街で見かける犬の姿はとても可愛らしく、SNSでも愛くるしい姿の写真が多いため、『犬=元々噛む動物』という印象は弱いのではないでしょうか?
しかし犬は、基本的に口を使って何かを『噛む』といった行為を自然とする動物です。
この記事では、子犬が甘噛みをしてしまう理由や噛み癖に繋がる原因や噛んでしまう時の対処法、注意点などをまとめました。
子犬が甘噛みしてしまう理由とは?
子犬が私たち飼い主や家具、ぬいぐるみなど、様々なものに対して甘噛みしてしまう理由には…
▼【子犬が甘噛みしてしまう主な理由】
・甘えや興奮で構ってほしいから
・歯の生え変わりでむず痒いから
・口に入れてどんな物か確かめたいから
このように、子犬が甘噛みをしてしまう理由にはいくつかあります。
そのため、甘噛みを抑制するための対処法を知る前に、まずは甘噛みをしてしまう詳しい理由を一つずつ見ていきましょう。
甘えや興奮で構ってほしいから
本来子犬は、生後約1カ月~3カ月頃までを、社会化期として過ごします。
社会化期では、親兄弟との間で遊びや喧嘩、興奮してしまった時、どこをどの程度の力加減で噛めば痛くないのか、ケガをさせずに済むのか等を甘噛みを通して学びます。
それは人に対しても同じで、甘えや遊びの興奮からついつい甘噛みをしてしまうことがあります。
一般的に子犬の甘噛みは、成犬になるまでに噛みつき抑制を覚える大事なプロセスであり、ごく自然な事なので、甘噛みをし出した段階で「大して痛くないから」と放っておくのではなく、しっかりと対応することが大切です。
歯の生え変わりでむず痒いから
丁度子犬が甘噛みをしだすタイミングには、歯の生え変わり時期が重なるため、色んなものを噛みたがります。それこそ、人の手であったり、家具であったり、ぬいぐるみであったり様々です。
しかし、子犬の歯が永久歯に完全に生え変わるには、生後6カ月頃まで期間がかかってしまうため、早い時期から歯固め用のおもちゃや噛んでも良いものを与えるように対処し、甘噛みの対象が人の手にならないように気を付けましょう。
口に入れてどんな物か確かめたいから
好奇心旺盛な子や気になるものはとにかく噛んで確かめようとする子犬の場合、人間の赤ちゃんと同じように初めて見るものを口にして、それが何なのか確かめようとします。
これは、主に習性によるもので「かじりたい欲求」によって起こりやすいので、こちらも歯の生え替わり同様、噛んで良いものを与えることで、手に対する意識を逸らすようにしましょう。
子犬の甘噛みが噛み癖に繋がってしまう原因
子犬の甘噛みがその後噛み癖に発展してしまう原因には、犬種の性格、特性、パーソナルスペースの許容範囲などいくつかありますが、そのうちの一つに「社会化期」が関係していることがあります。
この社会化期はとても重要で、子犬の頃にいろんな人に出会ったり触られたりする機会が少ないと、恐怖心や不安から噛みついてしまうことがあり、その子にとって何か怖いことがある度に噛みつき、それがいつしか癖に繋がってしまう場合があるのです。
また、社会化期が問題なくとも甘噛みを許してしまったために、手加減の知らない甘噛みが、噛み癖に発展してしまう可能性もあるので注意が必要です。
犬自身は甘えたり遊んだりしているつもりでも、やはり子犬と成犬では噛む力は違うので、根本的に甘噛みを止めさせるためには、ご家族全員の意識を変えることが大切になります。
子犬の甘噛みを止めさせる対処法
前述でも述べましたが、子犬の甘噛みは放っておくと強く噛むようになる場合があります。
▼【甘噛みを止めさせる基本の対処手順】
①甘噛みしてきたら「痛いっ‼」と大きな声で制する
②子犬を残し部屋を出て時間を置く
③1分ほど置いて部屋に戻る
①甘噛みしてきたら「痛いっ‼」と大きな声で制する
通常、兄弟犬や子犬同士がじゃれ合って遊んだ状況で甘噛みを行った場合、相手は「キャン!」と鳴き、痛みを表現します。
その結果、噛んだ方の子犬はビックリして口を放します。
そのため、人も噛まれた際には、「ダメ!」や「イケナイ」といった言葉ではなく、端的に「痛いっ!」と声に出して、子犬を制止しましょう。
②子犬を残し部屋を出て時間を置く
子犬が噛むことを止めたら、すぐに子犬を残して部屋を出ます。
子犬は突然の事で追いかけて来ようとするかもしれませんが、そこは心を鬼にして、『見ない・触らない・声を掛けない』ことを徹底してください。
この時、一緒に犬が齧っても良いようなおもちゃなどがあれば、それもその部屋には置かないようにし、また、ご家族が同じ部屋にいた場合も全員が部屋を出ることで、より強く噛むことがいけないことだと印象付けてください。
③1分ほど置いて部屋に戻る
そして、1分ほど時間を置いてから部屋に戻った後は、特別子犬を褒めたり、撫でたりせず、何事もなく過ごすようにしましょう。
少し可哀想に感じるかもしれませんが、子犬にとっては飼い主さん自身が戻ってきただけで嬉しいものなので、本気で甘噛みを改善したいのであれば、①~③のステップを繰り返し行い、少しずつ「人の手や体は噛むと楽しいことがなくなる」ことを教えてあげましょう。
子犬の甘噛みを止めさせる時の注意点
犬に甘噛みを止めさせる時には、当然のことながら力づくや感情に任せた叱り方はNGです。
・怒鳴る
・叩く
・目を見ながら叱る
・無理やり服従のポーズをさせる
・鼻先を掴むマズルコントロールで従わせる
こういった行為で叱る方法は、かえって余計に子犬に対して恐怖心や不信感を与えてしまい、その後の子犬との信頼関係を壊しかねません。
中でも本来、犬自身が寝転がってお腹を見せる服従のポーズや、飼い主さんが鼻先を掴むマズルコントロールは、犬が信頼した人にだけ見せたり許したりする行為であって、決して叱るために使う行為ではないので、甘噛みを止めさせる時には、あくまでも子犬が「噛むとつまらない・楽しくない」と思わせるような方法で改善するように注意してください。
まとめ
犬にとって『噛む』という行為はごく自然な事であって、飼い主さん自身が子犬の甘噛みと真剣に向き合わない限りは、子犬には決して『噛む=飼い主さんにとって悪い事・いけない事』という考えには至りません。
甘噛みはそこまで痛くないかもしれませんが、いくら痛くないからと言っても相手は鋭い牙を持った生き物だということには変わりないため、出来るだけ早めの対処を心掛けてあげてくださいね。
<参考書籍>
犬のしつけ きちんとブック かみグセ解消
マンガで納得!犬の気持ちがわかる
もっともっとわんこを愛したいあなたへ 犬語レッスン帖
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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