愛犬が散歩の途中で急に立ち止まって歩かなくなったということはありませんか?
飼い主さんを困らせてしまう行為ですが、歩かなくなったり、立ち止まったりするのには理由があります。
理由をみつけて愛犬とのお散歩を一度見直してみましょう。
愛犬が散歩で急に歩かなくなるのはなぜ?
過去に怖い・嫌な思いをした
散歩の途中で立ち止まってしまうのは、過去にその場所や対象物に怖い思いや嫌な思いをさせられて足がすくんでしまっているのかもしれません。
例えば、大きな交差点や道路の近くで車の音や姿が怖い、他の犬に吠えられたことがある、自転車と近距離ですれ違ったなどが考えられます。
散歩の途中で愛犬に恐怖やストレスサインが出ていないか、見落とさないようにしましょう。
社会化不足で怖がっている
愛犬は子犬のときにどんな環境で育ちましたか?
散歩で頻繁に立ち止まったり、立ちすくんでしまうのは子犬の頃の経験不足で外の世界を怖がっているのかもしれません。
子犬は生後3週齢~12週齢までの社会化期に、たくさんの場所や人、動物と触れ合って経験を積んでいきます。しかし、社会化期を過ぎるとだんだんと警戒心や恐怖心が芽生えてきます。
そのため、子犬のときに物や人や他の犬との接触機会が少ないと、成犬になってからも色んなものに恐怖心や警戒心を抱きやすくなってしまいます。
散歩コースや内容を変えてほしい
ほとんどのわんちゃんにとって散歩は楽しくてたまらないイベントです。
毎日同じ散歩コースやゆっくり歩くだけだと満足な充実感が得られず、途中で飽きて立ち止まったり歩くのを止めてしまうのかもしれません。
新しい散歩コースを開拓したり散歩の質を上げると、愛犬の感覚を刺激して満足感をアップさせることができます。
怪我や痛みを感じる
歩いている途中で関節や足に痛みがでてきたり、ケガをしてしまった場合にも立ち止まりったり歩かなくなります。
秋冬は寒さからの血行不良で関節に痛みが出やすい時期ですし、夏は地面の暑さを嫌がる子もいます。
愛犬の歩き方に違和感がないかを常にチェックしておきましょう。
疲れてしまった
年齢が高くなると同じ距離や時間でも疲れてしまうことがあります。また、いつもより長めに散歩に行ったり、激しい運動をはさむと疲れて動かなくなることがあります。
だんだんゆっくり歩くようになったりも息遣いが荒かったら、一度休憩をはさんで休ませてあげましょう。
リードやハーネス・洋服に違和感を感じる
リードやハーネスに慣れていない、新しいものに変えたという場合は、違和感を感じて動かなくなっているのかもしれません。
また散歩のときに洋服を着る場合は、体に洋服が合っていないと動きにくくて立ち止まってしまいます。
リードやハーネスは散歩に行く前に、室内でつけて体に慣らしたり歩く練習をしましょう。
愛犬が急に歩かなくなったときにやってはいけないNG行動
抱っこをする
立ち止まってしまったり、地面に座り込んでしまうとすぐに抱っこをする飼い主さんがいますが、ケガや病気などの緊急事態以外は止めましょう。
すぐに飼い主さんが抱っこしてしまうと、座ったら飼い主さんが抱っこしてくれると覚えてしまい、疲れたり甘えたいときはすぐに止まったり座り込んだりするようになります。
愛犬が止まったり座り込んだら、道の端に避けて自分から動き出すのを待ちましょう。
無理やり引っ張る
時間がなかったり、なかなか動かなかったりすると焦ってついついリードを引っ張ってしまうことがありますね。
無理に引っ張ったり、急に引っ張ると首や腰に圧力がかかるので痛めてしまいます。
また犬の正面や後ろからリードを引くと、わんちゃんが引っ張って抵抗しやすい体勢になります。
もし道の真ん中で止まってしまい、わんちゃんや飼い主さんが危ない、歩行者の邪魔になるようならわんちゃんに負担が少ない方法で道の端に移動させましょう。
わんちゃんの横に立ちリードをゆっくりと横に引いてください。
ゆっくりと半円を描くようにわんちゃんをターンさせます。
リードは半円を描くときにゆっくり自分の手元に繰り寄せてください。(動き出したらほめたりオヤツをあげましょう。)
愛犬が急に止まる・歩かなくなるのを防ぐ対策は?
散歩コースと内容を変えてみる
散歩コースを日替わりで変える、逆方向から行ってみるなど散歩コースを工夫してあげると、わんちゃんの好奇心を刺激して飽きずに散歩を楽しむことができます。また怖いものや嫌なものがあって歩かなくなる場合にも、散歩コースを変えることは有効です。
同時に散歩の質を見直してみましょう。
犬OKな広場でランニング、ボール遊びや引っ張りっこ遊びなど歩く以外のイベントも散歩の中に取り入れると、散歩の満足度がグッとあがります。
自宅で散歩の歩き方を練習する
わんちゃんがグイグイ飼い主さんを引っ張ってはいませんか?
急に止まったり歩かなくなるのを防ぐために、指示したときは飼い主さんの横についてゆったり歩けるように練習しましょう。(匂い嗅ぎやフリーの時間も必要です。)
室内でリードをつけて自分のそばを歩かせる練習をします。室内できるようになったら、庭や家の前など外でもできるように練習しましょう。
①リードをゆるんだ状態で持ち鼻先にオヤツを出します
➁オヤツを鼻先に差し出して誘導しながら狭い範囲を一周します
➂動き出しに「アトへ」と言います
④一周自分の横で歩けたら褒めてオヤツを与えます
➄慣れたら室内の同じ範囲をリードなしで行います
(だんだんオヤツの頻度・間隔を減らします)
オモチャやオヤツで気をそらす
愛犬の気をそらすために、オヤツやオモチャを使うのも有効です。
オヤツはいつも食べているものより、めったに食べれない特別なものであると効果がより高いです。
怖がる対象に慣れさせる
オヤツやおもちゃを受け付けないほど怖がって止まっている、歩かなくなる場合には恐怖や嫌なものを軽減するトレーニングが必要になります。
例えば大きな道路を怖がる場合、車が走る音を小さい音から聞かせる、もっと小さい道路に少しずつ近づけるようになる等です。
しかし恐怖を克服するトレーニングは非常に難しく、上手に練習できないと恐怖心が増して悪化する場合もあります。
早めに行動診療の獣医師さんなど専門家に相談することをオススメします。
散歩は毎日のことなので、急に止まったり歩かなくなったりすると、飼い主さんも困ってしまいますね。
愛犬が急に止まったり、歩かなくなるのには理由やきっかけがあるので、愛犬の仕草を注意深く観察するようにしましょう。
<参考文献>
・動物看護のための動物行動学
著者/森裕司 武内ゆかり 監修/日本小動物獣医師会 動物看護師委員会
・愛犬との絆を深める散歩でマスターする犬のしつけ術 著者:田中雅織
・犬のリードの引っ張りを治す:DOGGY STATION Vol.30
<画像元>
illust STAMPO
シルエットデザイン
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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