無駄に吠えない、人を噛まない、家の中でむやみに暴れない・・・わんちゃんとの楽しい暮らしに「しつけ」や「トレーニング」はとても大切ですよね。
ルールやマナーを身につけたわんちゃんなら、どこへ行くのも誰に会うのも安心ですから、飼い主さんと一緒に過ごせる範囲も広がります。でも、「おりこう」を求めすぎれば愛犬の心の自由を奪ってしまうことにも!
しつけやトレーニングはほどほどに、愛犬の本当の気持ちに耳を傾けてみませんか?
愛犬は聞き分けのいい「おりこうさん」。確かに助かるけれど・・・
吠えや引っぱり、破壊活動や攻撃性など、わんちゃんの「問題行動」とされるものへの対処法として、しつけやドッグトレーニングをがんばっている飼い主さんは少なくありません。そういった行動は、一度定着してしまうとくつがえすことがとても大変なため、問題となる前から正しい接し方で未然防止することがもっとも望ましいと言えます。
私たち人間との暮らしにおいて何が好ましい行動で何が嫌がられる行動なのか、まだ何も分かっていない子犬の頃から、こちらの望む行動をとるように教えていくのです。具体的には、自分に与えられたもの以外を勝手に触らない、必要がないのに吠えない、人や他の動物に対して攻撃しない、リードを噛んだり引っぱったりしない、などのルールです。
これらのルール、並べてみると禁止事項が多いと感じませんか? わんちゃんが取るどんな行動にも、必ず意味があります。何かを伝えたい、表現したいという気持ちが行動に現れるのです。それらを「しつけ」と称して禁止してしまったら、わんちゃんの気持ちはいったいどこへ向ければ良いのでしょうか?
初めて自分で育てる犬として先代ゴールデン・レトリーバーを迎えた時、私にはひとつの目標がありました。それは、「どこにでも安心して連れて行ける、誰にでも安心して会わせられる犬に育てる」というもの。そのために愛犬が子犬の頃から、ドアの出入りやソファに乗ること、他の人やわんちゃんへの挨拶、床に落ちたオヤツを食べることなど、何をするにもまずは私の許可を得てからという習慣づけを行いました。
どんなに楽しく遊んでいても、何かに夢中になっていても、睡眠や食事の途中であっても、私が「やめて」と言えば中断し、「おいで」と言えばすぐにやってくる愛犬。生涯にわたってしつけの面でひとつも苦労することなく、理想通りの「おりこうさん」でいてくれました。
けれど私にはどうしても、愛犬がいつも遠慮しているように感じられてならなかったのです。
▲トレーニングのおかげで、いつでもどこでも「おりこうさん」だった先代愛犬。
次の愛犬をあえて「わがまま」に育ててみた結果!?
知り合いのわんちゃんたちを見ていて、吠えるとか引っぱるとか多少困ったことがありながらも、その子が今何を思って何をしたいのか、まっすぐに伝わってくるのを感じていました。
それに対して、私の反応をうかがってから行動するクセがついていた先代愛犬は、自分がしたいことよりも私が望む行動は何か考えて動いていたように思います。それが彼の喜びとなっていたのも事実ですが、本当はもっとやりたいことや伝えたいことがあったのかもしれないな・・・と考えてしまうのでした。その後悔は、今の愛犬を育てる中で大きな影響を与えています。
今の愛犬は、危険や迷惑を生むような行為をしてはいけないことは教えたものの、それ以外の制限は極力しないように意識して育ててみました。
もともときちんと自己主張をする性格ということもあり、愛犬のやりたいこと、伝えたいことは手に取るように分かります。私が「こうしてほしい」「これはしないでほしい」と伝えても、こだわりがある時の愛犬は頑として譲りません。先代愛犬だったらどんな時も私の言うとおりにしてくれたので最初は戸惑ったものですが、好き勝手にソファに飛び乗り、抱っこ抱っこと膝の上によじ登ってくる姿を見るたび、「先代も本当はこんな風にしたかったのかな?」と思えてならないのでした。
「放任」とは違う!ちょうどいいところを見つけよう
わんちゃんの「わがまま」を聞く、と言っても、好き放題させるのとは違います。人間社会で暮らす以上、やはりある程度のルールやマナーは身につけてもらう必要がありますよね。何も教えてもらえずに、「吠えるから」「暴れるから」「攻撃するから」と煙たがられてしまうのであれば、それはわんちゃんにとってとてもかわいそうなことです。
人間の子どもが家庭や学校で社会勉強をするように、わんちゃんにもある程度のお勉強が必要なのです。ドッグトレーニングはそのためにあるもので、何も特別なことではなく、どの家庭犬にも必要なものなのですね。
ただ、ドッグトレーニングにはちょっとした落とし穴もあります。飼い主さんが訓練競技会などにはまってしまうと、本来のトレーニングの目的を見失って、飼い主さんの自己満足に陥ってしまう危険性もあるということです。
トレーニングの目的は、あくまでもわんちゃんと飼い主さん、双方がストレス少なく暮らせるようになること。飼い主さんの理想を押し付けすぎずに、わんちゃんが節度を持って自己主張できるような関係が作れるといいですよね。
長年犬と旅をしてきたノウハウが誰かのお役に立てればうれしく思います。
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