皆さんは【フードアグレッシブ】と呼ばれる犬の問題行動をご存知ですか?
フードアグレッシブは、普段とても大人しい犬が、突如として飼い主さんに牙を剥いて威嚇したり、攻撃に転じたりする行為の事を指すのですが、実はこの他にも様々なアグレッシブ行動があります。
今回は、ご飯以外でも起こり得る、様々なアグレッシブの種類について、また、そのパターン別に見る愛犬との向き合い方や注意点をご紹介します。
<目次>
犬に見られる様々なアグレッシブの種類とは?
一般的にアグレッシブとは、英語で『攻撃的な』といった意味や『侵略的な』といった意味合いの強い言葉を表す用語です。
では、そんなアグレッシブ、犬が見せるものには一体どんな種類があるのでしょうか?
以下で確認してみましょう。
フードアグレッシブ
【フードアグレッシブ】は、愛犬家さんの間では比較的広く知られている問題行動の一つです。
この【フードアグレッシブ】で見られる行動は、主に牙を剥いて警戒や威嚇をする姿勢、または実際に嚙みつきや攻撃に転じ、飼い主さんに襲い掛かってくる姿勢などが挙げられます。
【フードアグレッシブ】がある犬は、タイミングによっても対応が変わってきます。
考えられるパターンとしては、食事の準備をしだした時、ご飯中に近くを通りかかった時、食事が終わって食器を下げようとした時に強く表れる可能性があるため、もしも愛犬に【フードアグレッシブ】の疑いがあるようなら、まずはどの段階で愛犬が攻撃行動に転じるのかを見極めることを意識しましょう。
トイアグレッシブ
お気に入りのおもちゃを犬が抱え込んで離さず、一緒に遊ぼうと愛犬のおもちゃに手を伸ばし、取ろうとした瞬間攻撃に転じる【トイアグレッシブ】は、飼い主さんの遊びたい心情とは裏腹に、犬が見せる問題行動の一つです。
程度の差はあれど、【トイアグレッシブ】で犬が見せる行動も、主にフードアグレッシブ同様、警戒や威嚇、噛みつきといった攻撃行動に転じます。
また、【トイアグレッシブ】の場合、特定のおもちゃやお気に入りのおもちゃのみに執着するタイプなのか、それともおもちゃというおもちゃすべてに対して執着してしまうのか、物は何でもよく、とにかく取り上げられることに対して攻撃性を見せるタイプなのかによっても対応は変わってくるため、【トイアグレッシブ】のワンちゃんの飼い主さんは、その違いを見極めることから始めましょう。
リードアグレッシブ
アグレッシブの中でも、一番聞き馴染みがない【リードアグレッシブ】は、散歩に対して苦手意識の強い犬やそれまで保護犬だった犬に起こりがちな問題行動の一つです。
【リードアグレッシブ】によって主に見られる行動は、リードに対する警戒や威嚇、攻撃行動に加え、飼い主さんに対する警戒や威嚇、攻撃行動などが挙げられます。
【リードアグレッシブ】が、フードアグレッシブやトイアグレッシブの場合と違うところは、多くはその対象がリード自体に対する不快感や飼い主さんによって行動の制御がされることへのイラ立ちによって引き起こされることがある点です。
【リードアグレッシブ】では、上記2つのアグレッシブと違って、屋外で見られる場合も少なくなく、最悪他人を巻き込んでしまう可能性があるため、どのアグレッシブについても対応は必要なものの、上記の2つ以上の早急な対応を心掛ける必要があります。
アグレッシブパターン別から見る愛犬との向き合い方と注意点
フードアグレッシブの愛犬との向き合い方と注意点
【フードアグレッシブ】傾向の強い犬は、もともと性格的に警戒心が強かったり、神経質や繊細な性格だったり、パーソナルスペース(他人に侵害されると不快を感じるスペース)の許容範囲が狭かったり、触られること自体にも苦手意識が高い日本犬や生まれた環境によって、兄弟間の食への競争率が高かった場合は注意が必要です。
まずはその子の基本的な性格を理解した上で愛犬と向き合ってあげることを意識しましょう。
また、【フードアグレッシブ】は、上記でも述べたように食事を与えるタイミングによって対応を変えていく必要があるため、愛犬がどのタイミングでどういった反応を示すのかといった見極めもしっかりと理解しておく必要があります。
<フードアグレッシブの愛犬に対する注意点>
【フードアグレッシブ】はその名の通り、食と直結しているので犬も執着しやすく、攻撃にも転じやすい状態となっています。
そのため、中にはゴム手袋を着用した上で与えたり、長靴を履いた状態で愛犬に食事を与えたりする飼い主さんもいるかもしれませんが、それはかえって警戒心を高めてしまう原因になる可能性があります。
上記で挙げた
- 食事の準備をしだした時
- ご飯中に近くを通りかかった時
- 食事が終わって食器を下げようとした時
これら3つに共通する点としては、出来る限りリードで制御できるようにした上で、徐々に改善する方向へもっていきましょう。
ただし、もしそれが難しく、危険だと感じるようであれば、即刻トレーニングを中止し、専門家の力を借りるようにしてください。
