皆さんのワンちゃんは台風の接近に伴って体調が優れないといった事はありますか?
人でも、天候や気圧が不安定になりやすい季節には、自律神経に影響が出て体調を崩す方がいるように、実は犬も似たような状態になってしまう子がいるんです。
今回は、本格的な台風シーズン到来を前に知っておきたい、気圧の変化で起こりやすい気象病や対策について解説します。
<目次>
台風は犬にとってどんな存在?
人においても雨や雷が激しい台風を苦手とする方は多いと思うのですが、犬にとっても、雷や強風、豪雨によって大きなストレスを抱えてしまうワンちゃんは多く居ます。
かく言う筆者の初代柴犬も台風が大の苦手だったので、台風で外がすごい大荒れの日は、家の中にある隅という隅を探しては、そこに体を丸めて天候が落ち着くまで隠れている事なんてザラでした。
しかし、一方で2代目シェルティは全くの無反応で、外がどんなに大荒れであっても、我関せずの怯える素振りすら見せない、そんな子でした。
このように、犬種の性格によっては、怖がり過ぎて大きなストレスになる場合もあれば、それほど大きなストレスにならず、普段と変わらない姿を見せる場合もあります。
ただし、それでも台風は、犬にとっては恐怖の対象となり得る天気なのは変わりなく、尚且つこの天気によって、体調にも気を付けたい症状がいくつか存在します。
続いては、そんな台風シーズンに気を付けたい症状や状態についてご紹介します。
気圧の変化で生じる犬の気象病ってどんなもの?
台風が接近することで気圧に変化が生じ、愛犬にも様々な症状が表れます。そういった症状を俗に『気象病』、または『天気病』などと呼びますが、台風によって愛犬に生じる症状も、その気象病の一種である場合が考えられます。
尿管結石や腎不全などの泌尿器疾患
腎臓は血液をろ過し、不純物などを尿と共に排泄してくれる機能を果たしていますが、台風の影響で気圧が低下してしまうと、血管が膨張し、血の流れが滞ってしまいます。
その上、気圧が低下すると気温が下がるため、愛犬があまり水分を取らない状態になると、腎臓に負担が掛かり、尿管結石の悪化や腎不全の悪化、腎臓病の原因となってしまう場合があります。
台風が近づくことで愛犬があまり水を飲まない場合には、『気象病』を疑った方が良いかもしれません。
てんかん発作や水頭症などの脳疾患
台風の気圧変化でストレスや自律神経に乱れが生じてしまうと発症しやすくなるのがてんかん発作です。
てんかん発作は、犬種によって症状は様々なので飼い主さんが「あれ?」と思われるほど軽度なものから、倒れて痙攣してしまい、失禁してしまうほどの重度なものまであります。
また、水頭症の多くは、小型犬で発症しやすい病気ですが、脳室に脳髄液が過剰に貯留することで、外斜視や知能障害、てんかん発作などの症状が見られます。
これらの疾患は気圧の変化によって特に症状が表れやすい疾患ですので、台風が近付いている時にはいつも以上に気に掛けるようにしましょう。
嘔吐や下痢、食欲不振などの消化器障害
台風の影響で気圧の低下が生じると犬は体調を崩し、嘔吐や下痢、食欲不振など、消化器症状を呈することがあります。
気圧の変化は胃腸などの機能の低下を招きやすいため、台風が近づいた際に犬の食欲がない、消化不良を起こして嘔吐や下痢を頻発する場合には、『気象病』を疑った方が良いかもしれません。
変形性膝関節症や股関節形成不全症などの関節疾患
冬で気温の低下が著しい時や台風の気圧の変化で関節が痛むなど、人でもある関節炎の悩みは、犬でも起こります。
変形性膝関節症や股関節形成不全症、ヘルニアなどの経験をしたことがある犬は、人と同様痛みが強く出たりする場合があるため、普段痛むような素振りを見せない愛犬が、台風が近付いた時にびっこを引いていたり、足を触られるのを嫌がったりする時には、『気象病』によって痛みを感じている可能性があります。
前庭疾患の悪化やふらつき、斜頸などの三半規管障害
