき虫」の種類や対策についてご紹介します。
<目次>
犬の天敵!?「ひっつき虫」ってどんなもの?
散歩中、多くのわんこと飼い主さんが一度は経験するだろう「ひっつき虫」。
名称こそ「虫」と呼ばれることが多いため、犬を初めて迎える飼い主さんにしてみたら一瞬ドキッとしてしまうかもしれませんが、この「ひっつき虫」の実態は、植物の俗称に過ぎません。
「ひっつき虫」と称される植物の特徴は、植物自身が子孫を広範囲に広げるために、種子や果実の表面を棘やフック状にして、愛犬や人の衣服に付き、代わりに運んでもらう植物の事を指します。
特に犬の場合、犬種によっては植物の背丈と愛犬の背丈がほぼ一緒、または高い位置になることが多く、さらに普段の散歩で草むらに入ってしまう犬だと、「ひっつき虫」がいつの間にか体中にびっしり付着してしまうことは珍しくないでしょう。
「ひっつき虫」は基本的に、棘やフック状の表面をしている植物の俗称なので、「ひっつき虫」自体の正式名称は、くっ付いてきた植物によって異なります。
しかし、人の衣服に付くだけでもなかなか取りづらく、厄介な「ひっつき虫」が、犬の体に「ひっついて」しまった時には、その豊富な被毛に絡まってしまうことでさらに厄介になってしまいます。
そのため、人の場合であれば洋服を着替えれば済むことも、犬の体に「ひっつき虫」がくっ付いてしまった時には、その「ひっつき虫」の植物の種類によっては、最悪外科手術で取り除くといった方法が選択肢に加わることもあるので、適切な対策法を知っておくことが大切です。
「ひっつき虫」に該当する植物
では、実際に犬の体に「ひっついて」しまう「ひっつき虫」の種類には、どんなものがあるのでしょうか?
普段散歩するルートで以下に該当する植物があるようなら、事前に回避させるか、出来る限り接触させないように愛犬をコントロールしてあげてください。
犬の天敵!「ひっつき虫」①:シマスズメノヒエ
筆者が3代目柴犬と共に散歩するルートにも多く群生しているシマスズメノヒエという「ひっつき虫」は、イネ科の植物で、稲の周りには黒い粒のようなものがたくさんある植物です。
この黒い粒の正体は雄しべの一部で、花粉が入った袋である【葯(やく)】というものなのですが、これが実は「ひっつき虫」の一つです。
シマスズメノヒエで厄介なのは、実際にこの黒い粒状の【葯(やく)】がくっ付くこと自体もそうですが、何よりも犬がこの穂先の下を通ると、穂の熟し加減で発生する、ネバっとした液によって、被毛がべた付くこと…。
筆者の愛犬の場合、2代目のシェルティの時に通らせてしまい、【葯(やく)】が引っ付く、被毛がべた付きちょっとした毛の束が出来るといった経験をし、だいぶこの植物には手を焼きました。
現在3代目柴犬では、短毛という事もあって黒い粒状の【葯(やく)】についての被害はありませんが、2代目シェルティのような長毛犬種の場合には、【葯(やく)】の絡みつきに加えて、被毛のべた付きについても早めの対処を心掛け、毛玉などにならないように注意しましょう。
犬の天敵!「ひっつき虫」②:イノコヅチ
一見「ひっつく」要素がなさそうなこちらのイノコヅチという「ひっつき虫」は、ヒユ科に分類される植物で、実際に犬や人の衣服にくっつくのは、イノコヅチの種子になります。
基本的には、画像のイノコヅチが秋頃に発芽した時に、犬がその付近を通ったり、イノコヅチが生えている草むらに入ったりすると、棘のある種がぽろぽろ落ちて犬の体にくっつきます。
付いた種は、手櫛で梳くようにして愛犬を撫でれば比較的簡単に取れますが、種子が付いた際の毛の絡まり方や種子が付きやすい場所には注意するようにしましょう。
長毛犬種の場合、肢先の飾り毛や胸周りの飾り毛は、付きやすい傾向があり、また、絡まりやすいので注意しましょう。
一方で短毛犬種については、毛が短い分、体に付いた種子は取りやすいですが、顔周りの目頭に一度ついてしまうとなかなか取りづらいため、注意が必要です。
イノコヅチの種子が愛犬についているのを発見したら、付いているところに注意しながら優しく払ってあげてください。
犬の天敵!「ひっつき虫」③:チカラシバ
しっかりとした草で、引き抜く際にも力を要するといった点から、和名では力芝と呼ばれるこの「ひっつき虫」は、シマスズメノヒエ同様イネ科の植物です。
道端によく見かける雑草の一種で、試験管のブラシのような穂が特徴的な植物ですが、この穂に付いている種が犬の体に「ひっつき虫」としてくっつきます。
チカラシバの種子の特徴は、その種に複数生えた大小の毛です。
チカラシバは、種子が冬に近づくにつれて乾燥すると、小麦色に熟していくため、その時に犬がチカラシバの近くを通ると少し触れただけで種子がポロポロと落ちてしまいます。