▼【合わせて読みたい!こちらの記事もオススメです】
フードアグレッシブってなに?犬の性格や生活環境との関連性や原因・対処法について
>https://www.inutome.jp/c/column_9-230-38697.html
トイアグレッシブの愛犬との向き合い方と注意点
【トイアグレッシブ】傾向が強い犬は、例えば警戒心、神経質、パーソナルスペースの狭さ、また、お気に入りのものを守りたがる傾向が強い小型犬や狩猟犬として活躍していたテリア種などで注意が必要です。
まずはその子にとって、お気に入りのおもちゃに限ってアグレッション(攻撃的衝動)を起こすのか、犬にとって危険なものであっても、アグレッション動作を見せるのか見極めましょう。
お気に入りのおもちゃに限って【トイアグレッシブ】を見せるのであれば、トラブルになるおもちゃは与えずに、他のおもちゃで代用を。
もし、すべてのおもちゃに執着するなら、おもちゃは一切与えないという方法もあります。ただ、「それではあまりにも可哀そう」と感じてしまう飼い主さんについては、遊ぶ場所を変更することで気が散っておもちゃへの執着心がなくなる子もいるので、その場合は外でおもちゃ遊びをするという方法で様子を見て、都度対応してみましょう。
<トイアグレッシブの愛犬に対する注意点>
【トイアグレッシブ】の犬と向き合う時に注意したいのは、その対象がおもちゃに対するものだけなのか、日用品や犬が口にすると危険なものに対してもそうなのか、といった点です。
“トイ”=おもちゃではありますが、犬にとっては遊べるものはどんなものであってもおもちゃに出来てしまいます。
そのため、日用品や消耗品の中でも、特に注意しておきたいのは、中毒性のある観葉植物や乾電池や磁石、たばこの吸い殻、洗剤、人が服用する錠剤などは決して愛犬が手に出来ない高い場所に保管するようにしましょう。
逆に、おもちゃにのみ執着心を見せるようなら、上記でも述べたように、別に代用品を用意した上で「チョウダイ」のトレーニングを行いましょう。すべてのおもちゃに執着するようなら、一切与えない代わりに散歩時間を増やしたり、遊ぶ場所を屋外へ限定したりといった工夫をして徐々に改善へもっていきましょう。
ただし、無理強いはかえって悪化も招きますので、危険だと感じるようであれば、即刻トレーニングを中止し、専門家の力を借りるようにしてください。
リードアグレッシブの愛犬との向き合い方と注意点
【リードアグレッシブ】傾向が強い犬は、警戒心や独立心、感情の主張が強かったり、そもそも散歩をする機会をあまり与えてもらえなかったりした保護犬などで注意が必要です。
【リードアグレッシブ】に対しては、最善の向き合い方で挙げられる方法として、散歩をする際、口輪をつけて散歩に行く方法が考えられます。ただ、この方法は【リードアグレッシブ】がある愛犬に口輪を付けて散歩に出るため、付ける行為自体は決して悪いわけではないものの、見る人によっては外見的に『可哀そう』とか、『苦しそう』といった印象を強く与えてしまうことも否めません。
そのため、口輪以外のもので対処するには、一旦立ち止まって愛犬の気になる対象が通り過ぎるのを待ったり、おやつで気を逸らしたり、また愛犬がリードを引っ張られたと感じたことで怒りがこちらに向くようなら、引っ張るという行為に代わるコマンド(例えばマテやオスワリなど)を使って、改善を図るという方法もあります。
<リードアグレッシブの愛犬に対する注意点>
これまでご紹介した上記のアグレッシブと違って、【リードアグレッシブ】で起こる威嚇や警戒心・攻撃性を示す対象は、リードまたは飼い主、もしくは他人に向いてしまう危険性があります。
例えば愛犬が気になった対象に対して近寄りたがった時、飼い主さんがリードを張ったことで近寄れずに愛犬がイラ立った時には、一番近くにいる飼い主さんに攻撃の対象が向いてしまいます。
また、仮に運良くそれを回避できたとしても、その時たまたま自転車が通りかかったら、その自転車の他人に対して攻撃を向けてしまうかもしれません。
【リードアグレッシブ】については、他人も関係してくる事例です。
ご自身だけで愛犬を制御することが困難な場合には、無理に飼い主さんご自身で改善しようとするのではなく、上記2つのアグレッシブ同様、トレーニングのプロに任せて改善を図るようにしてください。
まとめ
いかがでしたか?
フードアグレッシブ以外にも、アグレッシブと名の付くものには、トイであったり、リードなども対象になります。
愛犬にアグレッション(攻撃的衝動)傾向が見られるようなら長い目で愛犬と向き合い、また、難しい場合には無理せずに専門家に相談して対応してもらってくださいね。
<参考書籍>
犬のしつけ きちんとブック かみグセ解消編
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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