わんちゃんは基本的に食べることが大好き! 毎回の食事を心待ちにしている姿を見ると、「今日も食欲旺盛でいいね!」とうれしくなりますよね。しかし、現代の家庭犬が実は「食べすぎ」かもしれないということをご存知ですか?
愛犬の健康のカギとなるかもしれない「プチ絶食」。時々、1~2食抜いて空腹の時間をもうける方法について考えてみましょう!
現代の家庭犬は食べすぎ!? イヌの本来の食生活とは。
「イヌ」の起源は諸説ありますが、最も有力な説であるオオカミから進化したと考えてみましょう。
オオカミは獲物を捕らえて食しますが、野生の肉食動物である以上、毎朝晩必ず食べ物にありつけるとは限りませんよね。何日も食べられないこともあれば、狩りに成功しておなかいっぱい食べられることもあるでしょう。オオカミのような野生の肉食獣にとって、空腹はごく当たり前のことなのですね。
もちろん、私たちが一緒に暮らす家庭犬は野生のオオカミとはまったく違う生き物です。しかし、人間が犬を家畜化したのがおよそ1万5千年前(※所説あり)、そしてドッグフードが開発されてからはまだ200年も経っていないのです。オオカミとは腸の長さや消化酵素の種類など多少違う部分はあれども、それに近い体のつくりをしていることは想像できますよね。
反面、現代の家庭犬の食生活を見ると、まるで私たち人間と同じように、1日に2,3回の食事をとったり、おやつやご褒美などで間食をしたりしています。特に消化に時間がかかるドライドッグフードを主食としている場合は、わんちゃんのおなかには常に食べ物が入っている状態となり、胃腸は休む暇もなく消化と吸収のために働いているのです。
健康長寿のカギ「サーチュイン遺伝子」を働かせるのは、空腹!?
近年、メディアでも取り上げられるようになった「サーチュイン遺伝子」という存在をご存知でしょうか。
老化スピードを遅らせる、がんの発生を抑制する、動脈硬化や高血圧、心筋梗塞などのリスクを低減するといった働きを持つとされる、健康長寿にかかわる遺伝子です。その働きを活性化するのが、「空腹(飢餓状態)」であると言われています。
人間も昔から「腹八分目」が健康に良いとされるように、わんちゃんにとっても時々空腹状態をもうけて胃腸を休ませるとともに、サーチュイン遺伝子を活性化させることで健康を維持するという考えがあります。
食いしん坊のわんちゃんに食事を我慢させるのは難しいと感じる飼い主さんは少なくないと思いますが、たまの絶食で愛犬の寿命を延ばせるとしたら、ぜひ取り入れてみたいですよね。
愛犬の健康のため、「プチ絶食」をしてみませんか?
我が家の愛犬は小さな頃から胃腸が弱く、頻繁に軟便や下痢を繰り返してきました。今は愛犬に適した食事で良い状態をコントロールできていますが、「おなかが弱い」という体質が変わったわけではありません。今でも季節の変わり目で抵抗力が落ちる時や、調子に乗っていつもとは違う食べ物をあげた時など、ちょっとしたことですぐにおなかを壊してしまいます。
腸は第二の脳と呼ばれるほど重要な臓器であり、健康長寿のためには腸の調子を整えることが欠かせません。我が愛犬のように胃腸が弱い子は、いかにして腸を守るかということが大切だと感じているのです。
健康のカギとなるサーチュイン遺伝子を働かせるには、8~12時間空腹状態を保つ必要があるそうです。そこで私は、愛犬の朝ごはんだけ抜く「プチ絶食」の日をもうけるようにしています。ごはんの食いつきがかすかに悪かったり、いつもよりよだれが多かったり、便がなんとなくモッサリとしていたり・・・わずかな体調不良を感じ取ったら、次の朝ごはんを1回抜くようにします。
また、心配事がない日々がしばらく続いていても、数週間に一度は朝ごはんを抜くかスープだけにしているのです。この「プチ絶食」を取り入れることで軽い体調不良の悪化を防ぎ、愛犬の胃腸虚弱体質とも上手に付き合うことができています。
でも、食べることが大好きな愛犬の食事を抜くことは心苦しいかもしれませんね。我が愛犬のように「ごはん、今日はナシなんだね。それならそれでいいや」と割り切って夕方まで寝ている子ならやりやすいですが、おそらくそれはとてもめずらしいことでしょう。
いきなり始めるのではなく、最初は普段より量を減らしたりスープだけにしたり、食事の時間をうんと遅らせたりしながら、徐々にプチ絶食を習慣化していくといいかもしれませんね。
また、飼い主さんが「ごはん抜いてごめんね、申し訳ない・・・」と心の中で感じていれば、それはわんちゃんに伝わって「どうしてごはんをくれないの!?」という気持ちにさせてしまいかねません。愛犬の「イヌ」としての体のつくりをしっかりと学び、絶食のメリットを理解した上で自信を持って取り入れることが成功の秘訣と言えるでしょう。
▲クレートの中では静かに休憩する、という習慣をつけておくのも絶食時に有効!
絶食(プチ絶食)は、わんちゃんの健康維持のために行うものです。くれぐれも無茶をせず、持病があったり子犬やシニアで体力がなかったりする場合は、実施する前に獣医さんに相談してくださいね!
<参考>
サーチュイン遺伝子やNMNに関する論文まとめ
>https://furou8.jp/sirtuin-paper/
サーチュイン遺伝子は、本当に長寿遺伝子だった ━ゲノムを安定化することで老化を防ぐ作用機序を解明>
>https://www.nig.ac.jp/nig/images/research_highlights/PR20130830.pdf
犬の寿命は延ばせるか? 長寿遺伝子とペット用NMNの話
>https://blog.fore-ma.com/9235/
注目の延命(長寿)遺伝子
>https://www.houndcom.com/html/page508.html
長年犬と旅をしてきたノウハウが誰かのお役に立てればうれしく思います。
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