わんことの旅行を
もっと楽しく、
もっと快適に。
メニュー
  • いいね!してね

犬の運動=散歩ではない?!意外と知らない犬に散歩が必要なワケ【動物看護師が解説】

シェアする

多くの飼い主さんが、わんちゃんに散歩は大切だと認識しています。

でも「どうしてわんちゃんに散歩が必要なのか?」を知っている方は、少ないのではないでしょうか。

「散歩=犬の運動」だと思っていると、知らないうちに愛犬が運動不足やストレスになっているかもしれません。

「犬の運動=散歩」ではない?!

散歩は犬にとっての運動だと思っている方は多いと思います。

「散歩」も「運動」もわんちゃんにとって大切な欲求ですが、役割は全く異なります。

●散歩→縄張りの点検や探索欲求を満たす
●運動→全身を使う運動

例えば、散歩を犬の運動だと思って、匂いかぎやマーキングをさせる時間を取らなければ、わんちゃんは犬としての欲求を満たすことができずストレスがたまります。

反対に、ゆっくり歩く、匂いを嗅がせるだけをしていても、全身の筋肉を使った運動ができないため運動不足におちいります。

「散歩」と「運動」のどちらかが欠けても、わんちゃんの欲求を満たすことができません。

欲求不満の状態が続くと、問題行動を引き起こすきっかけにもなってしまいます。

では、散歩で十分犬の欲求を満たすためには、どのようにすればいいのでしょうか?

詳しくみていきましょう!

犬に散歩が必要なワケは?

下の図はイギリス の Natural Animal Center が定めた「犬の欲求階層」です。

全ての欲求が犬にとって重要で、すべて満たされていることが大切です。どれか一つでも満たされていない状態が続くと、不満がたまり「吠える」「噛みつく」などの問題行動を起こしやすくなります。

この図に照らし合わせると、散歩は「3つ」欲求が当てはまりますね。

5番目の「運動」をさせる
6番目の「探索活動」をさせる
7番目の「縄張活動」をさせる

この3つの欲求をすべて満たした散歩がわんちゃんが満足する散歩であり、わんちゃんに散歩が必要な理由でもあります。

それではひとつひとつ見ていきましょう!

運動をさせる!

ここでの運動は「大きく体を動かす」の意味を含んでいます。

人も長時間動かなかったり、狭い環境にいると血液循環が悪くなり、体調を崩したりストレスになったりしますね。それはわんちゃんも同じです。

そのため、散歩にプラスして、広場で「おいかけっこ」や「ボール遊び」など、全身を大きく使う運動をさせてあげましょう!

探索活動をさせる!

わんちゃんにとっての探索活動は「匂い嗅ぎ」です。

飼い主さんからすると「ただ匂いを嗅いでいる」という風に見えても、わんちゃんは「この匂いは何だろう?」と全神経を集中させて解析しているので、頭の中はフル回転しています。

一生懸命嗅いでいるところを中断されるのは、急にテレビを消されたり、本を取り上げられることと一緒です。

また、匂い嗅ぎの時間が無かったり、気になる匂いが嗅げないと欲求不満になったり、不安が募ってしまいます。

わんちゃんにとって匂い嗅ぎの重要性を理解して、探索活動の時間をとってあげましょう!

縄張活動をさせる!

わんちゃんが生きていくために必要な重要なスペースを点検していきます。

その一つが「マーキング」です。縄張りの主張と捉えられることもありますが、他の犬を追い出したいというよりは「ここを点検したよ」というメッセージと自身を安心させる役割があると考えられています。

そのため、行動範囲が狭かったりマーキングをさせてもらえないと、欲求が満たされなかったり不安に陥ってしまいます。

マーキングはわんちゃんの本能からくる重要な欲求だと理解してあげましょう。

犬の理想の散歩とは?

わんちゃんの散歩では、「運動をさせる」「探索活動をさせる」「縄張り活動をさせる」の3つの欲求を満たすことが大切という事がわかりましたね。

ではその3つを踏まえるとわんちゃんにとって理想の散歩とは、どういう散歩になるのでしょうか。

犬の理想の散歩のために覚えておきたいことが「3つ」あります。
①犬のサイズで散歩の距離と運動量を決めない
➁散歩コース中に4~5回匂い嗅ぎポイントを設ける
➂散歩の中間地点で運動を行う

①犬のサイズで散歩の距離と運動量を決めない

「小型犬の散歩は1日15分ほど」「大型犬の散歩は1回1時間ほど」のように○○の場合は○○分という事をよく聞きますね。

1度納得してしまうと、頑張って時間や回数を守ろうとしますし、それ以上に散歩に行かなくなってしまいます。

でも、散歩の時間や運動量は犬の体のサイズではなく「個体差」によって変わります。

小型犬でもテリア系のわんちゃんはたくさん運動が必要ですし、大型犬でも体力がない子は数分で息が上がってしまいます。

また、膝が悪かったり心臓に病気を持っている子は、距離や運動内容をよく考える必要があります。

○○だからと距離や運動量を決めるのではなく、愛犬の仕草やくたびれ具合を見て、適切な距離や運動量を決めてあげましょう!(その日の体調によっても運動量は変わります。)

➁散歩コース中に4~5回匂い嗅ぎポイントを設ける

匂いを嗅ぐと排泄やマーキングが誘発されるので、散歩コースを決めるときに排泄やマーキングをしても問題ないポイントを4~5ヵ所決めます。そこを匂い嗅ぎのポイントにしましょう!

ポイントまでは飼い主さんの側について歩いてもらい、匂い嗅ぎのポイントについたらわんちゃんに自由にしてあげます。

匂い嗅ぎの場所を選ぶことができるので、わんちゃんの欲求を満たしながらも、犬の安全(拾い食いなど)やマナーも守ることができます。

散歩コースを複数考えてあげるとマンネリしませんし、縄張りを広げることもできるので、わんちゃんにとって満足感の高い散歩になります。

➂散歩の中間地点で運動を行う

散歩の中間地点で全身を使った運動をさせてあげましょう。

リードをロングリードに付け替えてあげると、ボール遊びや追いかけっこなど、わんちゃんが自由に動ける遊びができます。(犬が苦手な方もいるので心配りはしましょう。)

飼い主さんとの遊びや運動は、愛犬との絆(キズナ)を深めたり信頼関係を築くのにも役立ちます。

愛犬が大好きな遊びを、ぜひ散歩の中に取り入れてみてくださいね。

いかがでしたか?

「犬の散歩=犬の運動ではないんですよ」とお話しすると、驚く方が多いです。

わんちゃんが幸せに過ごすには、質の良い散歩と運動はかかせません。

わんちゃんの本能を理解して、愛犬にあった散歩方法を見つけてあげてくださいね。

<参考文献>

・散歩でマスターする犬のしつけ術 愛犬とより強い絆を築くために 田中雅織 (著)

・ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック 著者: ヴィベケ・S・リーセ / 著者・写真: 藤田 りか子

・イヌの動物行動学 行動、進化、認知 / アダム・ミクロシー

・散歩中の「におい嗅ぎ」の大切さを理解しよう

<画像元>

Unsplash

シルエットAC

写真AC

The following two tabs change content below.
伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
犬の運動=散歩ではない?!意外と知らない犬に散歩が必要なワケ【動物看護師が解説】
愛犬との旅行・生活に役立つ情報をお届けします。
イヌトミィの最新ニュース情報を、
いいねしてチェックしよう!

シェアする

フォローする