愛犬が高齢になり「なんだか毛がパサパサになったなぁ」と感じることはありませんか?
年齢が高くなると皮膚や毛の状態が変化するとよく耳にしますが、できればいい状態をキーブしてあげたいですよね。
そこで今回は「老犬の毛がパサパサになる原因」と「その解決策」をお話していきます。
「実は病気が隠れていた」という場合もあるので、ぜひ最後までご覧ください。
老犬になるとおきる「皮膚・毛の変化」とは?
愛犬がシニア期に入ると体にさまざまな変化が現れます。その一つが「皮膚」や「毛」の変化です。
では老犬になると、皮膚や毛にどんな変化が現れるのでしょうか。
▼老犬になると起きる皮膚・毛の変化
・毛が薄くなる
・毛の伸びが悪くなる
・皮膚に弾力が無くなる
・毛の色が薄くなる
・白髪が増える
皮膚には水分を蓄える機能がありますが、この機能は加齢とともに低下していきます。
そのため皮膚の水分がどんどん減り、皮膚にハリや弾力がなくなってきます。
皮膚の状態がよくないと生える毛にも影響を与えます。
「毛が育つ前に抜ける」「十分に毛が育たない」といったことが起きるので「毛が薄くなる」「毛の伸びが悪い」といった毛質の変化を感じやすくなります。
では、毛が「パサパサになる」直接の原因はなんでしょうか。
考えられる原因を4つご紹介します。
老犬の毛が「パサパサになる」原因4つ
▼老犬の毛が「パサパサ」になる原因
①病気にかかっている
②皮膚の水分量が少ない
③食事内容があっていない
④血行不良
①病気にかかっている
先ほど加齢で皮膚や毛の状態が変化するとお話しましたが、病気にかかっていて毛並みが変化している場合があります。
高齢になると「クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)」や「慢性腎臓病」といった病気にかかりやすくなります。
▼「クッシング症候群」ってどんな病気?
腎臓の近くにある「副腎」という臓器から「副腎皮質ホルモン」が過剰に分泌され、体に悪影響を与える病気です。
「副腎皮質ホルモン」は毛の生え変わるサイクルに影響を与えるので、脱毛や毛並みの乱れが現れます。
▼「慢性腎臓病」ってどんな病気?
長い期間をかけて徐々に腎臓の機能が低下し、老廃物が体にたまる病気です。
「毛艶がなくなる」「毛がパサパサになる」といった症状が現れます。
どちらの病気も毛並みに変化が現れます。
「年だから」と思いこんでいると病気を見落としてしまうので、毛がパサパサになったと感じたら一度動物病院で診察をするとよいでしょう。
②皮膚の水分量が少ない
先ほど皮膚の水分を蓄える機能は加齢とともに低下するとお話しました。
水分不足は乾燥をまねき、皮膚を硬くして皮膚の生まれ変わるサイクルを乱れさせます。
毛が生える土壌である皮膚の状態が悪いので、毛がパサパサになり毛艶が悪くなります。
③食事内容があっていない
皮膚や毛を作っているのはタンパク質です。
そのため、タンパク質が不足すると皮膚の生まれ変わりが正常に行われなくなります。
また、皮脂の分泌も低下するので毛がパサパサになり毛艶がなくなります。
必須脂肪酸も皮膚の水分を保つのに欠かせない成分ですが、食事でしか補うことができず不足すると毛がパサつきやすくなります。
年齢が高くなって毛並みが変化してきたら、食事内容を見直してもよいかもしれません。
④血行不良
犬が高齢になると病気や痛みなどで動くのを億劫がり、運動の機会が減ります。
運動の機会が減ると筋肉量も減るので血の巡りが悪くなり血行不良に陥りがちです。
血行不良になると血管の隅々まで酸素や栄養を運ぶことができないため、皮膚の生まれ変わりがうまくいかず、毛もパサパサになってしまいます。
毛並みを良くするためにできる4つのこと
毛がパサパサになる原因を4つお話しました。
では、愛犬の毛並みをよくするために飼い主さんができることはなんでしょうか。
ポイントを4つご紹介します。
▼毛並みを良くするためにできる4つのこと
①動物病院を受診する
②ブラッシングをこまめにする
③保湿をする
④食事を見直す
①動物病院を受診する
毛がパサパサになる原因でもお話したように、病気が原因で毛質が変化している可能性があります。
とくにクッシング症候群の初期症状は「毛がパサパサになる」「皮膚が黒ずむ」「毛が薄くなる」といった老化でよく現れる症状と似ています。
毛質に変化が見られたら、一度動物病院で診てもらうとよいでしょう。
②ブラッシングをこまめにする
ブラッシングは毛並みを整えるだけではなく、皮膚を刺激することでマッサージ効果や血行促進効果も期待できます。
また、体から抜け落ちた毛も取り除くことができるので、皮膚を清潔に保つこともできます。
毛がパサパサになったと感じたら、こまめにブラッシングをしてあげましょう。
皮膚に直接当たっても痛くないピンブラシ(ピンの先端が丸いブラシ)やラバーブラシがおすすめです。
③保湿をする
年齢が高くなると皮膚の水分保持量は少なくなり、硬くなりがちです。
皮膚の状態を良くしないと、良い状態の毛は育ちません。
毛がパサパサになったと感じたら、保湿をするのをおすすめします。
お湯に溶かしてシャンプー後にかけるタイプの保湿剤やスプレータイプの保湿剤など、いろんな形状の保湿剤がでているので、愛犬に合うものを探してみてください。
④食事を見直す
老犬になったら一度食事を見直してみましょう。
シニア用のフードに切り替えるのもよいのですが、今食べているフードで良い状態をキーブできているのであれば、プラスでサプリメントを添加してみましょう。
特に毛がパサパサになる原因でお話した「必須脂肪酸」は皮膚から水分を逃がしにくくする働きもあります。
体で合成できない成分なので、毛がパサパサになったと感じたらサプリメントなどで補うとよいでしょう。
老犬になると毛の変化は避けられませんが、こまめにブラッシングをしたり保湿をしたりすることで、毛の状態をキープすることは可能です。
こまめに毛のお手入れをしてあげることは、皮膚の状態のチェックや病気の発見にも繋がります。
今回お伝えした内容をぜひ愛犬の健康維持に役立ててくださいね。
<参考書籍>
・イヌの老いじたく 7歳からの最適な飼い方を伝授 臼杵 新 (著)
・アジア動物スキンケア検定 公式テキスト 動物スキンケア実践ガイド 岩﨑 利郎 (著)
・臨床栄養学―獣医学教育モデル・コア・カリキュラム準拠 阿部又信 (著), 左向敏紀 (著)
<参考URL>
治療により脱毛が改善したクッシング症候群の犬の1例 つつじヶ丘動物病院
>https://ttj-anihos.com/syorei/case65-%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8A%E8%84%B1%E6%AF%9B%E3%81%8C%E6%94%B9%E5%96%84%E3%81%97%E3%81%9F%E3%82%AF%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%E3%81%AE/
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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