新型コロナウィルスの蔓延は、私たちの生活に大きなダメージを与えました。
生活様式がガラリと変わり、ストレスを感じていた方も多いのではないでしょうか。
しかしアイペット損害保険㈱が運営する「PEDGE(ペッジ)」がおこなったアンケートによると、ペットを飼っている家庭は精神的ストレスが軽減され、家族関係が良好であったことがわかってきました。
長く不安だったコロナ禍で、ペットが私たちに与えてくれていたことはなんでしょうか。
ぜひ最後までご覧ください。
コロナ禍のストレスはコロナ前の1.4倍

働き方の変化や自粛期間など行動の変化が多かったコロナ禍ですが、人々はどのくらいストレスを感じていたのでしょうか。
マーケティング情報を発信している「知るギャラリー」がおこなった調査によると、「コロナ前」と「コロナ禍」では、ストレスの頻度は下記のように変化していることがわかりました。
▼日常生活や仕事、学校でのストレスは?(サンプル数:2572)
ストレスをよく感じる人はコロナ前には「11.7%」だったのに対し、コロナ禍では「22.6%」まで増加しており、約2倍に増えています。
また「ストレスをよく感じる」と「たまに感じていた」を合わせると、ストレスを感じる割合は58%まで跳ね上がり、コロナ禍のストレスはコロナ前の1.4倍という結果になりました。
コロナ禍は感染リスクや行動の制限など常に不安を感じる状況だったため、より強くストレスを感じる方が多かったのではないでしょうか。
しかしこのような不安が多い環境でも、ペットが一緒にいることで精神的に安定し、ストレスが軽減されるということがわかってきました。
では、ペットが私たち飼い主に与えてくれていたものはなんでしょうか。
ペットがコロナ禍で与えてくれた2つのこと

アイペット損害保険㈱が運営する「PEDGE(ペッジ)」がコロナ禍におけるペットの役割に関してアンケートを行いました。
その結果、ペットを飼っている飼い主はペットがいることで「2つ」の影響を受けていることがわかりました。
▼ペットが与えてくれた2つの影響
①家族を繋ぐ役割
②ペットによる精神的なサポート
①家族を繋ぐ役割
下のグラフは「ペットに家族を繋ぐ役割を感じているか」のアンケート結果です。
5点満点で評価し、5点に近いほど「ペットが家族を繋ぐ役割を感じていた」ということになります。
グラフを見てみると、コロナ前は「ペットが家族を繋ぐ役割をしていた」と感じていた方は「3.23」だったのに対し、コロナ禍ではほぼ満点の「4.79」まで数字が跳ね上がっています。
非常に多くの方が「家族内の繋がりをペットが作ってくれていた」と感じていたという結果になりました。
在宅ワークや外出自粛など家族内の距離が密接になったことで、ときには争いや軋轢が生じたこともあったかもしれません。
しかしそのような中でもペットが家族内のコミュニケーションを円滑にしてくれていたということがアンケート結果から読み取れます。
②ペットによる精神的なサポート
もう1つ、ペットが私たちに与えてくれていたことがあります。
それは「精神的なサポート」です。
下のグラフは外出自粛時に在宅ワークをしている人としていない人を比較し「ペットが精神的なサポートになっていたか」を調べた結果です。
5点満点で評価し、5点に近いほど「ペットが精神的サポートになっていた」と感じていたとことになります。
▼ペットに精神的なサポートを感じていたか(在宅ワーク有り無しで比較)
結果を見てみると、在宅ワークをしている人はしていない人よりも「ペットが精神的サポートになっている」と感じていたという結果になりました。
外出自粛のため閉鎖された空間で過ごしたり、慣れない環境でテレワークをしたりと、本人にとっても家族にとってもストレスを感じる環境下であったことが予想されます。
そんな中でもペットがいることで精神的に落ち着き、ストレス軽減に役立っていたことが読み取れます。
ペットとの暮らしで得られる3つの効果

