皆さんは、朝の決まった起床時間に愛犬が起こしに来ると言った経験はありますか?
また、そういう経験はなくとも散歩時間は正確に起きて待っているなんてことは珍しくないかもしれませんね。
では、なぜ犬はそこまで正確に時間を把握することが出来るのか、今回はそんな犬の体内時計に関することに迫ります。
<目次>
犬にとっての時間の感覚はある?
犬は人と生活を共にする中で、朝、昼、晩といったライフサイクルを送っていますが、そもそも犬には時間の感覚というものは存在するのでしょうか?
答えは…、「NO」です。
基本的に犬の時間の感覚というものは、私たちが日中には起き、日が暮れたら寝るというような『ヒト』が作った時間定義を頭で覚えています。
ただ、一説では犬は時間を嗅ぐことが出来ると述べている専門家もいるようで、気温の上昇に伴う温度変化や時間の経過によって生じる匂いの違いから時間を知っているのではないかとも言われています。
人は1日=24時間、犬は1日=3日間⁉
人は一日を24時間周期で過ごしていますが、犬の一日はおおよそ7時間周期で過ごしていて、日数に換算すると大体犬は1日に3日間以上過ごしていることになります。
この概算は最近の研究によって分かってきたことです。
一般的に犬の老化するスピードは、小型犬と中型犬で人の約4倍と言われていて、大型犬の場合は、約7倍と言われています。
こう見ると、犬が人の約7倍(大型犬の場合)ものスピードで年を取っていくと言われるのも納得が行きますよね。
また、それだけ犬と人とでは時間の進みが違うと、犬が決まった起床時間や散歩の時間に飼い主さんたちの気を引いて、『早く!早く!』とせがみたくなる気持ちもなんとなく分かります。
それでは、どうしてこんなにも早く進む犬の老化スピードに対して、体内時計はあんなにも正確に機能するのかを続いては見ていきましょう。
犬の中にも存在する体内時計
犬の体内時計も、人と同様日々少しずつ誤差が生じていく動物です。
これらは人間に備わっている体内時計と同様に、朝日を浴びることでリセットされ、時間に対する誤差がなくなります。
特に老犬であまり長時間散歩をするのが難しくなったワンちゃんにとっては、この「朝日を浴びる」行為というのは大変重要で、免疫機能の調整やビタミンDの活性化、皮膚の健康維持や幸せホルモンと言われているセロトニン分泌にも役立ちます。
「小型犬で歩く距離も減った老犬だから…」
というような思いから、散歩を行かなくなったり短時間で済ませてしまう飼い主さんも居るかもしれませんが、出来れば30分~1時間は日光を浴びさせてあげて、体内時間をリセットするように心掛けると、ワンちゃんも心身共に健康に過ごすことが出来ます。
犬の体内時計で気を付けておきたいこと
正確に時間を判断し、飼い主さんの起床時間や帰宅する時間などを把握する犬ですが、そんな犬の体内時計でも気を付けておきたいことをここではご紹介しましょう。
もしも少しでも、心当たりがあるかも…。
と思った方は、これからご紹介する対処法も併せて実践してみてください。
決まった時間による要求吠え
犬にとって「吠える」という行為は思いを伝える大切な手段の一つですが、それが決まった時間に要求して通る要求吠えになってしまっている場合、体内時計がそれを覚えてしまっている可能性が考えられます。
犬の性格や興奮の度合いにもよりますが、そう言った場合、無視をするか、または、準備するだけして落ち着くまで待ってみましょう。
規則正しい生活リズムは人においては大切なことですが、犬においては時としてご近所さんとの騒音トラブルを招きかねません。
そのため、あえて不規則な時間のリズムを作ることによって、要求吠えにならないよう対処してあげましょう。
体内時計の狂いによって起こる体調不良
先程も少しご紹介しましたが、体内時計は日々少しずつズレの生じるものなので、出来る限りそのズレを解消する必要があります。
というのも、犬の体内時計の狂いをそのまま放置し続けていると、昼夜逆転の生活による夜泣きの原因や徘徊、被毛の抜け替わりサイクルの乱れなどが表れる可能性があるためです。
ですので、毎日というのは例え難しくても、休日の際には朝日が昇って日光を浴びられる時間帯には、散歩に行ってあげることで体内時計のリセットに努めるようにすることが大切です。
食事回数、食事時間にも影響を与える体内時計
犬の体内時計については、上記の他にも食事時間や食事回数の研究をしたデータがあります。
これは、東京農工大学農学部共同獣医学科の大森啓太郎氏が報告した調査研究報告書によるデータで、人においてはすでに深夜の食事は体内時計を乱す要因の一つとして考えられている考えは、実は犬にも同様だと考えられている研究結果のデータです。
この研究結果では、犬の深夜の食事は体内時計の乱れに関係していると仮定されていて、最適な食事回数、食事時間は1日2回朝7時、夜19時や1日3回朝7時、昼12時、夜19時が血糖コントロールや代謝などの影響を最小限に維持できる最適な食事回数、食事時間ではないかという研究に基づいています。
多くの飼い主さんは、深夜、愛犬に食事を与えるという考えは持ち合わせていないと思いますが、例えば認知機能に問題が起こってしまった高齢のワンちゃんの場合には、夜中鳴いてしまうのを落ち着けようと、少し何かを与えたり、なんてことも珍しくないのではないでしょうか?
しかし、それはかえって愛犬の体内時計を益々狂わせてしまう原因となる可能性があるため、そういったワンちゃんについても、出来る限り散歩で得られる日光などで、体内時計をリセットしてあげましょう。
まとめ
いかがでしたか?
犬の体内時計というのは、しっかりとした正確性だけではなく、認知機能や被毛のサイクルにも、とても密接に関係したものでしたね。
また、人だけではなく、犬でも言えることですが、体内時計一つとってもそれ自体が乱れると、病気のリスクや健康障害に大いに関係してきます。
それだけ犬にとっても大切な体内時計。
春の陽気で暖かくなったこの時期、桜や春の草花を愛でながら、ゆっくりと愛犬との散歩を楽しんでみてはいかがでしょうか?
<参考書籍>
マンガで納得! 犬の気持ちがわかる
イラストでわかりやすい!愛犬との絆がぐーっと深まる本
いぬほん
<参考サイト>
概日リズム(体内時計)に基づくイヌの最適な食事時間および食事回数の検討
>https://www.jpc.or.jp/animal/wp-content/uploads/2017/04/9976ab052034e3b72d22d1449f4c53e5.pdf
末梢血単核球を標的とした生活習慣病リスク診断法の開発
>https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-15K15192/15K15192seika.pdf
あいむ動物病院|西船橋
>https://www.119.vc/manners/archives/4
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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