愛犬と毎日楽しみながら散歩に行っている飼い主さんも多いですね。
でも、意外と奥が深いのが犬の散歩の世界です。
自分でも気づかないうちに良くない散歩の仕方をしていることも。
今回は実はNGな散歩の方法と、どう改善すればいいかを解説していきます。
<目次>
NGな散歩① 愛犬にリードを引っ張らせている
散歩をするときリードがピーンと張っていませんか?
わんちゃんがぐいぐいリードを引っ張るような散歩は、首輪でもハーネスでもわんちゃんの首や腰に負担をかけてしまいます。
首には気管や食道、視神経などわんちゃんにとって大切な器官がたくさん集まっています。
そのため首輪を常に引っ張り続ければ、気管を傷つけたり目の病気を引き起こす可能性が高くなります。(首がしまると眼圧があがり緑内障という病気を招きます。)
また、ハーネスであっても前のめりな姿勢は腰や背中に負担をかけますし、リラックスして歩くことができないので疲労も溜まります。
良い散歩にするためには?
ぐいぐい引っ張ってわんちゃんも苦しいはずなのに、引っ張りを止めないのはなぜでしょうか?
理由の一つとして、引っ張れば散歩に行けると学習している可能性があります。
大好きな散歩で興奮しているわんちゃんは自然と早足になり、飼い主さんより前に出てぐいぐいと引っ張ります。止められなければ、わんちゃんはやっても良いことと覚えます。
散歩は毎日のことなので行動はより強化され、引っ張れば散歩に行けると学習してしまうのです。
体を酷使するような散歩は、わんちゃんにとっても辛いですね。
室内で飼い主さんの横について歩く練習をして、引っ張らなくても散歩に行けると教えてあげましょう。
NGな散歩➁ 愛犬をずっと自由にさせている
わんちゃんをずっと自由に歩かせているのが良い散歩だと思っていませんか?
わんちゃんは匂いを嗅ぐのが大好きなので、自由にしていると右に左にと蛇行しながら歩き、気になる匂いがあれば急に立ち止まります。
人通りが多い場所や道幅が狭いところだと、進路を塞いだり急に止まって他の歩行者の妨害する可能性があります。(リードで道を塞いでいる方けっこう多いです。)
またずっと自由にしていると、とっさの時のコントロールが難しくなるので、拾い食いや自転車への衝突などを避けることが難しくなります。
良い散歩にするためには?
人通りや狭い道が多い場所、拾い食いの危険がある場所は飼い主さんについて歩く、広い場所に出たら匂いを嗅がせる、自由に歩かせるなど散歩の中にメリハリをつけましょう。
散歩コースを考えて、その中に飼い主さんについて歩くポイント、匂いを嗅ぐ・自由にできるポイント、運動・遊ぶポイントを組み込んでいきましょう!
愛犬の欲求を満たしながら、安全もマナーも守ることができます。
NGな散歩➂ 愛犬に匂いをまったく嗅がせない
散歩のしつけのときに、飼い主さんの側について歩けるようになるのが大切と聞きますね。
飼い主さんの側を歩けるようになる事はもちろん大切ですが、匂いを嗅ぐ機会をまったく与えない、自由な時間を与えないのはNGです。
わんちゃんが持っている欲求の中には、探索活動と縄張活動があります。縄張の匂いを嗅ぐことで他の犬の情報を得たり、マーキングすることで自分の存在を知らせたりします。わんちゃんの本能として欠かせないものであり、重要な社会活動なんですね。
その機会をまったく与えてもらえないのはわんちゃんにとって辛いことですし、欲求が満たせず不満が溜まっていきます。
良い散歩にするためには?
匂いをかがせる時間、自由にする時間は散歩中に4~5回を目安に設けましょう!(側を歩くコマンドと自由にするコマンドを教えましょう。)
飼い主さんの側の移動と匂い嗅ぎを交互に行うのがオススメです。
匂いを嗅ぐと排泄やマーキングが誘発されるので、排泄やマーキングをしても問題ない場所まで素早く誘導してあげましょう。
NGな散歩④ 愛犬が苦手だからと散歩に行かない
外を嫌がるのであまり散歩に行かない、小型犬だから室内運動のみという事を続けていると問題行動を引き起こす可能性があります。
わんちゃんの欲求の中には、「運動をしたい」、「自分の縄張りを点検したい」、「匂いを嗅いで外の情報を得たい」というものがあります。
どのわんちゃんにも備わっている欲求なので、解消することができないと不満が溜まり、あり余るエネルギーを吠えたり、物を壊したりということで発散しようとします。
また室内だと動くスペースが限られるので、全身を使った運動が十分できず運動不足や筋力低下をまねきます。
良い散歩にするためには?
全てのわんちゃん最初から散歩に行ける、散歩が大好きというわけではありません。子犬のときの経験不足で外が怖い、嫌な思いをしたので散歩が苦手というわんちゃんもいます。
外を怖がるようなら最初は抱っこして外の匂いを嗅がせたり、景色を見せるだけでもOK。
慣れてきたら広場で遊んだり、オヤツをあげて外で楽しいことをしたという経験を積ませてあげましょう。
NGな散歩➄ 散歩コースや内容がいつも一緒
毎日同じコースをゆっくり歩くということを繰り返していませんか?
同じコースも同じ内容だと刺激が少ないためわんちゃんがマンネリ化してしまいます。
新しい場所や新しい匂いは、わんちゃんにたくさんの刺激をもたらし、わんちゃんの探索欲求を十分満たしてくれます。
刺激の少ない単調な生活もストレスの原因になるのです。
良い散歩にするためには?
散歩コースを何パターンか用意しましょう!
天気が悪い日用のコースやたくさん運動するときの用のコースなどを作って、曜日毎に使い分けるとわんちゃんも飽きずに散歩を楽しむことができます。
また散歩の中に全身運動やコミュニケーションが取れるボール遊び、引っ張りっこなども取り入れましょう。
毎日繰り返すことで、愛犬とのきずなが形成されていくのです。
NGな散歩⑥ スマホを見ながら散歩する
スマホを見ている間はどうしても視野が狭くなります。そのため、わんちゃんから発せられている色々なサインを見落とす可能性が高いです。
例えば、歩行が正常かどうか、糞の状態が正常かどうか、恐怖や嫌だという仕草が出ていないかなど、健康状態から行動まで散歩から読み取れることは山のようにあります。
良い散歩にするためには?
散歩は愛犬と飼い主さんのコミュニケーションの場です。愛犬が発しているサインにいち早く気づく、たくさん遊ぶ、トレーニングを一緒に頑張るなどをくり返して信頼関係を構築していきます。
わんちゃんは群れで生きる動物なので飼い主さんと一緒に何かをすることが大好きです。
愛犬の散歩の時間だけスマホの画面から離れてみませんか?
散歩は毎日のことなのでつい同じことを繰り返してしまいがちですね。
でも散歩は愛犬と良い関係を築いていく大切なものです。
散歩に行く前にどんな散歩がNGだったっけと思い出してくれると嬉しいです。
<参考文献>
・愛犬との絆を深める散歩でマスターする犬のしつけ術 著者:田中雅織
・動物看護のための動物行動学 著者/森裕司 武内ゆかり 監修/日本小動物獣医師会 動物看護師委員会
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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