犬と暮らしていると、必然的に必要になってくる車の存在。
普段定期的に愛犬の健康のために行く動物病院での道のりだけではなく、愛犬と一緒に楽しい旅行に行く時、足を少し伸ばしてドッグランに連れていく時など、車は必要になってきますよね。
けれど中には、そんな車に対して酔ってしまうワンちゃんがいます。
そこで今回は、車酔いしてしまうワンちゃんの原因や車酔いしやすい犬種、症状や対処法をまとめてみました。
<目次>
犬が車酔いしてしまうメカニズムとは?
犬が車酔いをしてしまうメカニズムは、基本的に人と同じ仕組みです。
犬でも人でも耳の奥にある内耳のカタツムリのような形をした蝸牛と呼ばれる器官と前庭、その先の半円のチューブのような形をした三半規管で成り立っています。
この内耳は平衡感覚器とも呼ばれ、その名の通り平衡(バランス)感覚の役割も担っています。
この平衡感覚を司る三半規管は、乗り物に乗ると刺激され、「車酔い」が起こってしまうのです。
基本的に車酔いが起こりやすいワンちゃんの場合、車だけではなく、電車、船、飛行機など、三半規管を刺激するありとあらゆる乗り物に対して抵抗力が弱いかもしれません。
また、性成熟が済み、体格や臓器など発達しきった成犬よりも、性成熟前の体格や臓器が未発達な幼犬の方が比較的車に酔いやすい傾向があります。
ただし、どちらにせよ愛犬がもしも車酔いをしてしまう場合には、いきなり長時間のドライブなどは愛犬の負担になってしまうため、段階を踏んだ対策を心掛けることが大切です。
おおよそ3割の犬が車酔いする可能性あり⁉
株式会社Zpeer(ズピア)様の運営するVet‘s Eyeによって示された獣医師100人に聞いた統計では、おおよそ2~3割以上の犬が「長時間ドライブをすると車酔いする可能性がある」と最も多く47%、次いで1割程度が44%という回答になりました。
この円グラフを見ると、4~5割であっても7%が車酔いする傾向があり、6~7割、7~8割という回答も若干数あることから、車に酔う犬は意外にも多く存在するのが分かります。
しかし、年に一度は必ず受けなければならない狂犬病予防注射や万一の時の通院時にこのような車酔いが毎度起こってしまっては、愛犬だけではなく飼い主さんも大変です。
続いては、犬が車酔いを起こしてしまう主な原因について見ていきましょう。
犬が車酔いする原因とは?
犬種の性格や年齢、車に対する意識などによっても変わってきますが、一般的に犬が車酔いしてしまう原因には以下のようなことが考えられます。
・車の揺れ
・車内のニオイ
・車内に対する不安
犬の車酔い原因①:車の揺れ
犬が車酔いを起こしてしまう原因として、根本的に車による揺れが関係している場合があります。この揺れによって三半規管が刺激されると、平衡感覚が乱れ、車酔いを起こしやすくなってしまうため、出来る限り揺れを軽減してあげられる工夫が必要です。
犬の車酔い原因②:車内のニオイ
人の何倍も鼻が利く犬は、車内独特のニオイによっても車酔いを起こしてしまう場合があります。人が好んで置くことが多い芳香剤や消臭剤の中には、犬にとっては苦手なニオイの可能性もあるため、置くのであれば出来るだけニオイがしないものや無香料の物を選んであげるようにしましょう。
犬の車酔い原因③:車内に対する不安
例えば車に初めて乗った時の記憶が動物病院で怖い思いをした時のものだったり、車酔いをしたことで吐いてしまった時に怒られた記憶だったりした場合、それがトラウマになって、再度乗った時に車酔いしてしまう可能性があります。
愛犬を車に乗せる際には、出来るだけ【良い記憶×車】というような結び付けを意識し、万が一吐いてしまったとしても決して怒らないように注意しましょう。
車酔いしやすい犬種って?
