犬を室内で飼っている方は、今や8割以上にのぼります。
では、犬が快適に過ごせる部屋作りはできているでしょうか。
特に、飼いはじめは「ケージはどこに設置しよう」「トイレはどこに置けばいいかな」とレイアウトに悩むことが多いですね。
今回は犬が快適に過ごせる部屋作りについて解説していきますので、すでにわんちゃんと暮らしている方もぜひ参考にしてみてくださいね。

一番重要!愛犬のトイレの設置場所はどこがいい?

室内飼いをする上で設置場所に悩むのが「トイレ」ですね。
ケージの中にトイレを設置する方も多いと思いますが、犬の習性の面から見てもトイレトレーニングの面からみてもあまりオススメしません。
では「トイレ」はどこに設置するのがいいのでしょうか。
トイレのレイアウトのポイント!
①「寝床」と「トイレ」は離して設置する
②人の動線やドア付近は避ける
③トイレは「囲う」のがオススメ
④トイレの広さは体の1.5~2倍を目安に
①犬の「寝床」と「トイレ」は離して設置する

犬は自分の寝床の近くで排泄をするのを嫌う習性があります。そのため「寝床」と「トイレ」が近くにあると、トイレトレーニングを失敗したり、食糞を起こしやすかったりします。
上の図のように「寝床」と「トイレ」は別の空間にしてあげましょう。
なかなかスペースが取れないという場合は、なるべく「トイレ」と「寝床」を離して置いてあげましょう。
②犬のトイレは人の動線やドア付近は避ける
人の出入りが多くなるドア付近や音が聞こえやすい場所にトイレを設置すると、犬が排泄に集中しにくくなります。
トイレを設置する場所は「人の目につきにくい場所」や「人の出入りが少ない場所」がオススメです。
③犬のトイレは周りを「囲う」のがオススメ
皆さんトイレはどのようなタイプを使用していますか?
よく見かけるのがペットシーツを1枚挟む「トイレトレータイプ」ですね。
とても手軽で便利なのですが「はみ出し」が起きやすく、トイレトレーニングを始めたばかりの子は「トイレ」だと認識しにくいです。
トイレの周りを柵などで囲ってあげると「トイレ」と認識しやすくなりますし「はみ出し」も起こりにくくなります。
④犬のトイレの広さは犬の体の「1.5~2倍」を目安に
トイレが狭いとのびのびと排泄ができず、その場所での排泄を嫌がるようになります。
犬は排泄するときに床の匂いを嗅いだり回転したりすることが多いです。
そのためトイレには匂いを嗅いだり、クルクル周りを回転できるくらいの広さが必要です。
犬のトイレは犬の体の「1.5~2倍」の広さを目安に作ってあげましょう。
犬が安心するケージの設置場所は?

「ケージ」は犬が休んだりリラックスする場所ですね。どこに置いてあげると犬が安心して過ごせるでしょうか。
「ケージ」を設置するポイント!
①窓やドア付近に設置しない
②人の動線上に設置しない
③ハウスとなる「クレート」も必要
④家の中心となる場所に置く
①窓やドア付近に設置しない
窓やドア付近にケージを設置すると、物音が聞こえやすく人や犬の往来が見えるため落ち着いて過ごすことができません。
また、窓辺の近くは紫外線の影響を受けやすくなります。
犬が心地よく休めるように、ケージは窓やドアの近くには設置しないようにしましょう。
②人の動線上に設置しない
トイレの時と同じく、人の目や人の動きがあると落ち着いて過ごすことができません。
人の動線上にケージは設置しないようにしましょう。
もしスペースが無いという場合は、家具の配置から見直すことが大切です。
③ハウスとなる「クレート」も必要
ケージを置いていれば「クレート」は要らないと思われるかもしれませんが、犬は穴ぐらのようなうす暗くて周りが囲まれた場所を好みます。
柵タイプのケージだと飼い主さんの動きや蛍光灯の明かりが気になって、ゆっくり休むことができせん。
またケージの中にトイレも一緒に入れている場合、寝床とトイレの区別が付かず犬が混乱することがあります。そういった面からもケージだけでなく周りが囲われた「クレート」も用意してあげると犬が安心して過ごすことができます。
④家の中心となる場所に置く
犬のケージは家の中心となる「リビング」に設置してあげましょう。
家の中は犬にとっての縄張りになるため玄関などに設置すると、ちょうど縄張りの境目になるため犬が常に気を張った状態になります。
「散歩に出やすい」などの理由があるかもしれませんが、ゆっくり休めることを優先して設置してあげましょう。
犬が過ごしやすい床材は?

犬を飼い始めたら「床」も犬が快適に過ごせるように見直してあげましょう。
人には使い勝手の良いフローリングですが、足裏に毛が生えている犬にとっては踏ん張りが効かないため滑りやすく危険が多い床材です。
フローリングの滑りがまねく病気
●股関節形成不全(股関節のゆるみが原因で異常が形成される病気)
●膝蓋骨内方脱臼(膝の皿が脱臼して歩行障害を起こす病気)
●椎間板ヘルニア(背骨を繋いでいる椎間板が衝撃を受けて変性する)
●骨折
特に子犬や小型犬は骨が弱いため、ちょっとした段差や滑りで簡単に骨折してしまいます。
アニコム損害の報告によるとペットの怪我(骨折や脱臼)が一番多い場所は、フローリングが多いリビングでした。
犬が多く時間を過ごしたり走り回ったりする場所には「カーペット」や「コルク」を敷いて歩きやすくしてあげましょう。
床材選びに悩んでいる方は、下の記事に「滑らない床材の見分け方」をまとめているので、良かったら参考にしてくださいね。
愛犬を留守番させるときは広めのスペースが必要

共働きをしている家庭では、どうしても犬に留守番をさせる時間が長くなります。
そんなお留守番をさせる時「ケージ」に入れて出かけていませんか?
「いたずら対策」という面もあるかもしれませんが、走り回ったりオモチャがない環境で長時間過ごすのは退屈ですし、狭い空間だと十分に体を動かすことができません(人と同じで血行が悪くなります)。
30分を超える留守番をさせるときは、犬が走り回ったりできる十分な広さを確保してあげましょう。
その上でいたずらや危険がないように対策をしてください。
1匹で遊べるオモチャ(飽きないように日替わりがオススメ)も一緒に置いておくと、イタズラする機会もぐっと減ります。
トイレも広めに設置するか、複数置いておけば排泄で汚れることもありません。

いかがでしたか?
犬を飼い始めるとその環境に慣れてしまい、なかなか見直すことはありません。
この記事をぜひ犬が快適に過ごせる環境作りに活かしてくださいね。
<参考文献>
愛犬との絆を深める散歩でマスターする犬のしつけ術/著者:田中雅織
動物看護のための動物行動学/著者:森 裕司 武内 ゆかり 日本小動物獣医師会動物看護師委員会
どうぶつkokusei調査 アニコム
>https://mag.anicom-sompo.co.jp/13431
An epidemiological analysis of dog behavior problems presented to an Australian behavior clinic, with associated risk factors
>https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1558787816300612
<画像元>
Unsplash
写真AC

・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。

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