犬も人と同じように、特定の食べ物を食べるとアレルギー症状が出ることがあります。
もし愛犬が「食物アレルギー」と言われたら、どんな食べ物やドッグフードを選ぶべきでしょうか。
実は「アレルギー用フードにもタイプがある」「食物アレルギーの犬は予防薬にも注意が必要」って知ってましたか?
犬の食物アレルギーの症状は?
どんなフードや食べ物を選ぶべきかの話の前に、少しだけ食物アレルギーの事を復習しておきましょう。
食物アレルギーとは?
食べ物が原因でアレルギーが起こることを「食物アレルギー」といいます。
原因となる食べ物を食べると、嘔吐、下痢、皮膚のかゆみなどが起こります。
こんな症状がでたら、食物アレルギーかも
●繰り返し嘔吐や下痢をする
●便の回数が増えた
●皮膚にかゆみや赤みが出ている
●耳垢が多くなった
●耳をかゆがる
耳の症状は意外かもしれませんが、耳と皮膚は密接に関係しており、外耳炎で病院に言ったら実は「食物アレルギー」が隠れていたという事も多いです。
ただ上記の症状がすべての犬に現れるわけではなく、一部しか症状が出ない犬もいますし、食物アレルギーじゃないのにたまたま条件がそろって似た症状が出ることもあります。
そのため食物アレルギーの診断は
①皮膚の「どこに」症状が出ているか
➁食物アレルギーを疑う症状が「慢性的」に出ているか
の2つを指標にします。
▼犬のかゆみの分布図(色が濃いほどかゆみが出やすい場所)
上の図を見るとわかるように、病気によるかゆみとは出る場所は異なり、食物アレルギーの子は、お腹周りに「かゆみ」や「赤み」が出ることが多いです。
特定の食べ物を食べると「よく嘔吐や下痢をする」「赤みやかゆみがお腹周りに集中している」という場合は、食物アレルギーかもしれません。
すぐに皮膚科専門の動物病院で診察を受けましょう。
アレルギー用のドッグフードなら「何でもOK」ではない
では、愛犬が食物アレルギーとわかったらどんなドッグフードを選べば良いのでしょうか。
検索すると「国産」や「皮膚にいい」と書いてあるアレルギー用のドッグフードがたくさんヒットしますね。
しかし、アレルギー用と書いてあれば、何でもいいというわけではありません。
アレルギー用のドッグフードは、大きく分けてタイプが2つあります。
①アレルギーが起こりにくい加工をしている
➁食材を限定して作っている
①アレルギーが起こりにくい加工をしている
食物アレルギーは、食材に含まれるタンパク質に反応して起こると言われています。
体が「タンパク質だ」と認識するのには、ある程度の大きさが必要です。
そのためタンパク質を加工して小さくしたり、バラバラにするとアレルギーが起こりにくくなります。
ドッグフードの説明に「タンパク加水分解」「アミノ酸療法食」と書かれていたら、タンパク質をバラバラにしたり、サイズを小さくしてアレルギーを起こしにくい加工をしているということです。
➁食材を限定して作っている
ドッグフードには、多くの食材が使われていますね。
食物アレルギーがあると、その食材のどれかに反応するので原材料が多ければ多いほど、特定が難しくなります。
そのため、食材を限定して作っていたり、今まで食べたことがないタンパク質(鹿・ダチョウなど)でドッグフードを作ると特定や管理がしやすくなりますし、今まで食べたことがない物であればアレルギーが出る可能性は低くなります。
①アレルギーが起こりにくい加工のフード→食物アレルギーか否かの判別に役立つ
➁食材を限定して作っているフード→原因となる食材の特定に役立つ
アレルギー対応と書かれていても、フードによって使いどころは異なりますし、その子に適したフードを食べなければアレルギー症状が良くならないということも起こってしまいます。
(実際にアレルギー対応食を食べていたけれど皮膚炎が治らず、別の対応食に変えたところ改善したという事例もあります。)
フードの選択やいつまで続けるかは、獣医師さんと相談しながら決めていくようにしましょう。
愛犬の手作りごはんを作るなら「レシピ」に注意!
ドッグフードは心配だから、手作りごはんを作っているという方もいるかもしれません。
手作りごはんを作るときは、レシピの出所に注意してください。
京都大学大学院の研究チームが犬の手作りごはんのレシピを調査したところ、なんと8割以上(63レシピ中50レシピ)に「不足した栄養素」や「過剰な栄養素」があったそうです。
荒れた皮膚を治していくにはバランスのよい食事が必要ですが、栄養素が偏っているとなかなか皮膚の状態が改善しません。
愛犬に手作りごはんを作るときのレシピは、犬の栄養学を勉強した専門家(獣医師さんがベスト)が出しているもので作りましょう。
▼「手作りごはん」に関して記事を書いているので、よろしければ参考にしてください。
アレルギーの犬は予防薬やサプリメントも要確認!
これまでの内容で、「アレルギー用フードは愛犬に合ったものを選ぶことが大切」「手作りごはんはレシピの出所に注意する」ということがおわかりいただけたかと思います。
そして食物アレルギーの犬は食事以外に、もう一つ注意していただきたいことがあります。
それは、「お薬」や「サプリメント」です。
春になると「マダニ」や「フィラリア予防」のお薬を飲みますね。
美味しく食べられるように「チュアブルタイプ」になっていることが多いと思います。
この中には美味しい風味の元である「牛肉」や「鶏肉」などを混ぜて作っています。(商品によって混ぜられている物は異なります。)
もし「鶏肉」にアレルギーがある犬がうっかり「鶏肉の成分が入っている予防薬」を食べてしまうとアレルギー症状が出てしまいます。
同じく、「サプリメント」にも牛肉や鶏肉が含まれていることがあります。
「どこに使われているの?」と思うかもしれませんが、カプセルに鶏や牛由来の成分が使われていることがあります。
最近は犬用のお薬やサプリメントも、人と同じようにアレルギー表示されている製品が多いので、与える前にきちんと確認するようにしましょう。
どうしても「チュアブルタイプ」でないとお薬を飲んでくれないという場合は、アレルギー対応をしたピルポケット(お薬を包むトリーツ)もあるので、そういったものを利用しましょう。
いかがでしたか?
アレルギー用フードと書かれていても、わんちゃんによって合うフードと合わないフードがあります。
また、予防薬やサプリメントも何由来で作られているかまで、気を配ることが大切です。
犬の食物アレルギーでお悩みの方の参考になれば幸いです。
<参考URL>
消化とアレルギー
>https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmj/60/1/60_2/_article/-char/ja/
食物アレルギーとアトピー性皮膚炎が併発した犬の1例
>https://magazine.vdt.co.jp/2012/
<画像元>
Unsplash
写真AC
PIXaday
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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