日に日に暖かく、いろんな花が芽吹き始める春。
飼い主さんはもちろん、犬にとっても過ごしやすくなるこの季節に、中でも特に楽しみなのが、桜の花が咲く頃ではないでしょうか?
淡いピンク色の桜もあれば、真っ白な花を咲かせる桜も珍しくなく、多くの方がお花見や桜をバックに撮影する姿が多くなる頃でしょう。
しかし、そんな桜の花びらや葉っぱをもしも愛犬が食べてしまった場合、どうすればいいのでしょうか?
犬の桜による危険性は?毒性があるのはどの部分?今回は、そんな桜にまつわるお話をご紹介します。
愛犬が桜を食べてしまったら…?
犬が桜を食べてしまった時には、まずは花びらなのか、葉っぱなのかを確かめてください。桜の花びらの場合であれば、基本的には少量ならそこまで心配する必要はありません。
犬が舞い散る桜の花びらを相手にじゃれつくのはよくある事なので、こちらに気を惹かせるなどして散歩の続きをしましょう。
ただ、葉っぱの場合には、注意が必要です。
桜の葉は、屋外に限らず桃の節句で出てくるさくら餅などにもよく使われているため、少し目を離した隙に愛犬がさくら餅ごと食べてしまうなんてこともあるでしょう。
そういった時には動物病院の先生に診てもらうようにしてください。
桜に含まれる「クマリン」・「アミグダリン」って何?
そもそも桜とは、バラ科サクラ亜科サクラ属の樹木です。
バラ科の植物には、ほかにもりんご、梅、アンズ、桃などがあります。
そんなバラ科に分類される桜にどんな成分が含まれているのかと言いますと、代表的なものにクマリンという成分と、アミグダリンという成分があります。
どちらもあまり聞き慣れない成分かもしれませんが、一つずつ確認していきましょう。
桜の塩漬け葉っぱに含まれる「クマリン」
さくら餅や道明寺などで使われる桜の葉っぱの塩漬け。
これらの多くは主にひな祭りなどの桃の節句でよく食べられるものですが、こういった和菓子に使われる桜の葉に含まれるクマリンにも毒性があるので注意が必要です。
クマリンとは、多くの植物に含まれている天然香料で、桜のあの香りは葉っぱに多く含まれるクマリンによって香る匂いです。
クマリンは、桜の葉っぱを塩漬けにすることや半渇きの葉を粉砕することで生成され、それを多量に摂取すると、肝障害や腫瘍の形成が起こる危険性が考えられているため、もしも犬がさくら餅などの葉っぱを食べてしまった場合には、症状が出る出ないにかかわらず、動物病院の先生に診てもらうようにしてください。
桜の種子、果肉、葉、樹皮に含まれる「アミグダリン」
アミグダリンとは、犬だけではなく人にとっても有毒と言われている青酸配糖体を含む成分で、桜の種子、果肉、葉、樹皮に含まれています。
と言っても、アミグダリン自体には毒性はなく、動物の腸内細菌のβ-グリコシダーゼという酵素が加水分解を行った結果、「シアン化水素」という毒性の強い物質を生成し、粘膜の充血や頻脈、嘔吐、痙攣、最悪は死に至る症状が出る大変危険なものです。
例えば、サクランボの種などにも青酸配糖体が含まれており危険ですので、犬がサクランボの種を大量に食べないように気を付けてください。
愛犬が桜を食べないように回避する方法
犬に桜の花びらや枝などを食べさせない、咥えさせないための最善の回避方法をご紹介します。
具体的には、桜の咲いている期間の散歩については
・散歩ルートを変える
・おやつ、おもちゃなどで愛犬の気をそらす
・リードをコントロール出来るほどの短さを保つ
というような工夫を施すことで回避しましょう。
逆に、ご家庭内でさくら餅を食べたり、お花見を楽しもうと桜の苗木を飾る場合には
・塩漬け葉っぱを犬が食べないように気をつける
・犬の手の届くところに桜の苗木を置かない
こういった点に気をつけるように心掛けましょう。
桜の季節は短いですが、そんな時ほど工夫が大切です。
筆者の柴犬も、現在1歳半ということもあってさまざまなものに興味があり、風などで動きのある落葉はもちろん石、松ぼっくりなど、それはもう遊べそうなものや興味をそそられるものには、なんでも飛び付きたがります。
そのため、出来る限りリードを短く持ち、飼い主である筆者が目を光らせた状態で散歩をします。
葉桜になった後の毛虫にも要注意!
桜は、満開時には毛虫などの害虫が付くことは無いそうですが、見頃期間が短いがゆえに葉桜になり始めると、その桜の葉を好物とする毛虫が多くなると言われています。
特にチャドクガやマイマイガと言われる毛虫は、体に毒針毛が多数存在していて、万が一刺されてしまうと、人でもかゆみや痛みを伴いますが、犬もまた皮膚炎を起こす可能性があります。
そのため、見頃が過ぎた葉桜の下を歩く際には、毛虫にも注意しながら歩くように心掛けましょう。
まとめ
コロナになり、お花見を自粛せざるを得なくなった現在。代わりに桜をバックに写真を撮る方も増えたと思います。
撮影に夢中になるあまり、思わぬところでわんちゃんが桜を食べてしまわぬよう注意してください。
桜はその儚さや綺麗な見た目から多くの人を魅了して止みませんが、わんちゃんにとっては、時として危険な中毒症状を起こしてしまう可能性がある植物です。
春の散歩や和菓子で桜を満喫する際は、種子や果肉、葉、樹皮などには十分注意し、愛犬とのお花見を楽しんでください。
<参考サイト>
バラ科植物及びその食品中の青酸配糖体とその分解物
>https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfcs/22/2/22_KJ00010046742/_pdf
グリコシダーゼの分子機構に関する研究
>https://www.jstage.jst.go.jp/article/nogeikagaku1924/73/10/73_10_1001/_pdf
三津和化学薬品株式会社
>http://www.eonet.ne.jp/~mitsuwa-chem/column/BackNum1/column13.html
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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