皆さんは犬と生活を共にする中で、こんな話を聞いたことはありませんか?
「犬と接する時には、主従関係をしっかりと構築しましょう。そうでないと、犬がそのリーダーを担おうと上下関係を作り、言うことを聞いてくれなくなってしまいます」と…。
けれど、それは本当にそうなのでしょうか?
また、犬と犬の祖先と言われる狼との遺伝子は、95%以上が似ていると言われています。
しかし、裏を返せば残りの5%は犬自身が持ち合わせる独自の遺伝子ということが言えるのではないでしょうか?
両親とその子供たちから成り立っている狼の群れと、人との関わりが濃密になり、今では伴侶動物(コンパニオン・アニマル)という言葉まで生まれた犬が共にする群れには、大きな違いが生じるのではないかと筆者は思っています。
では具体的に、犬と狼とではどのような違いが存在するのか、詳しく見ていきたいと思います。
「狼の自主性」と「犬の自主性」の違い

では、まずは狼の自主性についてご紹介します。
狼は上記でもお伝えしたように、狼同士の群れで生活を共にしてきました。そのため、犬と違って人が行うジェスチャーを認識する能力は持っておりません。
例えば、「2つのボウルの一方におやつを隠し、人の目線やジェスチャーを元に見つけ出す」という研究結果では、狼は犬の約半分しか人のジェスチャーを認識することが出来なかったことが発表されています。
しかし一方で、狼と犬は記憶力や運動衝動制御など、認知能力のテストにおいてはほぼ同じ能力を発揮していて、違いがないことも分かっています。

ここまでの話を聞くだけだと、犬の方が自主性は富んでいるのでは?と感じてしまうと思うのですが、この話には続きがあります。
というのも、犬の多くはそもそも試行錯誤することなく最初からおやつの場所を把握しており、さらに対照実験では、犬は嗅覚ではおやつを探していないことまで分かったのです。
また、密閉された瓶の中に入ったおやつでの実験を行った際も、狼は自分の力で解決しようと試みたのに対し、犬は近くにいる人の目を見つめて助けを求めるような仕草を見せたといいます。
これらの内容からも分かるように、狼の自主性は犬よりも優れているです。
ただ、だからといってどちらが賢い、賢くないという事ではなく、犬はこれほどまでに人との関わりに密接した生活を送っているという証明だと筆者は思うのです。
犬にも主従関係が必要だと思われたキッカケ

それではここからは、なぜ犬も狼と同じように主従関係を作るしつけ法にした方が良いという認識が多くの人に広まったのかということに言及したいと思います。
そもそも、野生の狼は哺乳類では珍しい一夫一妻性の動物です。そのため、狼の子育てにおいても、ほかの群れと一緒に子育てをし、ほかの群れと共に狩りをしてきました。
これを見る限りでは、人が赤ちゃんの面倒を地域で見てあげようとする様子とさほど変わらないですよね。
ではなぜ、一昔前の犬のしつけでは、主従関係が犬には必要だと言われたのか?
それは、主に研究対象として使われた狼の群れに関係がありました。
元々研究として使われていた狼は、飼育下での行動を中心に考えられていました。
そのため狼の群れといっても、血縁関係の一切ない直線的な群れだったため、社会的な上下関係が生まれ、結果それを犬に当て嵌めたのが主従関係を構築する必要性のあるしつけ法のきっかけになりました。
人であっても初対面の他人と「一緒に生活を共にしろ」なんて突然言われたら、どうしたら良いのか困惑してしまいますよね?

けれど、上記でもお伝えしましたが、一般的に野生で生きている狼は血縁関係がある家族としての群れが普通なので、その狼たちの子孫である犬が「人との間で序列を作る」ことは現在では考えにくく、むしろ犬は、人との関係性を一種の家族として捉えている傾向にあります。
ですので、その愛犬の「家族」である私たちは、リーダーという立ち位置ではなく、どちらかというと「母親」や「父親」、「兄弟・姉妹」といった立ち位置で接することが大切なのではないかと思います。
犬の接し方は人のそれと同じように、目的に応じて接し方を変え、私たち人は、そんな愛犬の気持ちに少しでも寄り添ってあげる事。
それこそが、犬にとって人との『主従関係』としての在り方なのではないでしょうか。
<参考書籍>
「ブルース・フォーグル博士のナチュラルドッグケア」著者名:ブルース フォーグル(著)/坂田 郁夫(監修)/坂田 光子(監修)

また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。

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