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愛犬の歯が折れてしまったら!?抜歯を避けるために知っておいてほしい「犬の歯科治療」について

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 「愛犬が歯を折ってしまった!」そんな時に対処法を間違えてしまうと、大切な歯を失うことになったり、歯以外の部分にまで問題が起きてしまったりすることをご存知ですか?

わんちゃんの歯の治療には特殊な技術と設備が必要なため、すべての動物病院で満足な歯科治療ができるというわけではありません。万が一の場合にも愛犬の歯を守れるように、飼い主として知っておきたい情報と取るべき行動について考えてみませんか?

意外と多い!わんちゃんの歯の破折(はせつ)トラブルとその恐ろしさ

 硬いものを噛むのが大好きなわんちゃん。しかしそれが原因で歯を折ってしまったり割ってしまったりする「歯の破折(はせつ)」と呼ばれるトラブルは、意外とたくさん発生しています。

我が家のゴールデン・レトリーバーもつい先日、おそらく鹿の角を噛んで奥歯を破折してしまいました。お散歩仲間にも、過去に愛犬が硬いもので歯を割ってしまったという方がたくさんいます。また、長期にわたって石やおもちゃを噛み続けることで、歯の神経が見えるほど摩耗してしまうことも! わんちゃんの歯は案外強くないみたいですね。

 わんちゃんが歯を破折してしまった時に怖いのは、歯の中の神経(歯髄)が露出した場合です。この状態を「露髄(ろずい)」といい、そこから入り込んだばい菌が神経を伝って歯根から骨まであっという間に進んでいってしまいます。

そのまま放置すると、歯肉や顔が腫れたり、頬に穴が開いて膿が出たりといったことになりかねません。露髄してから1、2日以内であれば神経を残せる可能性がありますが、時間経過とともに抜歯や抜髄(神経を抜く処置)をしなければならなくなります。

わんちゃんの歯の構造と、できるだけ抜歯を避けたい理由について

 愛犬の歯を処置していただいた歯科治療に詳しい獣医師のお話から私が教わったことと、実体験による学びをまとめてみましょう。まずはわんちゃんの歯の構造と歯髄の働きについてです。

 歯は、まず表面にエナメル質、次に象牙質、その中に歯髄(神経)という順番で形成されており、歯髄から象牙質の中に栄養や水分を供給することで、歯をみずみずしくしなやかに保ちます。

歯髄細胞というのは非常に優れた再生能力を備えているもので、人間では将来のケガや病気における再生医療や細胞治療に備えた「歯髄細胞バンク」も存在するほどです。そのように素晴らしい細胞ですから、わんちゃんが歯を破折してしまった場合でも、歯科に詳しい獣医師としてはほんの数ミリでも歯髄を残したいのだそうです。

しかし残念ながら、普通の動物病院では技術的、設備的に、歯髄を守りながら残す処置ができないために「抜歯するしかない」と言われてしまうことが少なくないようです。もちろん状態によっては抜歯が最善の場合もありますが、もしも歯髄が無傷なのであれば残したいですよね。

 また、論文上では犬の抜歯後の悪影響というのは特に発表がないそうですが、人間では入れ歯の人と自分の歯の人では後の健康状態に差が出るという統計データもあります。わんちゃんに関してはただ研究が進んでいないというだけで、実は何らかの影響があるかもしれないと考えると、安易に抜歯という選択をするのは考えものです。

 獣医大学で動物の歯科治療を学ぶことはないそうです。そして犬や猫の歯科治療には、獣医師の技術は当然のことながら、特殊な設備や薬品も必要となるため、一般的な動物病院ではまず歯髄温存治療ができないと考えて良いかと思います。このことを知っているかどうかだけでも、愛犬が破折した際の動物病院の選択肢が変わってくるのではないでしょうか。

▲破折した歯を修復していただきました。元通り、使えます。(歯茎がまだ腫れていますが、数日で治まりました。)

愛犬の歯が折れてしまったら!? 飼い主さんにできることとは

 硬いものを齧らせていなくても、何かに衝突して歯を折ってしまうということもあり得ます。もしも愛犬の歯が折れたり割れたりしてしまったら、具体的にどうすれば良いか事前に考えておきましょう。

 まず、「いつ破折したのか?」「露髄しているか?」ということが重要になります。先に述べたように、露髄したまま放置していると、数日で抜歯や抜髄が必要な状態にまでばい菌が浸潤してしまいます。早く異常に気づくためには、愛犬の歯を毎日チェックする必要があります。歯みがきの時だけではなく、日に何度か口の中を見る習慣をつけると安心ですね。

また、万が一露髄していても早期に治療すれば大切な歯髄を残せる可能性がありますので、破折に気づいたら一刻も早く「歯科治療に詳しい動物病院」へ向かいましょう。かかりつけじゃなくても、多少遠くても、歯科治療の腕のいい獣医師を選ぶことが大切です。

私がお世話になったのは「日本小動物歯科研究会」のレベル4(最上位)認定獣医師でした。残念ながら現在の日本には歯科専門獣医の資格はないようですが、上記研究会の認定獣医師であれば、少なくとも動物歯科の特殊性を認識した上で治療にあたってくれるはずです。歯のトラブルが起きる前の予防歯科として診てもらっておけば、何かあった時も安心ですね。

愛犬の歯を破折から守るために

わんちゃんは何かをかじることが大好きですよね。本能的な行動でありストレス発散にもなるので、できるならかじらせてあげたいと思うもの。しかし、やはり「歯より硬いもの」は噛ませないことが破折の一番の予防となります。

我が愛犬は激しくかじらないし5分もしたら飽きるので大丈夫だろうと思い、時々鹿の角を与えていましたが、それでも破折してしまいました。今でも時おり何かをかじたそうにしますが、今後は木の枝などボロボロに砕けるものしか噛ませません。

また、今回お世話になった獣医師によると、フリスビーをするわんちゃんには歯のトラブルが多いそうです。フリスビー自体はさほど硬いものではありませんが、キャッチする際の衝撃が歯に良くないことは想像できます。

硬いものを噛んだり歯に衝撃を受けたりするほど歯の象牙質が増え、歯髄が減少します。象牙質の体積が大きい歯は、硬いけれど割れやすくなります。愛犬によく何かをかじらせたりフリスビーをしたりする場合は、注意して歯を観察してあげると良いですね。

 さらに、わんちゃんの歯は一見問題ないようでも実は摩耗していたり歯周病になりかけていたりといったことがあります。愛犬の大切な歯を守るために、トラブルが起きる前に歯に詳しい動物病院で定期チェックを受けるようにすると安心ですね。

愛犬の歯が折れてしまったら!?抜歯を避けるために知っておいてほしい「犬の歯科治療」について
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