ペットはストレスを軽減したり家族内のコミュニケーションを円滑にするなど、大きな役割を担っていることがわかりました。
実はこれだけに限らず、ペットが私たちに与えてくれているものは数多くあります。
今回は「身体的」「心理的」「社会的」の3つに分けて、ペットが私たちに与えてくれている効果をご紹介します。
①ペットとの暮らしで得られる「身体的効果」
▼ペットとの暮らしで得られる「身体的効果」
・通院回数の減少
・血圧の低下
・心拍数の安定
・血中コレステロール減少
・血中トリグリセリド(中性脂肪)減少
・オキシトシン(幸福感を与えるホルモン)
・リラックス効果
ペットを飼うと食事の準備や散歩が必要になります。
その結果、「運動習慣が身につく」「生活習慣が整う」といった体にもいい影響を与えているようです。
また、犬と触れあったり見つめ合ったりすると、幸せホルモンと言われる「オキシトシン」が分泌されるので、ストレスが減少し幸福感が高まります。
②ペットとの暮らしで得られる「心理的効果」
▼ペットとの暮らしで得られる「心理的効果」
・幸福感が高まる
・孤独感が軽減される
・自己効力感や自尊心の向上
・ストレス軽減
・気分を落ち着かせる
コロナ禍にペットによる精神的サポートを実感する方が多かったですが、犬を飼うことで「気分を落ち着かせる」「孤独感を軽減する」効果が報告されています。
またペットは人を差別、誹謗中傷することはせず、無条件で存在を受け入れてくれます。
無条件で存在を受け入れてくれる事に安心して「自分を必要としてくれている」と自己効力感(自分ならできるという肯定感)や自尊心(自分を大事だと思う心)が芽生えてくるのではないでしょうか。
③ペットとの暮らしで得られる「社会的効果」
▼ペットとの暮らしで得られる「社会的効果」
・人と人との間をつなぐ
・人と人との関係性を円滑にする
・人の印象に肯定的に作用する
犬を飼ってから「近所の方とコミュニケーションを取るようになった」「犬友達ができた」という方も多いのではないでしょうか。
ペットを飼うと共通の話題も増えるので、ペットを基軸に家族や周りの方と絆が深まっていきます。
いい影響を感じられるのはペットと信頼関係が築けている場合

今までの内容を見ていくと、ペットを飼うといい影響がたくさんある事がわかります。
しかし覚えていてほしいことが1つあります。
それはいい影響を感じられるのは、ペットとの関係性が良好な場合ということです。
例えば、ペットを飼うと得られる効果で「幸せホルモン(オキシトシン)」を紹介しましたが、これは飼い主と愛犬が同じ部屋で過ごし、その中で愛犬と飼い主に「なにか特別な反応があるか」を観察する実験が元になっています。

その中で、犬がアイコンタクトを送ったペア(A)はお互い「幸せホルモン」が増え、アイコンタクトがなかったペア(B)は「幸せホルモン」が増えなかったそうです。
犬は信頼していない人に対してアンコンタクトを送らないので、愛犬と目が合うというのは、飼い主に対して愛情を持っているという証でもあります。
このように「身体的」「心理的」「社会的」な効果はペットと良好な関係を築いている飼い主ほど顕著に現れます。
単に「飼っている」「可愛がっている」だけでは信頼関係は築けません。
愛着が生まれるほどお互いを信頼し、大切にしているからこそ得られる効果であるといえます。
▼こちらの記事もオススメです
愛犬と遊ぶと「絆(きずな)」が深まるって知ってた?【動物看護師が解説】
>https://www.inutome.jp/c/column_9-63-31554.html

ペットは家族の一員とよく耳にしますが、辛いコロナ禍では特に顕著に感じられたのではないでしょうか。
今回ご紹介した効果はお互いを信頼しあって得られる効果です。
お互いにいい影響を受けるためにも、大切なペットと信頼関係を築いておくことが大切ですね。
<参考URL>
ペットが及ぼす心理的効果
>https://www.bgu.ac.jp/assets/old/center/library/image/kyukiyo5_85-93.pdf
ペットが私たちに与えてくれるもの 外出自粛から分かったこと
>https://pedge.jp/interview/gaisyutsujisyuku/
コロナ禍の生活者 今のストレスの主な要因は?
>https://gallery.intage.co.jp/stress2021/
人と犬のより良き関係に関する生理学的研究 相互コミュニケーションにおけるオキシトシンの役割
>https://ci.nii.ac.jp/naid/500000568217
あなたと愛犬との絆の強さが如実にわかる「犬の行動」とは?
>https://serai.jp/living/305288
<画像元>
Unsplash

・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。

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