筆者の愛犬もそうですが、特に短毛犬種で立ち耳のワンちゃんの場合だと、草むらを歩き回っているうちに体だけでなく、耳の中にまで入ってしまう危険性があるため、耳に入らないように細心の注意を払うようにしましょう。
チカラシバの種子に生えている大小複数の毛は、犬の肉球に刺さってしまっても大変なので、散歩ルートにチカラシバが群生している時には、愛犬がその付近を歩かないようにしっかりと飼い主さんがリードをコントロールしてあげましょう。
犬の天敵!「ひっつき虫」④:オオオナモミ
見た目からして体に付いたり、踏んでしまったりすると痛そうなオオオナモミという「ひっつき虫」は、キク科に属していて、犬の体や人の衣服に引っ付きやすい植物ナンバーワンと言ってもいいほど、厄介な植物です。
オナモミ類はその昔、衣服に付いたこのオナモミを取ろうとするとますます強くくっ付くことから、「揉むな」という言葉が名前の語源と考えられているそうです。
そして、それだけ強い粘着力から、マジックテープのヒントにもなったのだとか…。
オオオナモミは、通常のオナモミ以上の強力な鉤つきの棘を持っていて、誤って犬がその実に触れれば、その鉤つきの棘が犬の毛にがっしりと絡みつきます。
また、もしもこのオオオナモミの実を犬が誤って踏んづけてしまった時には、強烈な痛みを伴い、歩きたがらなくなるため、気付いた際には細心の注意を払いながら慎重に愛犬からオオオナモミを取ってあげましょう。
犬の天敵!「ひっつき虫」⑤:ノギ
漢字で書くと【芒(ノギ)】と読むこちらの「ひっつき虫」は、イネ科の植物で、稲穂に付いている種子の先には、細長いひげのような毛が生えています。
ノギは散歩の脇道などに多く自生しているため、知らぬ間に愛犬がその付近を歩いてノギが足に刺さってしまったり、耳に入ってしまったり、目の中に入ったりしてしまうと、自然と出てくるのはまず不可能と言われています。
ノギの種子は、先端が尖った形をしている一方で、後ろの方は段々と広がっている形状をしているため、犬が頭を振れば振るほど、ノギはどんどん刺さってしまう状態になります。
ノギは夏時期から過ごしやすくなる秋頃にかけて動物病院を来院するワンちゃんが多いため、この時期の散歩ルートでノギを見つけた際には、その周辺を愛犬が歩かないように注意しながら散歩してあげてください。
犬に「ひっつき虫」をくっつかせない対策法
では、犬にとって一度くっ付いてしまうと何かと厄介な「ひっつき虫」を、くっ付かせない対策法をここからはご紹介します。
「ひっつき虫」があるところに近づかない
多くの犬は草むらを歩き回って散策したり、走り回ったりすることが大好きですが、芝生以外の雑草が群生している場所を犬が好きなように歩くのは、逆に危険を伴います。
「ひっつき虫」に該当する雑草がどれに当たるのかパッと見分からないことも少なくないため、少なくとも芝生以外で愛犬を自由に歩かせることは控えましょう。
スリッカーブラシやコームで毛を梳かす
散歩中、どうしても草むらに入りたがってしまうワンちゃんなら、思いっきり歩き回ったり、走り回ったりした後に、必ずスリッカーブラシやコームで毛を梳いてあげましょう。
顔周りを行う時には、時と場合によって使い分けることが大切ですが、スリッカーブラシを使う時には、ピンの先が玉つきになっているものが、愛犬の皮膚を傷めつけることもなく「ひっつき虫」を取り除けるのでオススメです。
ナイロン製の洋服や靴、犬用ゴーグルを着用させる
散歩に出かける度にブラッシングをするのが大変な犬の場合、事前にナイロン製の洋服や靴、犬用ゴーグルを着用させることで、ある程度「ひっつき虫」の付着を防ぐことが出来ます。
ただし、立ち耳犬種や色々な匂いを嗅いで探検する好奇心旺盛な犬の場合、耳の穴や鼻の穴については無防備となってしまうため、草むらを出た後はしきりに頭を振る仕草をしていないか、くしゃみが多くないかなどを確認して、少しでも何か異変を感じるようなら動物病院を受診するよう心掛けましょう。
まとめ
「ひっつき虫」と呼ばれる植物は、種類によっては冒頭でお伝えした通り、外科的手術を要してしまう場合があります。
特にトイプードルやミニチュアシュナウザーといったカーリーコートを持つ犬種は、「ひっつき虫」が付くとなかなか取ることが難しいため、何か愛犬に異変を感じた時には、一日も早く動物病院を受診してくださいね。
<参考サイト>
ひっつきむし図鑑
>https://www.biodic.go.jp/reports2/parts/5th/5_96_tebiki/5_96_tebiki_03.pdf
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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