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「ペットの防災対策を取っている人は減少傾向」 今こそ知りたい愛犬の命と生活を守る行動は?

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皆さん、愛犬の防災対策はお済みですか?

「いつかやらないと」と思っているけれど腰が重いという方も多いのではないでしょうか。

実際にペットの防災対策を実施した飼い主さんは震災後に急増したものの、ここ10年でだんだん減少傾向にあるようです。

震災時に愛犬の命と生活を守れるのは飼い主さんの知識と行動です。

今こそ実体験から「震災時には何が困るのか」「震災はペットにどんな影響を与えるのか」を学んでおきましょう。

「ペットの防災対策を取っている人は6割」しかし10年で減少傾向へ

アニコム損害保険㈱が2011年に契約者に対して行った「ペットの防災」に関するアンケートによると「ペットに防災対策を取っているか」の質問に対し「対策を行っている」と答えた飼い主さんは震災後に急増し、全体の6割にものぼりました。

▼ペットに防災対策を取っていますか(有効回答数: 2,869)

2011年というと「東日本大震災」が起こった年ですね。

震災前には防災対策を行っていた方が4割ほどだったのに対し、震災後には6割以上に急増しています。

震災を機に防災意識が高まったことが推測されます。

しかし、アイペット損害保険㈱が2022年に行ったアンケートを見てみると、防災対策を行っている方は2割まで減少していることがわかりました。

▼災害を想定してペットに関する防災対策を何かしているか(回答数:1,015)

・「かなりしている」4.7%
・「している」14.9%
・「あまりしていない」39.2%
・「全くしていない」41.2%

アンケートの回答数が異なるので誤差はあると思いますが、10年で「防災対策を取らなくてはいけない」という意識が少しずつ薄れてきたことが伺えます。

しかし災害は準備が整ったタイミングできてくれるとは限りません。

愛犬の命と生活を守れるかは飼い主さんの行動と知識にかかっています。

準備は色々と腰が重くなりますが、防災の知識はこの機会にぜひ覚えておきましょう。

「震災の影響はペットにも」知っておきたい震災後のペットの変化

震災で影響を受けるのは人だけではなく、ペットも同じです。

アニコム損害保険㈱が震災を体験した方に「震災後に変化したこと」を調査したところ「ペットに精神的な変化があった」と回答した方が18.7%、「ペットの体調に変化があった」と答えた方が4.6%もいました。

ペットの変化を詳しく聞き取りした結果では「緊急地震速報の音におびえる」「揺れや物音に敏感になった」「地震が来るとテーブルの下に隠れる」といった声が上がっていました。

実際に麻布大学のチームが東日本大震災後に福島県内で保護した犬を調査したところ、ストレスを感じると分泌されるホルモンが通常の犬の5~10倍と高い濃度で検出されたと発表しています。

保護された犬たちは飼い主さんとはぐれていたので、より強いストレスにさらされていたことが予想されますが、震災を経験した犬は多かれ少なかれ強いストレスにさらされます。

そんな愛犬たちのストレスを少しでも和らげるために意識したいのが「できる限り日常に近づけてあげること」です。

では、できる限り日常に近づけるために準備しておくべきものはなんでしょうか。

震災時に「準備しておけばよかった!」と感じたもの

震災を体験した飼い主さんに震災後に「準備しておけばよかった」と思うものを調査したところ結果は下記のようになりました。

▼震災後に「準備しておけばよかった」と思うもの

一番多かった回答が「飲み水、フード」で愛犬の日常に欠かせない「トイレ用品」や「携帯用の食器」などがランキングの上位にきています。

先ほどもお話したように震災を体験すると犬は大きなストレスにさらされます。

「いつものフード」「いつもの食器」「いつもの毛布」など日常で使用しているものをできる限り揃えてあげることでストレスを緩和することができます。

日常で使っているものを常にストックしておきましょう。

またランキングには入っていませんが、避難生活が長くなる可能性もあるので、おもちゃやオヤツもストックしておくとストレス解消に役立ちます。

震災後に「見直した防災対策」

震災を体験した飼い主さんたちが震災後に見直した防災対策はなんでしょうか。

▼震災後に見直した防災対策

・ペットが留守番をしている時に地震が起きて家具が倒れないように固定した
・一緒に寝泊まりできるようにキャンプ用品を一式購入した
・家族や友人と避難する方法や場所を具体的に話し合った
・犬の肉球を守る靴下、ブーツを購入した
・出かける際に避難訓練も兼ねてすばやくキャリーバックに入れるよう練習している

参照元:「アニコム損害保険株式会社 ペットのための防災対策のアンケート」一部抜粋

この中で特に重要だと感じるのが、飼い主さんが留守中の防災対策です。

飼い主さんが在宅中に震災が来るとは限りません。

愛犬がくつろぐ場所やケージがある場所に物が落ちてこないか、家具が倒れないかチェックしましょう。

また家族で犬を飼っている場合、震災時に誰がどんな対応をするのか話しあっておきましょう。

車が必須の地域の場合、車を運転できる方がいち早く家に戻れるかが安全に避難できるキーポイントになります。

震災時に困ったことは「ペットの預け先と避難場所」

先ほど「震災後に準備しておけばよかったと思うもの」のお話をしましたが、準備をしておけばよかったと感じるものの第2位は「ペットを預かってくれる場所」でした。

また、同アンケート内で「避難所はペットと一緒に避難できるか」の質問に対し「わからない」と回答した方が8割、「避難できない場合の預け先」は30%以上の方が「考えていない」と回答しました。

▼住んでいる自治体の避難所はペットが一緒に避難できますか?

アンケート結果から多くの方が「預け先や避難先の情報を知らない」という結果が浮き彫りになりました。

避難場所にペットも連れていけるのか、一緒に過ごせる環境なのかは各自治体のホームページに記載されていますが、震災時に確認しようとするとアクセスが集中していざというときに確認できないことがあります。

震災時にすぐに行動できるように事前に調べておくことが大切です。

また、まだ登録数は少ないですが災害時に動物の避難所を紹介する取り組みもあります。

▼うちトコ動物避難所マップ

>https://uchitoko.jp/

愛犬も自分の命も守るために、いろんな選択肢を知っておきましょう。

ペットの防災は「いつかやろう」と思っていても、なかなか行動できないのが現状です。

ですが「防災の今はどうなっているか」「震災が起きると困ることはなにか」を知るだけでも防災の意識は高まります。

今回の記事が少しでも「愛犬のために行動してみようかな」「防災について調べてみようかな」というきっかけになれば嬉しいです。

<参考URL>

ペットの防災対策実施率、震災後に 44.0%→61.6%へ急増
>https://www.anicom-page.com/hakusho/family/pdf/20110829.pdf

ペットの災害対策 環境省
>https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/disaster.html

ペットのための防災対策に関する調査(2022年)【調査結果】
>https://wanpedia.com/disaster-preparedness-for-pets/

東日本大震災の被災地の犬は強いストレスを受けていた – 麻布大が確認
>https://news.mynavi.jp/techplus/article/20121012-a135/

<画像元>

Unsplash

写真AC

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。