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友好的すぎるのも考えもの!?本当の意味での「犬の社会化」とは。

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わんちゃんを育てる上で欠かせない「社会化」。

人間にも他の犬にもフレンドリーで、いつもゴキゲン、決して怒らないわんちゃんのことを、「社会化ができている」と思っていませんか? 実は友好的すぎるわんちゃんがトラブルを引き起こすこともあるのです。

本当の意味でのわんちゃんの「社会化」について考えてみましょう。

わんちゃんが生きていく上で大切な「社会化」とは?

ドッグトレーナーさんだけでなく一般の飼い主さんの間でも、わんちゃんの社会化の重要性について話題になることが増えてきましたね。社会化とは、人間社会で暮らすわんちゃんが日々出会う人や物事に必要以上に恐怖を感じることなく、生きやすくなるために非常に大切なトレーニングです。

適切な社会化ができているわんちゃんは自信があり、落ち着いていて、一つひとつの出来事に上手に向き合うことができます。反対に、社会化不足のわんちゃんは、人や他のわんちゃんを怖がり、環境の変化に神経質で、恐怖や警戒心から吠えや攻撃などの行動に出てしまうこともあります。本来恐れる必要のない物事にもいちいちビクビクしなければならないのは、わんちゃんの心身の健康にとっても良くないことです。

しかしながら、「社会化ができているわんちゃん」とは「誰にでもフレンドリーなわんちゃん」「どんな時でもハッピーな子」という意味ではありません。人間が大好き、撫でられると喜ぶ、他のわんちゃんと仲良く遊ぶ、何をされても決して怒らない・・・それは確かに人間社会では理想的かもしれませんが、「犬」という生き物として考えると、必ずしもそれだけが良いことというわけではありません。

ご存じの通り、わんちゃんにも様々な感情があり、好き嫌いがあります。それは決していけないことではなく、尊重されるべきことです。確かに、誰にでもフレンドリーなわんちゃんは扱いやすく助かりますが、そうじゃない子が悪い子というのは人間の勝手な価値観であり、個性を無視した考えではないかなと思うのです。

みんな大好き!超フレンドリーな、とあるわんちゃんのケース

わんちゃんの正しい社会化について、とあるわんちゃんのケースから考えてみたいと思います。その子は2歳の元気いっぱいな「Aちゃん」。子犬の頃からたくさんの先輩犬と飼い主さんに遊んでもらって、怒られても噛みつかれてもちっとも気にしない、根っからのハッピーなわんちゃんです。

Aちゃんは他のわんちゃんを見つけると低い姿勢で近づいて、すぐにコロンとおなかを見せます。そして追いかけっこやプロレスに誘い、気が合えば初対面のわんちゃんとでも大親友かのように遊ぶのです。その姿はとっても微笑ましくて、どの飼い主さんからも「Aちゃんはすごくいい子だね!」と言われています。

しかし、私の知っている他のわんちゃんの中に、チョコマカした動きが苦手なBちゃんがいます。その子は最初、フレンドリーなAちゃんの「大好き!遊んで!」というアピールを、苦手ながらも上手にかわしていました。でもAちゃんはまったく気に留めず、なんとか遊んでもらおうとBちゃんに飛びついたり跳ねまわったり・・・。目線や体の動きで「やめてね」と伝えても通じないAちゃんに、Bちゃんはとうとう唸って噛みつこうとしてしまったのです。

一見、他のわんちゃんに攻撃しようとしたBちゃんは「いけない子」のように思えますよね。しかしこの場合、「やめて」というシグナルを出している相手の空気を読めないAちゃんが「社会化不足」だと言うことができます。もしもAちゃんがBちゃんの様子を感じ取ってむやみに遊びに誘おうとしなければ、Bちゃんは問題なく接することができたのです。

もちろん、人間社会で暮らす上で攻撃性は好ましいものではありませんから、飼い主さんがもっと注意してBちゃんが攻撃行動に出る前に何らかの対処をする必要があったかもしれません。

本当の意味での「社会化ができているわんちゃん」とは?

Aちゃんのケースから、いつでも誰に対してもフレンドリーであることが「社会化ができている」とは言えないということがお分かりかと思います。Aちゃんは良い子ですが、ちょっと空気が読めないタイプなのですね。

相手の反応を観察し、そのシグナルを正しく読み取り、時と場合によって適切な対応ができることが、本当の意味での「社会化ができているわんちゃん」です。決して、私たち人間から見て理想的な行動をとれることではないのです。

▲相手の様子を見て接し方を変えられるようになるのが、社会化トレーニングでは重要。

わんちゃんの社会化を適切に行うには、様々なタイプの子と接して、正しい振る舞いを身につける必要があります。生まれた環境での母犬や同胎犬、先輩犬との触れ合いが重要なのはもちろんですが、ご自宅に迎えてからもいろんな性格のわんちゃんと会わせて、その時々で正しい対処法を学ぶ機会を与えることが欠かせません。

つい、子犬の無邪気な行動に対して我慢強く怒らない子や一緒に遊べるわんちゃんを選んで会わせてしまいがちですが、他のわんちゃんに興味がない子や避けたがる子にも積極的に会わせるようにしましょう。子犬の内から相手の反応によって自然と対応を変えることができる子もいますし、相手のわんちゃんが上手に教えてくれることもあります。しかし、生まれた環境で社会化の基礎を身につけることができなかったという場合や、相手のわんちゃんが犬として正しい振る舞いができないという場合もありますよね。そんな時には飼い主さんが愛犬と相手のわんちゃんのシグナルをよく観察して、愛犬が適切な対応をとることができるよう手助けしてあげると良いですね。

▲子犬の時期に正しい振る舞いを学ぶのがベスト!

▲ちょっと引いている相手(左)には、静かに近づくことやそっとしておくことを教えましょう。我が愛犬(右)は、この時に教えたら次回は静かに接して、受け入れてもらえました。

誰に対してもフレンドリーなわんちゃんは微笑ましいですが、それはあくまでも人間目線でのこと。犬としての正しい振る舞いを身につけると、他のわんちゃんとのトラブルを未然に防ぎ、どんな相手とも上手に接することができるようになりますよ。

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