時々ワンちゃんに服を着せて散歩に出掛けている飼い主さんを見掛けることがありますが、皆さんはどうしていますか?
「夏にまで服を着せるなんて可哀想…」
そう思われる方もいるかもしれません。
ですが、服の素材や使い方によっては、夏場に犬に服を着せることは、必ずしも悪いことではありません。
今回は、そんな犬と夏服の関係性をまとめました。
人と犬の体感温度の差は17℃⁉
普段私たち人間が感じている暑さというのは、外気温に加え身長や体格の違いなどで、それぞれ体感する温度は違ってきます。
しかしその体感温度というものは、人の場合、全身に分布するエクリン線が熱を発散することによってある程度体温を下げることが可能です。
けれど犬の場合には、限られた場所(鼻の頭や肉球)にしか、エクリン線が存在しないため、体感温度は人が感じている温度とはずいぶん異なり、その差はなんと”17℃以上”とも言われています。
アニコム損害保険株式会社が実際に2014年7月30日の14時に人と犬との体感温度の違いを測定し、「120㎝以上の身長がある人の体感温度が仮に32℃だった場合、地上から10㎝程の高さの温度は驚きの50℃以上」という結果を公表しています。
もし仮に、世界最小の犬とされるチワワで想定すると(体高おおよそ15~23㎝程)、体感温度は17℃以上高い49℃以上と危険を伴う体感温度となってしまいます。
現代の犬にとっての夏服はあり?なし?
それでは、そこまで人との体感温度に差のある犬に、夏服を着せる行為はありなのか、なしなのか…。
結論から申し上げれば…、ドローといったところです。
「なんだ、結局どっちが正解って訳でもないんじゃない」
と思われるような回答で申し訳ないのですが、現代の犬の夏服の場合であっても、犬種の性格や特徴、持病の有無など、総合的に考慮した上で、服を着せることは適切か適切ではないかを判断する必要があります。
昔は夏場の暑さもそこまで厳しくなく、せいぜい気温が上がっても30℃前後くらい、その上基本的に『犬を飼養する=外で飼う』のが当たり前だったこともあり、犬に夏服という概念もなかったことと思います。
しかし、近年の夏場事情は地球温暖化が進み、年々気温も上昇し、今では35℃以上なんて当たり前のように観測するようになりました。
そのため、現在の犬にとっての夏服の在り方は、日々の気温や愛犬の状況によって変わってくるものだと言えるでしょう。
犬の夏服のメリットとは?
ここからは、犬に夏服を着せるメリットについてご紹介します。
一昔前なら飼い主の自己満足の世界と思われがちだった犬の洋服も、現在ではどのようなメリットがあるのか、参考にしてみてくださいね。
犬の夏服メリット1:熱中症予防
夏場の暑い時期に犬に夏服を着せるメリットとしては、なかなか意外かもしれませんが、熱中症予防が挙げられます。
時々男性で、上半身裸のまま夏場を過ごしている方がおられますが、あれは一見涼しそうに見えても、37℃以上を超える炎天下の下では、逆に体が熱を吸収し、益々熱くなってしまうことがあります。
犬にとってもそこは似ていて、あまりにも外気温が高い場合には、水で濡らして使うクールベストを使うことで熱中症対策をすることが出来ます。
犬の夏服メリット2:紫外線対策
犬に夏服を着せることで得られるメリットには、他にも紫外線対策が挙げられます。紫外線と聞くと肌に直接ジリジリ照り付く印象が強いかもしれませんが、被毛が豊富な犬にとっても紫外線は皮膚に影響しています。
というのも、犬は人に比べてとても皮膚が薄くとてもデリケートだと言われているので、犬に夏服を着せることで紫外線対策に繋がるのはとても効果的だと言えます。
犬の夏服メリット3:防虫対策
防虫対策については、夏場には出来るだけ避けたい蚊の吸血などを回避することが出来ます。
犬が罹るととても怖いフィラリア症は、最悪死に至ってしまう程恐ろしい病気なので、夏服を着せることで肌を守れるメリットは大きいのではないでしょうか?
犬の夏服のデメリットとは?
では逆に、犬に夏服を着せることでデメリットとなってしまうものにはどういったものがあるのか、ご紹介します。
愛犬の性格や特徴によっては、必ずしも夏服を着ることが良いという訳ではないので、判断材料の一つになれば幸いです。
犬の夏服デメリット1:愛犬へのストレス
いくら夏服で熱中症対策や紫外線対策が出来るとはいえ、服自体が苦手な愛犬に無理やり服を着せることは、逆にストレスを与えてしまう要因になってしまいます。
もしも愛犬が夏服を着ること自体嫌がるようであれば、内ポケットに保冷剤などを入れられるハーネスやクールネックなどで体温の低下を図ると良いかもしれません。
犬の夏服デメリット2:犬によって逆に熱中症の危険が!
犬の夏服でデメリットとなる物事に、犬種による熱中症が挙げられます。
「さっきのメリットと言ってること違うじゃない!」と、思われる方もいるかもしれませんが、一般的に大型のゴールデン・レトリバーなどは、大きい割に暑さに弱い傾向が強く、一方で小型犬である柴犬などは、比較的暑さに強い犬種と言われています。
そのため、犬種によっては夏服を着せる・着せないという慎重な判断をしてあげてください。
犬の夏服デメリット3:着せ方によっては蒸れが起こる
これについては、濡らして使用するクールベストにありがちなものだと思いますが、水で濡らして冷やした時に、十分に水気を取らず、そのまま愛犬に着させてしまうと、場合によっては逆に夏の暑さで蒸れてしまって、皮膚炎の原因や悪化に繋がってしまう可能性があります。
もし、そういった皮膚疾患に少しでも不安があるような愛犬には、濡らして使うクールベストではなく、接触冷感素材の服を着させてあげた方が良いかもしれません。
まとめ
犬の夏場の暑さ対策方法にはさまざまな方法がありますが、犬用夏服もまた、暑さ対策の一つとして活用することが出来るのがお分かりいただけたのではないでしょうか?
ただ、中にはやはり見た目からして暑そうだと思う飼い主さんもいると思うので、そういった場合にはもちろん着用させる必要はありません。
しかし、相当愛犬が暑がっていたり、あまりにも暑さが厳しいといった時には、せめて散歩の時は必ず飲み水を持つ、家の中でも飲み水を切らさないといったことを意識するように心掛けてあげてくださいね。
<参考サイト>
ベル動物病院|動物病院・ある日の外来 犬の洋服その意味
>https://bell-hos.com/archive/1400/
anicom you|2020年の夏は猛暑?知っておきたいワンちゃんの熱中症に関するデータと予防法は?
>https://mag.anicom-sompo.co.jp/12391
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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