犬を飼っていると「狂犬病予防注射」や「混合ワクチン」など、ワクチン注射を打つ機会は必ずあります。
「打った後は安静にしてください。」とよく聞きますが、「散歩には行っていいのかな?」「接種後にトリミングはOK?」「元気がないけどこれって副作用?」など接種後にどうしたらいいんだろうと判断に迷うことも多いですね。
そこで今回は、「ワクチンを打った後に気をつけるべきこと」と「ワクチン後の副作用」について詳しくお話ししていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
<目次>
愛犬のワクチン接種後に日常生活で気をつけることは?
ワクチンを打った後の生活で気をつけることは何でしょうか。
ポイントを「4つ」にまとめました。
▼ワクチン接種後に気をつけること
①長時間の散歩や激しい運動はNG!
➁ワクチン接種後はまっすぐ家に帰る!
➂シャンプーやトリミングは日にちを空ける!
④ワクチン摂取後に1匹で留守番をさせない!
①長時間の散歩や激しい運動はNG!
ワクチン接種後はよく「激しい運動は控えてください」と言われます。接種場所に歩いて行ける距離だと「帰りは歩かせない方がいいのかな?」と心配になってしまいますね。
接種場所から歩いて帰れる距離の移動であれば問題ありませんし、愛犬の体調が良ければゆっくり歩く軽めの散歩なら当日行ってもOKです。
ただ、「激しく息が切れる長いお散歩」や「ボールやフリスビーを使った激しめの運動」は控えるようにしましょう。
当日はワクチンを打った上に慣れない環境で過ごすので犬の体はとっても疲れています。ゆっくり体力を回復させることをメインに考えてあげましょう。
また犬が激しく興奮する状況も良くないので、室内を走り回ったり呼吸が荒くなり始めた場合は飼い主さんが声をかけて落ち着かせるようにしてあげてください。
➁ワクチン接種後はまっすぐ家に帰る!
ワクチン接種後に買い物に行ったりどこかに寄ったりする予定を入れるのは、控えるようにしましょう。
先ほどお話ししたように、ワクチン接種をした犬の体はとっても疲れています。まっすぐ家に帰って早くゆっくりさせてあげましょう。
また、ワクチン接種後は体調を崩したり副作用が出る可能性があります。
どこかに寄っていると体調の変化に気づきにくいので、具合が悪そうにしているのに気づいたときには夜だったという事になりかねません。
ワクチン接種後はまっすぐ家に帰って愛犬の様子を観察してあげてください。
➂シャンプーやトリミングは日にちを空ける!
ワクチン接種後にシャンプーやトリミングに行くときは、日にちを空けるようにしましょう。
毛をカットしたり体を洗ったりする行為は、犬にとっては慣れないことの連続なので体力も使いますしとっても疲れます。
普段なら良いのですが、ワクチン接種後は体がデリケートになっているので、体調を崩しやすくなります。
獣医師さんの方針によって空ける日数は変わってくるので、「近々シャンプーをしたいな」と考えている方はワクチン接種後に相談してみてくださいね。
ワクチン前日や当日のシャンプーもNG
「数日シャンプーできないなら綺麗にしてから行きたい」と思うかもしれませんが、先ほどお話ししたようにシャンプー後はとっても疲れています。
疲れた状態でワクチンを打ってしまうと、体調を崩しやすくなるので前日や当日のシャンプーも控えてあげてくださいね。
④ワクチン接種後に1頭で留守番をさせない!
先ほど、ワクチン接種後にお出かけするのは控えてくださいとお話ししましたが、同じくワクチン接種後にお留守番させるのも控えてください。
1頭で留守番をさせていると、体調の変化があったときに気づくことができませんし、何かあったときに手遅れになりかねません。
ワクチン接種日は飼い主さんが1日中家にいられる日を選ぶようにしましょう。
「副作用の認知度は低い?!」注意すべきワクチンの副作用は?
では次に「ワクチンを打った後の副作用」についてお話ししていきましょう。
ワクチンを打つときに「アナフィラキシー」や「アレルギー」についてなど、簡単な説明はされると思いますが、犬の情報サイト「INUNAVI(いぬなび)」が飼い主さんに行ったアンケートによると、約7割の方がワクチン後の副作用について「知らない」と回答しました。
▼ワクチン接種で「病気の発症」や「死亡する」わんちゃんがいることを知っている?