今まで筆者は柴犬とシェットランド・シープドッグを飼養してきましたが、結論から申し上げますと、圧倒的に柴犬の方が嘔吐する頻度が多く、現在3代目となる柴犬も我が家に来た当初は良く吐いてしまっていました。
現在は出来る限り車と良い思い出を結び付けられるように、動物病院で受診した後はドッグランのある公園などに足を運ぶことで車に慣れてもらいました。
柴犬のほかにはポメラニアンやフレンチ・ブルドッグなど平衡感覚が比較的優れている犬種は、車などの不安定な空間だと車酔いしやすいと言われる傾向があるようです。
とはいえ、実際のところは車酔いしやすいかどうかはその犬の性格や個体差によって違うため、同じ犬種でも全く車酔いしない子も居れば、何度車に乗せても車酔いしてしまう子もいることでしょう。
ただ、柴犬の性格において言ってしまえば、警戒心が強く、繊細な性格をしている子が多く、環境変化など、普段と違う状況を敏感に感じ取ってしまうといった点は、車酔いを誘発させてしまう一つのきっかけになっているのではないかと筆者は思います。
犬が車酔いをした時の症状
それでは、犬が車酔いを起こしている時の症状をご紹介します。
・頻繁に欠伸をする
・落ち着きがなくなりソワソワする
・パンティング(舌を出してハァハァ言うこと)をする
・よだれを垂らす
・震えが出てくる
・嘔吐
・下痢
以上が犬が車酔いをしてしまった時の主な症状です。
人でもそうですが、犬であっても「嘔吐」だけが乗り物酔いの特徴ではありません。
どちらかというと「嘔吐」や「下痢」は、車酔いを起こしてしまった犬が限界を迎えて吐いてしまったり、粗相をしてしまったりする場合に多く、基本的にはそれ以前から予兆は表れているので、その点に注意した方が良いでしょう。
ただし、中には何の前触れもなく突然吐いてしまうワンちゃんも居るので、そういった場合には、出来るだけ早急に車を安全に止められる場所で休憩を取ってあげてください。
犬が車酔いをしないための対処法
犬が車酔いをしないために事前に抑えていきたい対処法には、以下のような方法が挙げられます。
✓こまめな休憩を取る
✓空腹時・満腹時を避ける
✓窓を開けて換気をする
✓動物病院で酔い止めの薬を処方してもらう
✓クレート内に入れて、クレートを固定する
✓内関(ないかん)・築賓(ちくひん)というツボを押す
✓日ごろから車に慣れる練習をさせ、短距離でも場数を踏む
犬は空腹時も吐きやすい動物ではありますが、満腹時においても車の揺れなどで胃に負担がかかると酔って吐く可能性があります。
長時間のドライブをする時には、出来るだけ食べさせないか、いつもよりもご飯を与える量を控え、『軽く食べさせる』程度でとどめておくのが良いでしょう。
また、内関(ないかん)・築賓(ちくひん)というツボは、車酔いした時に効くツボで、気の流れを良くし、胃の働きを調整、吐き気や精神安定、ストレス緩和、よだれ抑制に効果があると言われています。
ツボ押しに関しては、車に乗る30分前から押しても随分違うと思いますが、なかなか車酔いが改善しない場合には、日ごろからツボ押しをして、少しでも車酔いにならない耐性を作っておくと安心かもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
根本的に車酔いを克服させるには、酔い止めの薬も効果的だとは思いますが、副作用などの心配もあることから、やはり短時間のドライブで車に慣れさせる方法が一番だと思います。
ただし、人と違って車に乗る習慣が基本的にない犬の車酔い克服はなかなか難しいものなので、どうしても難しい時には無理せず獣医師さんに相談なさってくださいね。
<参考書籍>
犬のツボ押しBOOK
楽しい解剖学 ぼくとチョビの体のちがい 第2版
<参考サイト>
ペットの車酔いについて|博多犬猫医療センター
>https://www.hakata-dcm.jp/news/%E3%83%9A%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E8%BB%8A%E9%85%94%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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