散歩中に愛犬が他の犬に「ワンワン」吠えかかって、気まずくなった経験はありませんか?
犬は吠える生き物ですが、飼い主さんが「吠え」をコントロールしてあげることは、とても大切です。
そこで今回は、悩んでいる方も多い「犬の散歩中の吠え」についてお話ししていきます。
「愛犬が吠える理由」だけでなく、「吠える前にできる対策」や「オススメしないNG行動」など、すぐに役立つ情報もありますので、ぜひ最後までご覧ください。
犬が散歩中に吠える6つの理由
まず、愛犬がどうして吠えてしまうのか原因を探っていきましょう。
犬によっては原因が一つではなく、複数重なっていることもあるので、愛犬の様子を注意深く観察してみてください。
▼犬が散歩中に吠える6つの理由
①威嚇で吠える
➁怖いから吠える
➂強気で吠える
④ストレス発散のために吠える
➄興奮で吠える
⑥犬の年齢やホルモンの影響
①威嚇で吠える
犬は平和主義な生き物なので、争いが起こる前になんとか回避しようとします。そのための手段のひとつが「それ以上、近寄らないで!!」という威嚇からくる吠えです。
自分の縄張りを守ろうとしたり、仲の良い犬を守ろうとして吠えることもあります。
➁怖いから吠える
怖がりな性格であったり、過去に他の犬や人に攻撃された経験があったり、他の犬との関わりが少なかったりすると「この怖い物を早く追い払わなくっちゃ」と恐怖心から吠えかかってしまうことがあります。
➂強気で吠える
いわゆるオラオラ系の吠えです。
自信が芽生えてきた若い犬や気が強い犬などが、「ほら!かかってきなさいよ」と他の犬を挑発をするために吠えることがあります。
④ストレス発散のために吠える
散歩の時間や運動の時間、遊びの時間などが足りていないとあり余るエネルギーを発散させるために「吠え」でストレスを解消している可能性もあります。
エネルギーがあり余っていると、ちょっとした刺激(犬や音、人など)にも反応しやすくなってしまいます。
➄興奮で吠える
攻撃や威嚇ではなく、「ねぇねぇ遊ぼうよ」「飼い主さん、早く遊ばせてよ」というはしゃいだ気持ちからの吠えもあります。
ただ、興奮状態ということはさまざまな刺激に反応しやすい状態なので、次の瞬間には攻撃に変わることもあるので注意が必要です。
⑥犬の年齢やホルモンの影響
犬にも人と同じような思春期(反抗期)があることが研究によってわかってきました。
この時期(生後半年~1歳頃まで)は飼い主さんの言う事を聞かなくなったり、こだわりが強くなったり、急に攻撃的になるといった行動が出てくることがあります。
特に吠えがひどくなるような原因(他の犬から攻撃された等)が思い当たらないけれど、急に吠えがはじまったという場合は、年齢やホルモンが影響しているかもしれません。
愛犬が吠える前にできる対策
愛犬が吠える原因がわかったら、次は対策を覚えていきましょう。
対策というと、「犬が吠え始めてから対応をする」というイメージがありますが、犬が吠える前にできることもたくさんあります。
吠えをコントロールするためには、まず「犬が吠えなくても良い状況」を飼い主さんがつくってあげることもとても大切です。
では、吠える前にできる対策はどんなことがあるでしょうか。
ポイントを「4つ」にまとめました。
▼犬が「吠える前」に飼い主さんができる対策
①他の犬が来たら方向や道を変える
➁他の犬と距離をとる
➂飼い主さんに注目をさせる
④ストレスを発散させる
①他の犬が来たら方向や道を変える
他の犬と出会う度に吠えていると、毎日「犬に会ったら吠える」という行動を強化していることになります。
まずは吠える機会を減らすために、「犬がこっちに来ているな」と気づいたらすぐに道や方向を変えましょう。
愛犬が他の犬に気づいたとしても、すぐに視界から犬がいなくなるので、落ち着いて行動しやすくなります。
➁他の犬と距離をとる
近距離だと吠えてしまう子も距離をとると落ち着いてくれることがあります。
他の犬とのすれ違う場合や歩いている先に犬がいる場合は、十分距離をあけて歩くようにしましょう。
そのため愛犬がどれくらいの距離で犬に反応してしまうのかを知っておくことが大切です。
おおまかな距離感がつかめれば、吠えないトレーニングもおこないやすくなります。
➂飼い主さんに注目をさせる
他の犬が視界に入っていると反応しやすくなります。
そのため、飼い主さんの体で犬の視界を遮って、飼い主さんに注目させておくのもひとつの手です。
愛犬が他の犬に注目したなと感じたら、犬の目の前にぱっと立ち、犬の視線を遮ります。
犬が他の犬ではなく飼い主さんに注目したら、ご褒美にオヤツを与えます。
④ストレスを発散させる
先ほどお話ししたように、散歩の時間が足りなかったり遊びの時間が足りないと、足り余るエネルギーを他で発散させようと別の事にエネルギーを使います。