この結果を見ると、「ワクチン接種後に何が起きるのか?」を認知している方はまだまだ少ないという事がわかります。
ワクチン接種後に「どんな副作用が起きるのか?」「どんな症状が出たら危険なのか?」を知っておかないと、愛犬の異変にいち早く気づいてあげることはできません。
まずはワクチン接種後に「どんなことが起きる可能性があるのか」をしっかり覚えておきましょう。
▼ワクチン接種後の危険な副作用「アナフィラキシー」
ワクチンは「弱くした病原体」や「バラバラにした病原体」を注射で体にいれて、免疫をつけておこうという仕組みです。
でもそのワクチンが体に入ってきたときに「危険なものが入ってきたぞ!!」と過剰に体が反応してしまうことを「ワクチンアレルギー」といいます。
「アナフィラキシー」はその「ワクチンアレルギー」の中で一番危険な症状で、最悪死にいたることもあります。
アナフィラキシーの症状(接種後数分~30分以内に発症)
・呼吸困難
・けいれん
・酸欠(チアノーゼ)
・低血圧
・低体温
▼ワクチン接種後の副作用
「ワクチンアレルギー」は接種後すぐではなく、数時間たってから起きることもあり、症状が数日続くこともあります。
飼い主さんによって症状の捉え方が異なるので、帰宅後に下記のような症状が現れたら、念のため動物病院に連絡をして指示をあおいでください。
ワクチン接種後の副作用の一例(接種後24時間以内に発症)
・全身が赤くなる
・打った場所が腫れる
・顔や鼻まわりが腫れる
・食欲がない
・元気がなくて「ぐったり」している
・下痢や嘔吐をする
・発熱
どうしてワクチンの副作用が起きるの?
では、ワクチンの副作用はなぜ起こってしまうのでしょうか。
ワクチンに含まれる病原菌が原因というよりは、「ワクチンに含まれている基剤」や「病原菌を増やすときに使う液」に体が反応しているのではないかと考えられています。
ワクチンは病原菌だけではなく、ワクチンを傷まないようにしたり成分が働きやすくなるように基剤(添加物)も一緒に入れて作られます。その添加物が体に合わないとアレルギー症状を起こしてしまいます。
この基剤や病原菌を増やすための液は、製造会社によって使っているものが違います。そのため愛犬がワクチン接種後、アレルギー反応が出たという場合は、使用したワクチンの商品名を覚えておくと安心です。
愛犬がワクチンの副作用を起こさないために飼い主さんができること
では、ワクチンの副作用をなるべく起こさないようにするために、私たち飼い主にできることはなんでしょうか。
ポイントは「2つ」あります。
・副作用が出たら別の種類のワクチンに変える
・ワクチンの混合数を減らす
副作用が出たら別の種類のワクチンに変える
先ほどワクチンの基剤や病原菌を増やす液は製造会社によって異なるとお話ししました。そのためワクチンを別の会社のものに変えると、アレルギーが出ない可能性があります。
アレルギーを起こしたワクチンの商品名を覚えておいて、事前に獣医師さんに伝えてください。
ワクチンの混合数を減らす
混合ワクチンは5種や7種など予防できる病気の数が表示されています。
混合数の違いは、大きくわけると「レプトスピラ症」という病気を予防できるか否かです。
このレプトスピラ症の予防効果は1年ほどしか続かないと言われているので、毎年打つ必要が出てきます。そうするとワクチン接種の回数が増えるので、副作用が出る可能性もおのずと高くなります。
レプトスピラ症が流行している地域でなければ、混合数を見直すというのもひとつの手です。
愛犬の病気の予防のためにワクチンは欠かせませんが、打った後の注意点やどんな副作用が起きるのかを知っておかないと、いち早く愛犬の異変に気づくことができません。
副作用はどんな犬にも起きる可能性があるので、ワクチンを打つ前に今回お話しした注意点を思い出してくださいね。
<参考URL>
副作用があった犬は◯%!知っているようで知らないワクチン事情を徹底調査 株式会社PLAN-B
>https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000065.000068228.html
日本における犬混合ワクチン接種後副反応に関する大規模な疫学調査
>file:///E:/aya/Downloads/bull_jau_vol24-091.pdf
| ワクチン・ファクトブック 2012年
>http://www.phrma-jp.org/wordpress/wp-content/uploads/old/library/vaccine-factbook_j/1_Basic_Concept_of_Vaccination_jp.pdf
近 年 に お け る 動 物 用 狂 犬 病 ワ ク チ ン の副 作 用 の 発 生 状 況 調 査
>https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma1951/61/7/61_7_557/_pdf
<画像元>
Unsplash
写真AC
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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