体の平衡感覚を司る内耳には、蝸牛、三半規管、前庭と言われる器官が備わっています。
その内三半規管は、前庭神経と繋がっているため、台風の影響で気圧に変化が生じると、前庭疾患の悪化やふらつき、斜頸やめまいなど、平衡感覚が正常に働かずに起こる症状が見られます。
愛犬の歩き方がおかしかったり、ふらついていたり、眼振がある場合にも前庭に影響が出ている可能性があるため、心配があるワンちゃんは特に注意しましょう。
うちの子もしかして『気象病かも…?』と感じた時の対処法
では、もしもご自身の愛犬が台風の影響で元気がなかったり、体調が優れなかったりした場合、その対処法にはどんなものがあるのでしょうか?飼い主さんが愛犬にしてあげられる対処法を確認してみましょう。
『気象病』対策①:愛犬が落ち着ける環境作りをする
台風の日は、犬にとって普段と状況が大きく違うものです。
そのため、台風の影響で生じる気圧の変化で愛犬がストレスを抱えていたり、様子がおかしい場合には、狭いスペースを作って、愛犬が安心して休める場所を提供してあげましょう。
筆者の初代柴犬も、普段はクレートなどの狭い空間を好んで入ることはしない子でしたが、台風の日ばかりは極力狭い場所に隠れたがったので、愛犬が守られていると感じる場所を作れば、落ち着いてくれるはずですよ。
『気象病』対策②:普段と台風の日の変化を記録する
台風は、夏の中旬ごろから秋にかけて発生しやすくなるため、その間に愛犬が普段と違う行動を取るようなら、それらを記録し、把握する事で次に備えることが出来ます。
どれだけの気圧の変化で愛犬が体調を崩してしまうのかを把握できれば、事前にサプリメントの購入や獣医さんへの相談もしやすくなるでしょう。現在は、比較的お手ごろな価格で日々の気圧計計測などが出来るものやアプリなどもあるようなので、それらを上手く活用しましょう。
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『気象病』対策③:自律神経に乱れが生じない生活を心掛ける
普段から自律神経に乱れを生じさせないような生活を心掛けることも、台風シーズンを迎え、『気象病』を発症させないための大切な対策となります。
例えば、夏場は特にエアコンが必須となるため、一日中つけっぱなしというご家庭も多いと思いますが、そういった時の外気温と室内との差は極力無くすように心掛けるだけでも、自律神経の乱れを軽減することが出来ます。
他にも、日中は出来るだけ日光浴できるような環境を作ったり、散歩も朝夕をメインに運動させてあげると、体内時計が整い、自律神経の安定に繋がります。
まとめ
筆者は以前、気圧の変化によって体調を崩しやすい人は、内耳が敏感な人が多いとテレビで見たことがあるのですが、もしもそれが愛犬にも当てはまるなら、人よりも三半規管が優れている犬が『気象病』を起こしやすいのも納得です。
ただ、だとしたら台風が起こりやすい時期に発症する『気象病』は、愛犬にとっても辛い症状なのは変わらないと思います。
ほんのちょっとした事かもしれませんが、出来る限りの対策を講じてあげられるように心掛けてあげてくださいね。
<参考書籍>
いぬ大全304
犬の医学
<参考サイト>
意外と知らない「犬・猫の気象病」具体的な症状 気圧が低い日にペットがぐったりしている?|東洋経済オンライン
>https://toyokeizai.net/articles/-/679616
「低気圧」がペットにもたらす身体の変化を知る|一般社団法人全日本動物専門教育協会認定 愛玩動物救命士養成講座
>https://www.propet.jp/about/advice/advice11/
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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