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「愛犬が床におしりをスリスリ」これって病気のサイン?原因と動物病院に行く目安は?【動物看護師が解説】

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愛犬が「お尻を床にスリスリ擦りつける」「お尻を擦りつけながら歩く」といった仕草を見たことはありませんか?

飼い主さんから見ると笑ってしまうような仕草ですが、「お尻に異常が起きているよ」という愛犬からのSOSかもしれません。

今回は、「犬が床にお尻をこすりつける原因」と「動物病院に行くべき目安」をお話ししていきますので、悩んだときの参考にしてみてくださいね。

犬がお尻をスリスリする4つの原因

愛犬に「お尻を床にこすりつける」「何度もお尻を舐める」という仕草が見られたら、お尻に違和感を感じて気にしているのかもしれません。

犬がお尻を気にする原因は「4つ」考えられます。

▼犬がお尻を気にする理由
①お尻にかゆみがある
➁肛門腺が溜まっている
➂便の異常
④寄生虫がいる

①お尻にかゆみがある

お尻を気にする仕草が見られたら、お尻まわりの皮膚が赤くなっていないかチェックしましょう。

環境アレルギー(ハウスダストや花粉など)や食物アレルギーを持っていると、肛門付近にかゆみや赤みが出ることがあります。

またトリミング後であれば「バリカン負け」で赤みやかゆみがでることもありますし、肛門腺を絞ったあとの違和感でお尻を気にすることもあります。

➁肛門腺が溜まっている

先ほど肛門腺を絞った後の違和感とお話ししましたが、犬には肛門の右と左に肛門腺(肛門嚢)といわれる袋状の器官があります(下の画像参照)

この袋の中には独特の匂いのする液体が入っており、排便のときや肛門付近を舐めたときに排出されます。

▼犬の肛門腺(肛門嚢)

自然に排出される子もいるのですが、中には排出する力が弱い子もいます。

うまく排出できずに液体が溜まりすぎてしまったり、細菌に感染して肛門腺付近に炎症が起きると、肛門付近に不快感を感じて頻繁にお尻を舐めたり、床に肛門をこすりつけるといった仕草が見られるようになります。

➂便の異常

排泄の後にお尻をスリスリしているときは、便の状態をチェックしてみてください。

便秘で便が硬くなって肛門が切れてしまったり、何度も下痢を繰り返して肛門付近が荒れてしまうとかゆみがおきるので、お尻を気にすることがあります。

④寄生虫がいる

瓜実条虫(サナダ虫)が犬のお腹にいる場合もお尻がかゆくなります。

サナダ虫はノミの体内に寄生する寄生虫で、犬が自分の体を舐めた時やかゆくて噛んだ時に犬の口に入って今度は犬の体内に寄生します。

犬がお尻を気にすると同時に便に白いお米のようなものが混じっていたり、お尻に白いゴミのようなものが付着していたら、サナダ虫に寄生されている可能性があります。

愛犬のお尻歩きを見かけたら!動物病院に行く目安は?

一度や二度であれば様子見をしますが、頻繁にお尻を気にしていたり、お尻歩きが見られると「あれ?動物病院に行った方がいいのかな?」と心配になりますね。

では、どういった症状がでたら動物病院に行くべきでしょうか。

▼こんな症状がでたら動物病院へ
・排泄のときに痛がる
・お尻を触ろうとすると嫌がる、逃げる、怒る
・出血をしている
・肛門付近に赤みがでている
・肛門腺をしぼろうとすると嫌がる

先ほど肛門線の分泌物が溜まりすぎたり炎症が起きていたりすると、お尻に違和感を感じて気にするとお話ししましたね。

排泄のときに痛がったりお尻を触ろうとすると嫌がるという仕草は、炎症が起きているときによく見られます。特に出血があるときは、分泌物を溜める袋が破裂している可能性もあります。

自然治癒することはありませんし、痛みで排泄ができないと別の病気の危険性が高まりますので早めに動物病院にいって検査をしましょう。

愛犬のお尻スリスリを予防するには?

では、お尻歩きを予防するために飼い主さんができることはなんでしょうか。

ポイントは「2つ」あります。

▼お尻スリスリを予防するには?
①お尻の状態をこまめにチェック
➁お尻を気にしたら肛門腺絞りを行う

①お尻の状態をこまめにチェック

愛犬のお手入れのときに肛門付近に「ただれ」や「赤み」や「異臭」がでていないかこまめにチェックするようにしましょう。

肛門腺の炎症は細菌によっても引き起こされます。

そのため、お尻周りは清潔に保つようにしてあげましょう。

➁お尻を気にしたら肛門腺絞りを行う

先ほどお話ししたように肛門腺の分泌物は自分で出せる子とそうでない子がいます。排泄と一緒に出せる子の場合、さほど分泌物はたまりません。

「肛門腺はぜったい絞らないといけない」と思い込んで、無理に絞り出しているとかえってお尻を気にするようになったり、違和感でストレスを溜める場合もあります。

愛犬がお尻を気にしだしたら、絞るようにしてあげましょう。

また老化や肥満などによって肛門付近の筋肉が衰えて、いままで必要なかった肛門腺絞りが必要になるケースもあるので、愛犬の仕草をよくチェックするようにしましょう。

愛犬がお尻をスリスリする仕草の裏には、ちゃんと治療が必要な病気が隠れていることもあります。

頻繁にお尻を気にしているようであれば、早めに動物病院でチェックしてもらうようにしましょうね。

<参考書籍>

動物看護のための小動物寄生虫学 佐伯 英治 (著)

<画像元>

Unsplash

写真AC

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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