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「シニア犬のベッドはどうしたらいいの?」快適に眠れる空間を作るための工夫は?

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シニアになると睡眠の時間がグッと増えます。

「そろそろ愛犬のベッドを見直した方がいいのかな」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は「シニア犬のベッド選びのポイント」や「快適に眠れる空間を作る工夫」をご紹介します。

「長時間の睡眠で起きるトラブル」もあわせてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

「若い犬」と「シニア犬」の睡眠の違いは?

ベッド選びのお話の前に愛犬の眠りがシニアになるとどう変化しているかを知っておきましょう。

レム睡眠やノンレム睡眠という言葉を耳にしたことがあると思いますが、犬も人と同じように「レム睡眠(浅い眠り)」と「ノンレム睡眠(深い眠り)」の2種類で睡眠サイクルが回っています。

人と異なる点は人の場合「ノンレム睡眠(深い眠り)」が80%なのに対し犬は20%ほど、「レム睡眠(浅い眠り)」は人が20%なのに対し犬は80%を占めていることです。

犬の眠りのほとんどが「レム睡眠(浅い眠り)」なんですね。

それを踏まえて、若い時とシニアのときでは睡眠がどう変化しているかを見ていきましょう

下の図は「若い犬とシニア犬の覚醒と睡眠リズム」を調べたグラフです。

▼若齢犬と老齢犬の覚醒・睡眠リズムの変化

上のグラフが「若い犬」下のグラフが「シニア犬」の覚醒と睡眠のリズムです。

2つのグラフを比較すると、シニア犬では「「ノンレム睡眠(深い眠り)」の時間が増え、「レム睡眠(浅い眠り)」の時間が減っていることがわかります。

また昼間の時間でも覚醒時間が短くすぐに眠りに落ちていることが読み取れます。

シニア犬はいつも眠っているイメージがありますが、実際に若い時と比べると睡眠時間が長くなり、なかなか覚醒しにくい状態に変化していくのですね。

「シニア犬のベッド選び」で大切な4つのポイント

シニアになると睡眠サイクルが変化し、睡眠時間が長くなることがわかりました。

それでは、多くの時間を過ごすベッドはどんなものを選んであげればよいのでしょうか。

ポイントを「4つ」にまとめました。

▼シニア犬のベッド選びで大切なこと4つ

①通気性がよいものを選ぶ
➁洗える素材を選ぶ
③耐圧分散性の高いベッドを選ぶ
④反発性は愛犬にあったものを選ぶ

①通気性がよいものを選ぶ

シニア犬のベッドを選ぶときは通気性がよい素材を選んであげましょう。

ずっと同じ場所にとどまっているので蒸れやすく皮膚の状態が悪くなりがちです。

湿気がこもりにくいように通気性がよいものを選んであげましょう。

冬などで通気性のよい素材が寒そうにしていたら、ブランケットや毛布をかけて調整してあげてください。

➁洗える素材を選ぶ

シニア犬になると膀胱の機能が衰えるので、尿漏れやトイレの失敗が起こりやすくなります。

ベッドに汚れがつきやすくなるので、カバーを取り外せるなどお手入れしやすいベッドを選んであげましょう。

汚れをそのまま放置していると不衛生になりがちですし、皮膚病も招きやすくなります。

頻繁にベッドを汚してしまうという場合は、オムツを着用したりおねしょシーツを利用しましょう。

③耐圧分散性の高いベッドを選ぶ

眠っている時間が長いと体が長時間圧迫された状態です。

長時間体制を変えずに同じポーズをとっているだけでも床ずれ(皮膚の圧迫で血流が悪くなり皮膚に損傷がおきる)が起きやすくなります。

体の一部に体重がかからないように、耐圧分散性の高いベッドを選びましょう。

④反発性は愛犬にあったものを選ぶ

ベッドは「高反発なもの」と「低反発なもの」があります。

高反発は低反発に比べると硬さがあるので、体をしっかりと支えて寝返りを打ちやすくなります。

その一方で柔らかいベッドが好みの犬は寝苦しさを感じるかもしれません。

低反発のベッドは柔らかくて体にフィットするので寝心地がよい反面、足腰が弱っている犬の場合ふんばりがききにくく、うまく立ち上がれないこともあります。

どちらもメリットデメリットがあるので、愛犬にあったものを選ぶようにしましょう。

「愛犬が快適に眠れる空間」を作る工夫5つ

ベッド選びの次は愛犬が過ごすベッド周りの空間も快適にしてあげましょう。

愛犬が快適な空間を作る工夫を「5つ」ご紹介します。

