物を壊したり、食べ物を盗んだり、過剰に吠えたり、マーキングをしたり・・・わんちゃんのそんな行動に頭を悩ませることはありませんか?
「犬だから仕方ない」とあきらめずに、ちょっとしたルールを教えることで、愛犬との暮らしは各段に快適なものになります。
わんちゃんが家庭犬として人と暮らす上で欠かせない「自制心」について考えてみましょう。
わんちゃんの「インパルス」=衝動、本能的行動とは?
生物が種として生きながらえるために、食料を獲得したり、安全を確保したり、子孫を残したりと、ごく自然な本能的欲求・行動があります。私たちが共に暮らすわんちゃんにも、当然ながら「イヌ」という生物として当たり前の欲求や衝動があります。物をくわえて振り回す、ビリビリに引き裂く、食卓から食べ物を盗む、危険を感じた時に隠れたり攻撃したりする、警戒して吠える、マーキングやマウンティングをする、などなど、いわゆる「問題行動」と呼ばれる行動のほぼすべてが実はイヌとしての本能にもとづいた行動であり、それ自体責められるべきものではないことが分かると思います。
しかし、それらをそのまま人との生活に持ち込んでしまっては、私たち人間とわんちゃんとが上手に共存することが難しいのは明らかですよね。先進国において「イヌ」はすでに野生動物ではなく、人間の管理下でのみ生きることを許された動物となっています。
特に「ペット」、「家庭犬」においては、家庭内で問題にならないことと、他人に害とならないことを念頭に育てることが求められます。愛犬が楽しそうだからといって、家族がストレスを抱えたり近隣に迷惑をかけたりしていては、長く一緒に暮らすことはできません。つまり、愛犬の「イヌ」としての本能的行動をコントロールすることが必要になるのです。
人との暮らしの中で愛犬に求められる自制心とは?
わんちゃんが家庭犬として問題なく暮らしていくために、「犬のしつけ」について学ぼうとする飼い主さんは多いですよね。教室に通ったりトレーナーさんに自宅に来てもらったりしながら、愛犬の破壊行動や噛みつきや吠えなど、一緒に暮らす上で困っていることを改善していきます。
問題の種類やトレーニング方法は様々ですが、いずれの場合もわんちゃんに「自制心」を身につけるよう教えていることに違いはありません。家の中やお出かけ先でわんちゃんに求められる自制心とは、いったいどのようなものでしょうか?
家庭に迎えられたばかりのわんちゃんにとっては、家の中で見聞きするすべての物事が新鮮で、時に恐怖の対象となります。遊びたい盛りの子犬や若犬であれば、家具や敷物をかじったり破いたりするでしょう。食欲旺盛な子なら食卓に置いてある食べ物を勝手に食べてしまうかもしれません。警戒心の強い子であれば、掃除機をかけるたびに逃げ隠れたり、来客に吠えて襲いかかろうとすることもあります。
わんちゃんの心情を思えばそのような行動をとってしまうのは当然のことに感じられますが、それではわんちゃんも人も暮らしにくいですよね。遊んで良いものといけないものを区別すること、食べ物を勝手に食べないこと、生活の中で遭遇する物音や人を受け入れることなど、わんちゃんが自分の感情や行動をコントロールすることが日々の暮らしにおいて大切になります。
▲猫を見ても興奮しないよう、気持ちをコントロールすることを覚えます。
また、家の外ではどうでしょうか。お散歩中、すれ違う人や他のわんちゃんに執拗に吠えかかったり、よそのお宅の塀や花壇にマーキングをしたりするのを放置していれば、近隣の方から苦情が来てしまうことでしょう。
ドッグランで他のわんちゃんにマウンティングをしたり、ドッグカフェで食べ物をねだったりマーキングをしたりすることも、他の飼い主さんに迷惑となります。公共の場で他人に迷惑をかけないよう振る舞うのが大事だというのは、私たち人間もわんちゃんたちも同じことですよね。そのためには周囲の状況に合わせた行動をとる必要があります。
このように、家の中でも外でも、わんちゃんにはある程度人間社会のルールを守ってもらうことが求められます。もちろん私たち飼い主がきちんとルールを教えなければなりませんが、その中で愛犬にも自制心を身につけてもらって、TPOに合わせた行動を選べるようになることが理想です。
愛犬に自制心を身につけてもらうためには?
わんちゃんに自制心を身につけてもらう方法は、大きく分けて二つあります。一つは、わんちゃんの欲求や衝動を抑え込んで我慢させる方法、もう一つは、わんちゃんが自ら自制心を伴った行動をとりたくなるよう仕向ける方法です。
これを読んだだけでも、愛犬家であればなるべく後者を選びたくなるかもしれませんね。イヌという生き物をペットとして飼うようになり、自分たちの生活に合わせてもらっているのは私たち人間なのですから、極力前向きに私たちのルールを受け入れてもらいたいものです。
そのためには、してもほしくないことをただ「No!」とするのではなく、「このような状況ではこういう行動をとってほしいな」と明確に伝えることだと思います。人の食事時にはテーブルの上のものを狙って目を光らせる代わりに、足元で伏せていてほしい、そうすれば食後にとびきりのご褒美をあげるよ・・・といった教育を繰り返すうちに、わんちゃんはいつしか飼い主さんの望みをくみ取って自分の行動をコントロールするようになることでしょう。
▲自制心を身につけて、誰からも受け入れられる愛犬に!
自制心を持ったわんちゃんは、家の中でもお出かけ先でも人間社会のルールに合わせた行動をとることができます。むやみに吠えず、暴れず、飼い主さんの足元でお行儀よく振る舞うことのできるわんちゃんは、犬を好きな人にもそうではない人にも温かい目で見てもらえることでしょう。
愛犬が誰からも愛され、受け入れられる子になるよう、「自制心」という観点から、愛犬との暮らしを考えてみませんか?
長年犬と旅をしてきたノウハウが誰かのお役に立てればうれしく思います。
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