4月は人にとって入園式や入学式、入社式や転勤など、様々な環境の変化が訪れる季節でもありますよね。
ただ、犬に関してはどうでしょう?
人の場合は季節ごとにこのような行事が毎年訪れるため、「新学期」=「新たな挑戦」という印象が持たれがちですが、犬の場合は、体感やワクチン接種などの変化を除いては、あまり変化を感じられるものは少ないかもしれません。
そこで今回は、飼い主さんと共に心機一転!犬の困った行動がある時に活用したい、しつけ教室のメリット・デメリットなどをご紹介します。
<目次>
そもそも犬の問題行動ってどんなもの?
皆さんの中で、犬の問題行動と聞くとまず最初に思い浮かぶものは何ですか?
「飼い主さんに対して攻撃的な態度を取る、家にある家具や物を破壊する、インターホンの音で勢い良く吠えだす。」などでしょうか?
犬の問題行動とは、人が犬からされて困ってしまう行動のことを言いますが、飼い主さんの捉え方によっては、その行動が問題なのか、そうではないのかが違ってきます。
一般的に犬にされて困ると問題視されている問題行動は以下のような行動です。
・攻撃行動(噛みつく、威嚇など)
・無駄吠え(インターホンなど)
・所構わず粗相する
・恐怖や不安から来る破壊行動
・執拗なマウンティング
・執拗な尾追い行動(しっぽを噛んで離さない、など)
ご自身の愛犬にこのような行動が見られた場合には、おおむね問題行動とされている事柄ですので、今一度確認してみるように注意してみましょう。
米調査では犬の問題行動を認識している飼い主85%!
2019年、アメリカのマサチューセッツ州ノースグラフトンのタフツ大学研究者の方たちによる犬の問題行動に対するアンケートによると、2,480人の犬の飼い主さんの85%が、犬の行動が問題行動と認識していると回答しています。(犬の頭数は純犬種及び雑種4,114匹。)
主な問題行動については、前述した内容に加え、他にも食糞、飛び付き、強迫的行動、逃走などが含まれています。
ただ、こういった行動は、果たして本当に全て「問題行動」と一括りに出来るものなのでしょうか?
犬の問題行動と異常行動の違い
飼い主さんの中には、
『普段は大人しくて良い子なのに、留守番させると必ず部屋中を散らかして困っています』
といった内容のお悩みを持っている飼い主さんも居らっしゃると思いますが、その場合には本当にそれが「問題行動」に当てはまるのかどうなのかをまずは確かめる必要があります。
というのも、犬種の性格や普段の飼い主さんの接し方によっては、知らぬ間にその行動を誘発してしまっている場合があり、尚且つその行動は「問題行動」ではなく『分離不安』や『常同障害』といった内面の病気の側面が強い行動の場合があるからです。
なぜそのようなことが起こるのかというと、『分離不安』の多くは飼い主さんによる愛犬への猫可愛がりの結果、愛犬の飼い主さんへの依存心が高くなることで表れ、『常同障害』は逆に飼い主さんとのスキンシップ不足やストレスから、心の病となって表れてしまうことがあります。
基本的に言われている『常同障害』や『分離不安』に当てはまる内容は、主に下記の通りとなります。
【常同障害】の場合・・・
- しっぽを噛んで離さない執拗な尾追い行動
- 執拗な穴掘り行動
- 執拗な足先を舐める行動 など…
【分離不安】の場合・・・
- 留守中のみの破壊行動や粗相
- 執拗に吠え続ける
- 食欲不振に陥る など…
もしもご自身の愛犬にこのような行動が見られたのであれば、まずは問題行動を疑うのではなく、獣医師に相談してみてください。
仮にこの場合であったなら、しつけ教室ではなく薬物療法や行動療法による治療が必要になります。
犬をしつけ教室に通わせるメリット・デメリット
それでは、実際に愛犬たちの行動で飼い主さんがどうしても困ってしまう内容があった時、しつけ教室に通った方が良いのでしょうか?
しつけ教室に通わせるメリットとデメリットをご紹介します。
<犬のしつけ教室のメリット>
- 犬の問題行動の改善
- 愛犬の社会勉強ができる
- しつけ方を学ぶことが出来る
- 飼い主同士の交流機会が増える
- 今は動物病院でもやっているところがある
<犬のしつけ教室のデメリット>
- 費用が高い
- 必ず成功する保証がない
- しつけ教室に通う手間がある
- 愛犬や飼い主さんとトレーナーとの相性
- 犬種によっては愛犬自体のストレスになる
- トレーナー以外の言うことを聞かない可能性がある
以上がしつけ教室に通う際の主なメリット・デメリットになります。
ここで注意してほしいのは、しつけ教室はあくまでも犬の問題行動改善の糸口を学ぶ場であり、犬だけが頑張れば解決する事ではないということです。
動物愛護先進国の英国では必ず犬としつけ教室に通う
日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、動物愛護先進国と言われているイギリスでは、ケネルクラブ(KC)の指導の下、全国共通のカリキュラムで各地に犬の学校が開かれています。
犬を迎えた新米飼い主は、必ずそういったしつけ教室に通い、ビギナークラスなどのクラス毎に分けられている課程を修了し、犬と共に検定試験を受け、合格犬には認定証やリボンが授与される仕組みになっています。
そんなイギリスでは、しっかりと犬のしつけがなされていればノーリードでも散歩が可能です。
日本では必ずリード装着の上、散歩をすることが大前提となっていますので、両国の犬との向き合い方の違いで、随分とルールが異なっているのがわかります。
けれど、コロナをきっかけに犬の飼育も多くなってきた日本も、こういった取り組みはあっても良いのではないかと個人的には感じています。
まとめ
いかがでしたか?
犬を飼うということは、ただ単に可愛がればいいというだけではなく、人間社会で生きていくための社会性や周りの人に対する配慮などが必要になってきます。
また、基本的に犬のしつけは一朝一夕で改善することはまずあり得ません。
日々の積み重ね、飼い主さんの意識改革、そして愛犬とどう向き合っていくか。それら総合的な観点から物事を見た上で、愛犬と向き合っていく必要があります。
愛犬との絆を深め、問題行動の改善に繋げるために何よりも大事なことは、飼い主さんも愛犬と共に学び、飼い主さんだけでも、愛犬だけでもなく、お互いがお互いに問題改善のために行動することではないかと筆者は思っています。
<参考URL>
Demographics and Comorbidity of Behavior Problems in Dogs
>https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1558787818302727
PLAYBOW Dog Trainers Academy|イギリスの犬たち
>https://playbow-dogtrainers-academy.com/9851.php
上野原どうぶつ病院|しつけ教室
>https://uenohara-ah.com/%E3%81%97%E3%81%A4%E3%81%91%E6%95%99%E5%AE%A4/
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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