▼愛犬が快適に眠れる空間を作る工夫5つ

①ベッドの近くにトイレを設置
➁ベッドの近くに水飲み場を設置
③ベッドの高さを変える
④滑り防止のマットを敷く
⑤エアコンの位置に注意する

①ベッドの近くにトイレを設置

先ほども少しお話しましたがシニアになると膀胱の機能が衰えるのでトイレの失敗が増えます。

行きたいときにすぐに行けるように、ベッドの近くや目に入りやすい場所にトイレを設置してあげましょう。

また、足腰が弱って踏ん張りがききにくくなるので、ペットシーツで滑ることもあります。

ペットシーツの上や下に滑り止めを設置するようにしましょう。

➁ベッドの近くに水飲み場を設置

年をとると動くのを億劫がって頻繁に水を飲まないことがあります。

また、のどの渇きにも鈍感になりがちなので、いつの間にか脱水症状を起こすこともあります。

ベッドの近くに水飲み場を設置して、すぐに水分が接種できる環境を作ってあげましょう。

③ベッドの高さを変える

飼い主さんのベッドで愛犬も一緒に寝ているという方も多いかもしれませんね。

ただ足腰が弱ってくるとベッドへの上り下りが負担になります。

また、ベッドから飛び降りやよろけて落下してしまうと、骨折や膝蓋骨脱臼などを引き起こす可能性があります。

愛犬が高齢になったら床で寝るスタイルに変える、ベッドにスロープを設置するなど体の負担にならない睡眠スタイルに切り替えてあげましょう。

④滑り防止のマットを敷く

シニアになると足腰が弱くなり、ちょっとした滑りで転んでしまうことがあります。

ベッド周りやトイレや水飲み場の場所には、滑り防止のマットを敷きましょう。

滑るのが怖くて水飲みやトイレに行くのを億劫がる場合もあるので、注意しましょう。

また、夜中でも見やすいように水飲み場やトイレのところに常夜灯を設置するのもおすすめです。

⑤エアコンの位置に注意する

シニアになると体温調節機能が低下してくるので、暑さや寒さに弱くなります。

夏は涼しく冬は暖かい場所にベッドを設置してあげましょう。

エアコンの風が直接当たる場所にベッドを置くと、体が冷えすぎたり暑くなりすぎるので、風が直接当たっていないかも確認しましょう。

睡眠時間が長くなると起きるトラブル

最後に睡眠時間が長くなると起きやすくなるトラブルを見ていきましょう。

「3つ」紹介するので、愛犬にトラブルが起こらないように注意してケアをしてあげてくださいね。

▼睡眠時間が長くなると起きるトラブル

①床ずれ
➁関節のこわばり
③血行不良

①床ずれ

床ずれは体の一部が長時間圧迫され、血行不良になり細胞が壊死してしまう状態をいいます。寝たきりになると起こるイメージがありますが、寝たきりでなくても長時間同じ体制で動かないままだと起こりやすくなります。

毛が抜けて薄くなっている場所や小さな赤みが出てきたら要注意です。

こまめに皮膚を観察して、2~3時間おきに体制を変えるように促してあげましょう。

➁関節のこわばり

長時間動かず同じ体勢のままでいると関節がこわばりやすくなります。

動くときに違和感や痛みが出てくると余計に動かなくなってしまうので、日中は無理がない程度に体を動かすように意識しましょう。

また関節炎が起きていると痛みで動きたがらないので、愛犬が痛みを抱えていないかもチェックしましょう。

③血行不良

寝ている時間が長くなると運動量がへるため、血行不良になりがちです。

腸で血行不良になると消化吸収に影響が出たり腸内細菌のバランスが崩れて下痢を引き起こしやすくなります。

無理のない範囲で適度に運動させて、血行を良くしてあげましょう。

年齢とともに愛犬の睡眠サイクルは少しずつ変化していきます。

「睡眠時間が増えた」というのは、愛犬のベッド周りや睡眠環境を見直すいいタイミングなのかもしれません。

今回ご紹介した内容をぜひ活かして、愛犬が快適に眠れる空間をつくってあげてくださいね。

<参考URL>

A quantitative, theoretical framework for understanding mammalian sleep
>https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.0610080104

犬の「認知症」について
>https://vth-tottori-u.jp/wp-content/uploads/2021/04/topics.vol_.108.pdf

<画像元>

Unsplash

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。