犬の身近には、いろいろな植物があふれていますね。
お部屋で観葉植物を育てたり、お花を飾ったり、ガーデニングを楽しむ飼い主さんも多いのではないでしょうか。
しかし、その植物の中には犬にとって有害なものも隠れています。
「犬がかじって中毒で倒れてしまった」という事がないように、犬に害のある植物をしっかりと覚えておきましょう。
犬の身近にある危険な植物【観葉植物編】
おしゃれなインテリアや癒しとしてお部屋に「観葉植物」を置きたいという方も多いと思います。
そこで気になるのが「愛犬にとって安全かどうか」ですね。
今回は観葉植物として人気があるけれど、実は犬には有害とされている植物を「5つ」紹介します。
▼犬にとって危険な「観葉植物」
①ポトス
➁モンステラ
➂ドラセナ
④ポインセチア
➄ディフェンバキア
①ポトス
非常に丈夫で育てやすいため、初めて観葉植物を育てる方にオススメされることの多い「ポトス」ですが、犬には危険な植物です。
「シュウ酸カルシウム」を多く含むので、犬がかじってしまうと「口内炎」や「皮膚炎」を引き起こします。
ツルを伸ばして成長する植物なので、気づいたら犬が届く高さまで垂れ下がっていたという事もあるので注意が必要です。
➁モンステラ
南国の雰囲気がある「モンステラ」も観葉植物として人気がありますね。
「モンステラ」も「ポトス」と同様に「シュウ酸カルシウム」を多く含む植物です。
葉の部分をかじると口の中が腫れたり、モンステラの樹液が皮膚に付いてかぶれることがあります。
➂ドラセナ
幸福の木と呼ばれる「ドラセナ」も人気の観葉植物ですが、毒性があるので注意が必要です。
かじると「よだれをダラダラたらす」「手足のしびれ」「下痢」「嘔吐」などを引き起こします。
また。ドラセナは大きく育つと白い花を咲かせますが、そこから甘い蜜が出ます。
過去にはその花の密を舐めて、目の周りを腫らしてしまった犬が来院したと動物病院から報告されているので、注意が必要です。
④ポインセチア
クリスマスの時期になると、目にすることが多くなるのが「ポインセチア」ですね。
この「ポインセチア」の葉と樹液には「ホルボールエステル類」という有毒成分が含まれます。
犬がかじってしまうと「下痢」や「嘔吐」などの消化器症状や「口内炎」や「ただれ」を引き起こします。
犬で死亡事故があったと報告されているくらい要注意な植物ですが、危険性の認知度が低く、ペット保険会社のアニコム損保が行ったアンケート(3000人を対象)では危険度を認知している人はわずか「25%」でした。
➄ディフェンバキア
「ディフェンバキア」もおしゃれな観葉植物で人気がありますが、樹液には「シュウ酸カルシウム」が多く含まれているので、犬がかじると「口内の腫れ」や「皮膚のかぶれ」を引き起こします。
目の周りに樹液がついてしまうと「結膜炎」も起き起こす可能性があります。
犬の身近にある危険な植物【ガーデニング編】
お庭や駐車場でガーデニングを楽しむ方も多いですね。
庭や駐車場は犬もよく出入りする場所なので、植える前にどんな植物が犬にとって危険なのか覚えておきましょう。
今回はガーデニングでよく植えられているけれど、実は犬にとって危険な植物を「5つ」ご紹介します。
▼犬にとって危険な「ガーデニングの植物」
①アジサイ
➁ペチュニア
➂クリスマスローズ
④ツワブキ
➄イヌサフラン
①アジサイ
育てやすく華やかな見た目なので、最近「アジサイ」をお庭や鉢植えで育てている方も多いのではないでしょうか。
毒性成分は詳しく解明されていませんが、料理に添えられた「アジサイの葉」を食べた人が「嘔吐」「めまい」などの中毒症状を起こしたと厚労省が報告しています。
犬が食べてしまった場合も同様の症状が起こりますので、アジサイを犬にかじらせないように注意しましょう。
➁ペチュニア
「ペチュニア」もガーデニングでメジャーな植物ですね。
「え、ペチュニアって毒あるの?」と驚いた方もいらっしゃると思いますが、「ペチュニア」はナス科に該当します。
実はナス科の植物は動物にとって毒性が強いものが多く、実際にペチュニアの花と葉っぱを食べた子犬が中毒症状を起こして瀕死の状態になった事例が獣医師さんから報告されています。
毒性成分は詳しく解明されていませんが、犬に近づけない方が賢明です。
➂クリスマスローズ
耐陰性が強く日光が届きにくい場所でも元気に育ってくれるので、シェードガーデンには欠かせない植物ですね。
ですが全草に毒があり、もし犬がかじってしまうと「口内のただれ」「嘔吐」「下痢」「麻痺」などの中毒症状が起こり、最悪の場合、死亡します。
クリスマスローズは「キンポウゲ科」に該当しますが、キンポウゲ科の植物(アネモネや福寿草など)は毒性が非常に強いので、植える場所には注意が必要です。
④ツワブキ
