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今から知っておこう!老犬になると現れる「体と心と行動の変化」【動物看護師が解説】

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犬を飼っていると必ず向き合わないといけない問題が「愛犬の老い」です。

「早く衰える場所」や「行動の変化」を早いうちから覚えておくと、いち早く犬の変化に気づいて暮らしを整えてあげることができます。

今回は「老犬になると現れる体と行動の変化」と「老犬との暮らしで注意したいこと」を解説していきますので、参考にしてみてくださいね。

犬の老化は「どこから」現れる?

一般的には犬のシニアの年齢は「7年」(人に換算すると大型犬は50代、小型犬は40代)と言われているので、7歳の誕生日を迎えたら「そろそろシニア生活に備えよう」と考えておくと良いでしょう。

もちろん同じ年齢の犬でも、食べ物や生活環境によって現れる老いの症状は変わってくるので、即生活を変える必要はないですが、後々のために備えておくと安心です。

では「愛犬の老化」はどのように感じ取ったらよいでしょうか。

犬の感覚は、「聴覚」→「視覚」→「嗅覚」の順に衰えていく、と言われています。

最初に「声をかけても反応が鈍くなる」といった行動が現れはじめ、次に「物にぶつかったり躓きやすくなった」といった行動が増えていきます。

ただ慣れ親しんだ家であれば、聴覚や視覚が衰えても、臭いや勘を頼りに意外と生活できてしまうので、感覚の衰えに飼い主さんが気づかないこともあります。

本人にとっては「なんだか生活しにくくなったな」と困っている状態なので、次章で説明する「体」と「心」と「行動」の変化を覚えて、いち早く気づいてあげるようにしましょう。

老犬になると現れる「体」「心」「行動」の変化は?

では年を取ると若いころと比べてどのような変化が現れるでしょうか。

「体の変化」「心の変化」「行動の変化」の3つ分けてお話ししていきます。

シニア犬になると現れる「体の変化」

●目が見えにくくなる

目には物を見るときに「ピント」を合わせてくれる「水晶体」という部分がありますが、年齢が高くなるとこの「水晶体」が白濁してきます(肉眼でも目が白くなっているのが確認できます)。

スリガラス越しに景色を見ているような状態になるため、物にぶつかったり段差に躓きやすくなります。

●音が聞こえずらくなる

聴力が低下すると、今まで見られなかった「名前を読んでも気づかない」「ドアの音に気づかないで寝ている」といった行動が増えてきます。

●筋肉量が減る

シニアになると「痩せた」と感じる方が多いですが、実際には痩せたのではなく筋肉量が落ちて細くなっている状態です(腰まわりやお尻、太ももは変化がわかりやすいので要チェック)。

特に後足の筋肉が減ってくると、寝たきりの原因にもなってしまいます。

●お腹を壊しやすくなる

年齢が高くなると「消化吸収能力」や「消化液の分泌」が低下するので、下痢をしやすくなります。

●白髪が増えて毛色が薄くなる

年齢が高くなると、白髪が多くなり毛の色が薄くなります。

また毛の量も若いころと比べると少なくなります(そのためシニアのサマーカットは要注意)。

シニア犬になると現れる「心の変化」

●頑固になったように感じる

嫌なものはとことん拒否、自分の意思をしっかり通すなど、今まで見られなかった一面が出てきて「頑固になった?」と感じることがあります。

実際には頑固になったというより、視力などの感覚の低下、体の痛みや体力の衰えなどで、今までと同じような反応ができなくなったことが考えられます。

●甘えん坊になった

体調の不調、聴覚や視覚の衰えの不安感から、以前よりも甘えん坊になる犬もいます。

以前より「だっこ」や「要求吠え」の回数が増えてきたら、悪いところがないか注意深く観察しましょう。

●怒りやすくなった

今までと同じように接しているのに、唸ったり歯を出して怒るといった様子が見られることがあります。

性格が変わったというよりも今までできたことができなくなった苛立ち、視力や聴力が衰えてきた不安感、体の痛みなどを「怒り」で伝えてくる子もいます。

●来客を喜ばなくなった

今までチャイムがなるたびに元気いっぱいに走って行っていたのに、いつの間にか玄関に来なくなった、挨拶をしたらすぐに居なくなるといった行動が見られるようになります。

シニアになると人や物に対する興味が薄れたり、ストレス耐性が低くなって許容範囲が狭くなることがあるので、若いときと同じ反応を求めずに、その時の愛犬の気持ちや反応を尊重してあげましょう。

