普段元気が取り柄の愛犬が、突如として元気がなかったり、足を急に引き摺ったりする姿を見たことはありませんか?
心配になって動物病院へ連れて行くと、先生からは「どこも悪くない」なんて言われたりして、初めて愛犬を迎える人にとっては困惑してしまいがち。ですがもしかしたらその行動、犬の「仮病」かもしれません。
今回は、犬が「仮病」を使う理由や「仮病」と『病気』の見極め方、対処法についてご紹介します。
飼い主さんの関心を引くためなら「仮病」も厭わない!
皆さんもご存知の通り、犬はとても賢い動物と言われていて、人の目線や指さし、ジェスチャーなどで色々なことを理解し、それを実行に移せる行動力を持っています。
それは犬が人に見せる場合も同じで、『扉を開けてほしい』、『おもちゃを取ってほしい』と思う時なんかは、視線やジェスチャー、行動で私たち飼い主に訴えてくることが、イギリスのサルフォード大学の研究で分かっています。
例えば、ある時たまたま食欲がなく普段食べているご飯を食べずにいたら、それを心配した飼い主さんが、「ドライフードだけではなく、ウエットフードもプラスして与えるとしましょう!」。すると、愛犬がご飯を食べないともっと良いものが貰えるということを学習し、次からはそれを実行に移そうと、「仮病」を使うことがあります。
こういった行動は散歩の時などにも見られ、過去に実際にケガや病気で飼い主さんにたくさん構ってもらえた経験を犬が学習すると、飼い主さんの前でだけ足を引き摺ったり、びっこを引いたりして興味を向かせ、まるで「仮病」を専売特許のようにしちゃうこともあるんです。
犬が「仮病」を使う理由って?
それでは、そもそも犬が「仮病」を使ってしまう理由とは何なのでしょうか?
上記でご紹介した飼い主の気を引くため、というのも確かに犬にとっては「仮病」を使う一つの理由ですが、他にも犬が「仮病」を使う理由はいくつかあります。
▼【犬が仮病を使う時に考えられる理由】
・飼い主さんとの触れ合いが少ない
・飼い主さんのお出かけを察する
・なにかしらの要求がある
飼い主さんとの触れ合いが少ない
コロナが流行し、多くの企業が在宅勤務を推奨するようになってから、おうち時間が増えた日本。
しかし、日本の場合、コロナの重症率が徐々に縮小し、感染率も減少していくと、出勤日数をまた増やすといった企業も多くあります。
すると、今まで自宅で仕事をしてくれていた飼い主さんが途端に忙しなく出掛けてしまう光景を見て、ある時突然愛犬が具合の悪い姿を見せて、「仮病」を装ってしまうことがあります。
飼い主さんのお出かけを察する
犬は普段から飼い主さんの行動をよく見ているため、飼い主さんが外出しようとする時に着ていく上着や車のカギの音、バッグといった荷物にも敏感に反応します。
そのため、そういったちょっとした行動に反応して途端に元気を失くす愛犬は、もしかしたら飼い主さんのお出かけをなんとか阻止するべく、「仮病」を使っているかもしれません。
なにかしらの要求がある
筆者の3代目柴犬は、フードの切り替え中、それまでしばらく問題なく食べていたフードをある時少しだけ吐いて、随分と心配したことがきっかけで「仮病」に繋がってしまったことがあります。
フードは元通りにしましたが、その態度を見せた時の反応は、筆者をジッと見つめ、しきりに外に出たがったため、その要求に応じました。
けれど結果は出て間もなく、それまでの態度が嘘のようにとても元気に…。
このように、犬にとって、なにかしらの要求を通したい場合(散歩に出たいやおやつが欲しい時など)も、「仮病」を使うことがあるのです。
犬の「仮病」と病気の見分け方
そんなありとあらゆる方法で「仮病」を使ってくる犬ですが、病気との見分け方をご紹介します。
当然の事ですが、「仮病」の場合、動物病院で「仮病」といった診断名は存在しないので、「仮病」かどうか見極めの参考にしてくださいね。
「仮病」と『病気』の見極めポイント①:行動回数
犬の「仮病かも?」と思わせるような行動は、初めての動作か否かというのが重要になってきます。
犬は経験を基に学習する生き物なので、もしも一度も足を引き摺ったり、具合を悪そうにしたりする姿をそれまで見せたことがない場合には、真偽が分からないため、一度動物病院で診てもらっても良いでしょう。
しかし、もしも似たような行動があるパターンの時に必ず見られる、といった場合には、その行動はもしかしたら「仮病」の可能性があります。
「仮病」と『病気』の見極めポイント②:犬だけになった時の反応
飼い主さんに構ってほしい、気を引きたい、要求を通したいと考える犬の場合、チラチラと飼い主さんを気にする素振りを見せる可能性が高いです。
そのため、試しに愛犬を一人残して窓の外から様子を見たり、ペット見守りカメラなどがある場合にはそれらで確認してみましょう。
もしも飼い主さんが居なくなった時に、先程まで見せていた行動が落ち着くようなら、それはもしかしたら「仮病」かもしれません。
「仮病」と『病気』の見極めポイント③:体の震えがすぐ治まる
犬の「仮病」は、足を引き摺る、びっこを引くだけではなく、実際に体を震わしたり吐いたりする行為も含まれる場合があります。筆者の3代目柴犬はまさにこの震えを見せて、ジッと筆者を見つめたまま反応を伺っていました。
見極めのポイントとしては、通常寒さや病気から来る震えはなかなか治まらず一定間隔で続くことが多いものですが、「仮病」で見せる体の震えは、早い内に治まってしまうことが多いです。
ただし、必ずしもこの行動が「仮病」かどうかは愛犬の年齢や状況、環境などによって変わってくるため、慎重に判断する必要があります。
犬の「仮病」の対処法とは?
人が人に対して「仮病」を使う場合には、『相手は心配して自分にこうした行動をとってくれるだろう』というような、相手の心配する心理を分かってやっていることが多いものですが、犬が使う「仮病」に至っては、基本的に犬にはズルをしているとか、騙しているといった感情は全くありません。
ただ純粋に、『たまたまこの行動を見せたら、飼い主さんが心配して自分(犬)を気にしてくれた』ということを学習しているだけに過ぎず、我が家の柴犬も単にこれに当てはまっただけで、愛犬自身は心配する私たち飼い主さんの心理まで理解出来ている訳ではないのです。
そのため、一度「仮病」に繋がるような行動を犬が学習し、再度また演技をするような時には、演技している時はとにかく【無視】を徹底して、普段通りに戻った段階でまた愛犬に優しくするように心掛けましょう。
まとめ
犬は飼い主さんの関心を引くためなら、「仮病」という演技をしてでも構ってもらいたがる健気な動物です。
しかし、その行動は時として本当の病気やケガさえも見抜くキッカケを逸してしまう場合があるため、あまりにも同じような行動を繰り返し愛犬が行い、飼い主さんの気を引こうとしているようなら、早め早めに対処をして、いざ!という時のために備えてあげてくださいね。
<参考書籍>
気持ちを知ればもっと好きになる! 犬の教科書
いぬほん
マンガで納得!犬の気持ちがわかる
<参考サイト>
Cross-species referential signalling events in domestic dogs (Canis familiaris)|家庭犬における異種間参照シグナルイベント
>Cross-species referential signalling events in domestic dogs (Canis familiaris) | SpringerLink
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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