和風のお庭にピッタリで綺麗な花な黄色い花を咲かせる「ツワブキ」ですが、「ピロリジジンアルカロイド」という毒性があり、食べてしまうと肝臓に障害を引き起こします。
この毒性は調理過程で消失するので、食べる習慣がある地域もありますが、犬は体が小さいので食べさせたり生の葉っぱをかじらせることは止めましょう。
➄イヌサフラン
「イヌ」という言葉が付いていますが、犬が食べてよい植物ではありません。
「コルヒチン」という毒性成分を含み、食べると「嘔吐」「下痢」「呼吸困難」を引き起こし、重症の場合は死に至ります。
人では「ギョウジャニンニク」と間違えて誤食し、死亡する事故が多発しています。
人の体重で死亡事故が起きているので、小型犬だったらひとかじりでも危険です。
管理の自信がないのであれば、育てるのを避けた方がよいでしょう。
犬の身近にある危険な植物【花編】
最近はお部屋に花を飾って日常を楽しむ方も多いですね。
しかし、花屋さんで簡単に手に入る花の中にも犬が注意した方がよい植物があります。
特に子犬は好奇心でなんでも口に入れてしまうので、花を飾るときには十分注意してあげてください。
▼犬にとって危険な「花」
①スイセン
➁チューリップ
➂シクラメン
④ユリ
➄ヒヤシンス
①スイセン
香りがよく切り花も長持ちするので、人気のあるお花ですが全草に毒があります。
「嘔吐」「下痢」「胃腸障害」などを引き起こします。
また、スイセンは「シュウ酸カルシウム」も多く含んでいるので、樹液に触ると「皮膚炎」を引き起こします。
➁チューリップ
春になると飾りたくなるかわいらしいお花です。
しかし全草に毒があり、食べると「嘔吐」「下痢」を引き起こします。
樹液がついても「皮膚炎」や「かぶれ」を引き起こすので、花瓶の水にも十分注意してください。
➂シクラメン
「サポニン配糖体」という毒性成分を含み、特に根っこの部分が危険です。
食べると「嘔吐」「下痢」「胃腸障害」を引き起こします。
④ユリ
華やかで人気のあるお花ですが「犬にとっては毒である」ということは意外と知られていません。
毒性成分は詳しく解明されていませんが、誤飲による死亡率が非常に高いです。
ペット保険会社のアニコム損保が「獣医師170人」を対象に行ったアンケートによると、ユリを誤食して死亡に至ったケースはなんと「34例中12例(犬猫含む)」でした。
➄ヒヤシンス
水耕栽培で育てている方も多い「ヒヤシンス」ですが、全草に「リコリン」という毒があり、犬が食べると「嘔吐」「下痢」「胃腸障害」「腎障害」を引き起こします。
また、球根部分には「シュウ酸カルシウム」が高濃度で含まれます。
そのため、かじった口の周りや接触した場所に「強いかゆみ」や「腫れ」を引き起こし、ひどい場合は「呼吸困難」まで引き起こします。
花粉を舐めただけでも中毒を起こすことがあるので、犬が過ごす部屋には置かない方がよいでしょう。
犬に安全な植物を探す方が難しいくらい、犬にとって有害な植物はたくさんあります。
ここでは紹介しきれなかった植物もまだまだあるので、犬の身近に植物を置く場合は、十分調べてイタズラ対策をしたうえで置くようにしましょう。
<参考URL>
幸福の木(ドラセナ)の花と中毒? 山田どうぶつ病院
>http://yamada-ah.com/blog/2009/01/post-66.html
Toxic and Non-Toxic Plants List
>https://www.aspca.org/pet-care/animal-poison-control/toxic-and-non-toxic-plants
ポインセチア中毒 壱岐動物病院
>https://1013.jp/%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%81%E3%82%A2%E4%B8%AD%E6%AF%92/
ペットが出会う危険な植物 環境省
>https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2711a/pdf/12.pdf
中毒シリーズ ペチュニアはナス科
>https://ameblo.jp/naotokazuna/entry-12685959889.html
犬、猫の誤飲:傾向と対策【傾向編】
>https://www.anicom-page.com/hakusho/journal/pdf/120206.pdf
<画像元>
Unsplash
Photo AC
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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