シニア犬になると現れる「行動の変化」

●食べ物に執着するようになった

シニアになると、「お腹がいっぱい」という感覚が鈍くなってきます。

そのため、たくさんご飯を欲しがったり食べ物に執着するような仕草が見られるようになります。

●眠っている時間が長くなった

成犬の平均睡眠時間は12~15時間程ですが、シニアになると18~19時間ほどに伸びます。

体力が衰えると疲れやすくなるので、回復するために若いころよりも長い睡眠時間が必要になります。

●横になるときに倒れ込む

筋力の衰えから横になるときに足が踏ん張れずに、倒れ込むように横になるようになります。

●トイレの失敗が増えた

踏ん張れずによろけてトイレシートからはみ出てしまう、尿を長時間貯めておくことができずに漏らしてしまう、といったトイレの失敗が増えてきます。

●嗜好が変わった

今まで大好きだった物を食べなくなるといった行動もでてきます。

歯に不具合が出てきて食べにくい、飲み込む力が弱ってきて食べにくくなった、など嗜好の変化以外の理由で食べなくなることもあります。

老犬との暮らしで注意したいこと

さて、いままでの内容で「犬の感覚の衰える順番」と「シニアになった時の変化」がお分かりいただけたと思います。

それでは、老犬との暮らしで注意しなければいけないことはなんでしょうか。

ポイントを「3つ」にまとめました。

①何でも年のせいにしない
➁心にも体にも良い習慣を取り入れる
➂生活環境の見直しをする

①何でも年のせいにしない

7歳になるとシニア生活に備えてくださいとお話ししました。しかし実際には行動や感情の変化が年齢ではなく、病気のせいで変わっている場合もあります。

例えば、トイレの失敗が増えたのは、老化ではなく膀胱や腎臓のトラブルの可能性があります。

何でも「シニアだから」と変化を流していると、病気の発見が遅れる可能性もあるので、おかしいと思ったらまず動物病院で検査しましょう。

➁心にも体にも良い習慣を取り入れる

先ほど、老犬に現れる変化を「心」「体」「行動」の3つ分けて説明しましたね。

なぜ3つに分けたかというと、この3つの変化は全てリンクしていることが多いんです。

そのため、一つを改善することでその他の変化も改善していくことができます。

「よく寝ているから起こさない」ではなく、病気でないなら運動不足解消と夜ゆっくり寝るために「無理の無い範囲で運動する」。

「おもちゃに興味がなくなったから与えない」ではなく、「鼻を使った遊びを一緒に取り組む」など、心にも体にも良い習慣を考えて取り入れてあげましょう。

➂生活環境の見直しをする

▼生活環境改善の一例
・滑り止めのカーペットを敷く
・家具の角にクッション材を巻く
・家具の配置をむやみに変えない
・トイレを行きやすい場所に変更
・食器は台に乗せて食べやすくする

若いときには平気だったことが年を取ると負担になることもありますし、ちょっとしたことがきっかけで大怪我をしてしまうこともあります。

7歳になったら一度生活環境を見直してみましょう。

見た目に変化がないと、ついうちの子はまだまだ若いと思ってしまいますね。

いざ老化が現れてから急に準備をすると、なかなか上手くいかないことも多いです。

この機会に「愛犬の老い」について、しっかり考えてみませんか?

<参考書籍>

犬もよろこぶシニア犬生活 心や体の変化にあわせた老犬とのコミュニケーションがわかる/愛犬の友編集部 (編集)佐々木 彩子 (監修)

イヌの老いじたく 「7歳」からの最適な飼い方を伝授/臼杵 新 (著)

<画像元>

illust STAMPO

Unsplash

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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