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老犬(シニア犬)になると新しい芸は覚えられないの?【動物看護師が解説】

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「何歳くらいまでトレーニングはできますか?」ということをよく聞きます。

正解は何歳になっても芸を覚えたり、トレーニングすることは可能です。

脳を使って新しいことを覚える生活は、わんちゃんに張り合いをもたらしてくれます。

シニアでもまだまだ伸びる愛犬の才能

オーストリアのウィーン獣医大学で行われた犬の認知能力を調べた実験によると、柔軟性は若い犬に劣るが、正解を引き当てるための考え方は老犬の方が優れており、記憶力も若い犬と差がなかったそう。つまり忍耐強く教えていけば、いくつになっても新しいことを覚えることができるのです。

また、いくつになっても飼い主さんから褒められるのは嬉しいことです。新しいことができるようになる、ほめられることは愛犬の自信にもなります。

「年だから」とできない事はつい流してしまいがちになりますが、根気よく教えて「やればできる」という自信をいつまでも持たせるようにしてあげましょう。

脳を使って愛犬の認知症予防を!

元気だったお年寄りが怪我をして、寝たきりになったとたん認知症が進んでしまうという事があります。

脳は五感を使ったり、正解するために試行錯誤するといった刺激が与えられるからこそ、活発になります。寝たきりや単調な生活では、刺激をうける機会がぐっと少なくなるので、脳が活性化されません。脳に刺激的な信号を送り続けることは、認知症予防にも役立つのです。

野生で生きていたころのわんちゃんは、生き延びるために脳も運動能力も大いに使ってきました。今はそういった能力を発揮する機会は少なくなりました。

年齢が高くなってもトレーニングの中で鼻や手を使ったり、自分で考えさせる機会を作って、脳に刺激を与えてあげましょう。

老犬に芸を教えるときの注意点

簡単なことから始める

まずは簡単なことから取り組みましょう。覚えている芸を完璧にすることからでもOKです。

若いときと違って柔軟性が落ちているので、まずは「やればできる」「覚えることが楽しい」と自信をつけさせることが大切です。

何度も根気よく教える

年齢を重ねたわんちゃんは、今までの癖や考え方がベースになっています。そのため、上書きしたり新しく物事を覚えるにはとても時間がかかります。

少しでもできたらたくさん褒めて、何度も根気よく教えてあげましょう。

年齢や体力に合わせて負荷を変える

年齢が高くなってくると、関節に痛みが出たり、視力や聴力が衰えてきます。

足腰に衰えがでているわんちゃんを2足歩行させたり、一回転させる芸は負担が大きすぎますし、聴力が落ちているわんちゃんに声だけの指示では聞き取りにくいです。

足腰が衰えてきたわんちゃんは、鼻を使ったゲームや回収のゲーム、聴力が落ちているわんちゃんにはハンドサインも付け足すなど、愛犬の年齢や体力に合わせて負荷を調整してあげましょう。

肥満に気をつける

年齢が高くなると食べ物への執着心が強くなる場合が多いです。その分オヤツを使うと集中力も意欲もアップしてくれるのですが、与えすぎは肥満を招きます。

肥満は様々な病気の引き金になるだけでなく、生活の質を悪くします。カロリーが高いオヤツを使った、たくさんオヤツを食べてしまったという場合は、食事の量を減らすなど肥満にならないように調整してあげましょう。

オススメの芸・脳トレーニング

宝さがしゲーム

オヤツを隠してわんちゃんに見つけさせるゲームです。

どうしたらオヤツがゲットできるか考えながら、目で追い鼻で探すので、視覚と嗅覚の刺激も与えることができます。

①紙コップを2~3個用意し、わんちゃんが見ている前でおやつを隠します。

➁「探せ」と言ってどこに入っているか探させます。

➂足でコップを倒したり、鼻でひっくり返してオヤツをゲットできたら成功です。

※外してしまっても見つかるまでチャンスをあげましょう。

※慣れてきたら紙コップをシャッフルしたり、使うのを手だけ鼻だけに限定してもOK。

ワンワンゲーム

わんちゃんにハンドサインを出し、出している指の数だけ吠えさせるゲームです。

聴力が落ちても一緒に遊ぶことができ、サインがどんな行動を求めているのか覚えないといけないので、脳も鍛えることができます。

①わんちゃんの前に指を1本出して飼い主さんが「ワン」といいます。

➁つられてわんちゃんが一回吠えたらオヤツをあげます。

➂指を2本だして「ワンワン」3本出して「ワンワンワン」と指の数を増やしていき、吠える回数を覚えさせましょう。(都度オヤツをあげてください。)

※吠える声が気になる場合は、散歩の時や外にいるときに行いましょう。

どっちにあるでしょう

オヤツを片手に隠し、どちらに入っているか当てさせるゲームです。

寝転がってもできるので、体が不自由になっても行える遊びです。

①手にオヤツを持っているところを見せ、どちらかの手に隠します。

➁手をグーにしてどちらに入っているか探させます。

➂入っていると思う方を鼻でつついたり、舐めたら成功です。手を開いてオヤツをあげましょう。

※慣れてきたら最初どちらの手に入っているか見せないようにしましょう。

年齢が高くなっても愛犬の意欲は衰えません。

新しいことに愛犬と一緒に取り組むことは、脳を活性化させたり若さを維持するだけではなく、絆づくりにも役立ちます。

いつまでも愛犬と一緒に色々なことにチャレンジしていきたいですね。

<参考文献>

・老犬だって凄い。年を取った犬は若い犬より論理的思考が優れていることが判明(オーストリア研究)エキサイトニュース

・犬もよろこぶシニア犬生活

 心や体の変化にあわせた老犬とのコミュニケーションがわかる 

 愛犬の友編集部 (編集)佐々木 彩子 (監修)

・7歳からのシニア犬とのしあわせな暮らし方

 伊藤 みのり (監修), 内田 恵子 三浦 裕子

・イヌの老いじたく 「7歳」からの最適な飼い方を伝授 臼杵 新 (著)

・ドッグ・トレーナーに必要な「犬に信頼される」テクニック 

  著者: ヴィベケ・S・リーセ / 著者・写真: 藤田 りか子

<画像元>

illust STAMPO

ICOOON MONO

Unsplash

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。