大型犬との暮らしで大変なことは数多くありますが、自宅でのシャンプーはその最たるもの。びしょ濡れになるし、毛まみれになるし、腰は痛めるし・・・それでも自宅でシャンプーしたい! そんな大型犬の飼い主さんに、私が試行錯誤の末たどり着いたシャンプー&ドライ方法についてご紹介します。
小型・中型犬にも参考になる情報があるかも!?
※ゴールデン・レトリーバーでの実体験のため、それ以上のサイズ・毛量では満足な結果にならないかもしれません。ご了承ください。
大型犬を自宅シャンプーするメリットとデメリット
愛犬を自分で洗うことにはさまざまなメリットがあります。何よりもまず、愛犬の体の異変に気づきやすいという点。全身をくまなく触り、ドライヤーの風で毛をかき分けて地肌をチェックすることで、普段は気づきにくいできものや皮膚の異常などを見つける確率が高まります。
さらに、シャンプーは少なからずわんちゃんにストレスを与えるため、お店でスタッフさんに洗ってもらうよりも自宅の方が安心するでしょう(この点は、行きつけのお店で大好きなスタッフさんに洗ってもらうのであれば、どちらでも同じかもしれません)。
また、コスト面でも大きなメリットがあります。地域にもよりますが、トリミングサロンにお願いするとゴールデン・レトリーバーならシャンプー&ドライだけで8千円~1万円以上。何かとお金がかかる大型犬、自分でシャンプーできれば大きな節約になりますよね。
しかし大型犬の自宅シャンプーには、想像以上の苦労が伴います。まずは体力的な問題。表面積が大きいと、洗うのも乾かすのも結構な重労働です。洗面所のシンクやわんちゃん用のバスタブなどに入れて洗うことができない大型犬は、必然的にお風呂場の床の上でシャンプーすることになりますが、中腰で洗うと腰痛の原因になります。
また、準備から後片付けまで3時間~半日を要するため、仕事や家事で忙しい中で時間を捻出することも必要。すべて終わった後はぐったり疲れ果て、他の用事をする気にならないことも・・・。
そして何よりも私の頭を悩ませるのが、ドライの時に発生するとんでもない量の毛問題! 家の中で乾かせば部屋中毛だらけ。ありとあらゆる隙間に入り込み、布ものにくっつき、事後の掃除にとても手間がかかります。かといって庭で乾かせば、大量の毛がご近所さんの敷地にふわふわと飛んで行ってしまう恐れがありますよね。
それでも愛犬を自宅でシャンプーをしたい私の、長年にわたる工夫をご紹介しましょう!
自宅シャンプーに便利なグッズを揃えよう!
大型犬の自宅シャンプーを可能な限り楽に行うには、専用のグッズをそろえることをおすすめします。特に以下3点は、私にとって必需品となっています。
1.セームタオル
シャンプー後のタオルドライで使います。普通のタオルは乾いた状態で使うことが前提なので、大型犬の場合、どんなに吸水性が高いものでも1枚ではとても足りず、大量の洗濯物が出てしまうことになります。
反面、セームタオルは吸水したら絞ってそのまま使えますので、1枚でOK! バスタオルより小さいサイズでも十分なのです。しかもセームタオルについた毛はシャワーで簡単に洗い流せるため、後片付けもとても楽ですよ。
▲このサイズで十分(大きいとむしろ扱いにくい)。ペット用ではなくてもOK(我が家のは洗車用)。とても丈夫で、数年は使えます。
2.ブロワー
ゴールデン・レトリーバーを普通のヘアドライヤーで乾かそうとすると、どんなに風量があっても2、3時間はかかります。それが強力なブロワーなら40分で完了! しかも低温で根元までしっかり乾燥させることができるため、皮膚にも優しいのがうれしいですね。
さまざまなタイプがありますが、大型犬ならとにかく強力なものを選びましょう。値は張るものの、シンプル構造のためか10年以上使えます。自宅シャンプーを続けるなら買って後悔することはないはず!
▲これなしでの自宅シャンプーは考えられないほど大活躍中の「エアフォースドライヤー」。2007年に購入
▲コンパクトなタイプも欲しくて購入した「X-POWER」。全身を乾かすには力不足なものの、足を洗って乾かす時などにはちょうどいい。小型~中型犬にはこのくらいの風量が良いかも?