そのため日常的に運動をしっかり行うのはもちろん、ノーズワーク(鼻を使って探索欲求を満たす遊び)や犬用の知育のおもちゃで頭も使わせて、吠えに回すエネルギーを減らしておくということも大切です。
愛犬が吠えたら飼い主さんができること
それでは、吠える前の対策を取ったけれど犬が吠え始めてしまったという場合は、一体どうすればよいのでしょうか。
飼い主さんがとるべき行動は「3つ」です。
▼犬が吠え始めたら飼い主さんが取る行動
①愛犬の視線を遮る
➁対象物から距離を取る
➂別のことに意識を向けさせる
最初にお話ししたように、「怖かったから吠えた」「向こうに行ってほしいから吠えた」など、吠えには犬なりの理由があります。
そのため、まずは吠えを作っている対象物から視線をそらせて、距離を取って落ち着かせてあげるということが大切です。
解決をするための手段が「吠える」の一択になっているので、「別の方法もあるんだよ」ということを教えてあげましょう。
では、どうすればよいか具体的にお話ししていきましょう。
①愛犬の視線を遮る
吠える原因を作っている物を見なくてもいいように、犬の前にぱっと立って飼い主さんの体で視線を遮りましょう。
そうすると、愛犬が「どうしたの?」と吠えるのを止めて、飼い主さんを見上げるのでさず褒めてオヤツを与えます。
➁対象物から距離を取る
犬の視線をさえぎったら、つぎに吠える原因との距離をとっていきます。
飼い主さんが犬の目の前に立って前に進むと、自然と犬が後退していきます。(犬が吠えずに目線を向けていたらすかさず褒めてオヤツを与えます。)
そのままズイズイ前に進んで、吠える原因を作っている対象物と距離をとっていきます。
➂別のことに意識を向けさせる
視線を遮ったり対象物との距離を取ると、犬のコントロールが効きやすくなります。
そうしたら愛犬に「吠えるより別のことをしようね」「犬ではなくて私の方を見ていたらご褒美をあげるよ」と教えてあげましょう。
愛犬が犬の方ではなく飼い主さんの方を見たら、褒めてすかさずオヤツを与えます。
これを繰り返すと「犬じゃなくて飼い主さんの方を見ればいいんだ」と学習してくれます。
愛犬がどれくらいの距離で吠えるかが把握できたら、この「別のことに意識を向けさせる練習」を繰り返すようにしましょう。
愛犬が吠えた時にオススメしないNG行動
愛犬が吠え始めたときに飼い主さんが取らない方がよいNG行動もあります。
▼愛犬が吠えたときにオススメしないNG行動
・愛犬の後ろにいる
・愛犬に対して大声で何度も注意する
・愛犬を抱っこする
愛犬の後ろにいる
犬は目の前の犬に夢中になっているので、飼い主さんのことは一切目に入りません。
そのため犬の後ろに飼い主さんが立っていると、せっかく出したコマンドも犬にとってはただのBGMになってしまいます。
愛犬に対して大声で何度も注意する
つい言葉で「静かにしなさい」と注意したくなりますが、犬はボディランゲージで会話をする生き物です。
コマンドとして覚えさせていなければ、言葉で何度注意をしても犬には通じません。
大声で何度も注意するよりも、目の前に立つなどポディランゲージでやってほしいことを犬に伝えた方が犬には伝わりやすいです。
愛犬を抱っこする
怯えて動かなくなってしまう場合には、抱っこをして怖い対象から遠ざかるというのは有効ですが、威嚇や興奮やストレス発散のために吠えている場合、犬が暴れやすくなります。
抱っこの状態で暴れると犬を落下させやすくなるので、吠えている最中に犬を抱き上げるのは止めましょう。
散歩は毎日の事なので、一度吠え始めると毎日吠えを強化していくことになります。
どうしても一人で対処が難しいと感じたら、行動療法の獣医師さんや行動療法のドッグトレーナーさんを頼ってみてくださいね。
<参考URL>
Teenage dogs? Evidence for adolescent-phase conflict behaviour and an association between attachment to humans and pubertal timing in the domestic dog
>https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2020.0097
<参考書籍>
動物の精神科医が教える犬の咬みグセ解決塾 奥田 順之 (著)
ドッグ・トレーナーに必要な 「犬に信頼される」テクニック
ヴィベケ・リーセ藤田 りか子 (著)
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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