3.バグガード
ドライ時の毛の飛び散り防止に我が家では必須アイテムとなっています。ワンタッチ蚊帳や着替えテントなども試しましたが、テント用のバグガードが最も使い勝手が良く丈夫。舞い散った毛はバグガード内に収まるため、部屋中を掃除する必要がありませんし、庭で乾かしてもご近所さんに迷惑をかけません。
難点はどこに引っかけるかということですが、私は最終的に骨組みも購入しました。壁や天井にフックをつけられたら、その方が手軽だと思います。
▲テント(骨組み)にバグガードをかけて、簡易トリミングルームの完成。毛飛散防止に欠かせません。
その他、私が実際に使っていて便利なものとして、シャンプー時の椅子(腰痛防止)、防水エプロン、トリミングテーブルなどがあります。
大型犬の自宅シャンプー、時短のコツ!
グッズを揃える以外にも、大型犬の自宅シャンプーにかける時間を短縮する方法をご紹介します。
1.泡切れの良いシャンプーを使う・泡で洗う
シャンプーはできるだけ泡切れの良いものを選ぶのが時短のポイント。また、シャンプー液をそのまま毛につけたり手のひらで泡立てたりするのではなく、あらかじめ泡立ててから使うのもおすすめです。
私は、泡立ちが良いうえに手早くスッキリと洗い流せる石鹸素材のシャンプーを愛用しています。
▲「アクアゼオ スフマーレFシャンプー」は、非常に泡切れが良く皮膚に優しい成分。手作り石鹸を使用することもあります。
▲100均で購入した洗顔用の泡立て器が便利
2.タオルドライは念入りに行う
シャンプー後、タオルで念入りに水分を拭き取っておくと、後のドライにかかる時間を大幅に短縮できます。目安は、愛犬がブルブルッと体を震わせても水滴があまり飛び散らなくなる程度。
足先や耳裏の乾きにくい部分は特にしっかりと拭き取っておきましょう。私は30分ほどかけてしっかりタオルドライをしています。
3.太陽の下で乾かす
屋外の日なたでブロワーをかけると、太陽の力であっという間に乾いていきます。ただし、真夏は熱中症に、真冬は体の冷え過ぎに注意が必要。気候の良い時期だけにしましょう。
ご近所のお宅が近い場合は、バグガードを活用して毛が飛んで行ってしまわない工夫もお忘れなく!
大型犬の自宅シャンプー、実際のところは!?
便利グッズの使用と時短アイディアで、大型犬を自宅でシャンプーするのに実際にどのくらいの時間がかかるのか気になりますよね。我が愛犬、体重40kg・さほど長くはないものの密度の高い毛を持つゴールデン・レトリーバーでの「リアル」をお伝えします。
※先代ゴールデンとの比較では、毛の長さより密度の方が乾きにくさに影響すると感じています。
事前準備として、テント(骨組み)とバグガード・ブロワー・トリミングテーブルのセッティング、愛犬のブラッシング、自分の着替えなどに約30分。
お風呂場では愛犬の毛を十分に濡らし、シャンプー(予洗い・本洗い)をして泡を流し、しっかりとタオルドライをするのに約60分。
ブロワーで乾かすのに約40分。
そしてバグガード等とお風呂場の後片付けに約30分。
計2時間40分となります。
ブロワー不使用ならドライだけで2時間、室内で乾かすのにバグガードがなければ後片付けに1時間はかかります。セームタオルを使わなければ、何枚ものタオルに張り付いた毛を粘着ローラーで取って洗濯するのにさらに時間がかかりますね。
自宅シャンプーの大きなメリットである「愛犬の体の異変に気づける」という点でも、実際に小さなできものや尻尾の付け根の皮膚荒れ、肘ダコのでき始めなどに気づけた経験があります。
いずれもとても初期の段階で発見・対処できたのは、自分の指先で触ったり皮膚まで毛をかき分けてみたりする自宅シャンプーならではだと感じています。
大型犬の自宅シャンプー、工夫をすればメリットが苦労を上回ることでしょう。私の試行錯誤が、大きな愛犬と暮らすみなさんのお役に立てばうれしいです。
長年犬と旅をしてきたノウハウが誰かのお役に立てればうれしく思います。
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