日を追うごとに朝晩の寒さが厳しくなってきましたね。
冷え込みが厳しくなると、注意したいのがわんちゃんの泌尿器の病気です。
動物病院でもよく見かける身近な病気ですが、一度かかってしまうと再発も非常に多いため、早期発見と予防がとても大切な病気です。
寒い時期に気をつけたい愛犬の泌尿器トラブル
冬は泌尿器トラブルが多くなる季節といわれています。
理由の一つとして、気温が低いため喉の渇きを感じにくく、水分をあまりとらなくなることが考えられます。
水分量が減ると尿量も少なくなります。そのためトイレになかなか行かず、尿が長時間体の中に留まりがちです。
本来であれば老廃物や菌は尿と一緒に体外に排出されますが、尿量が減り長時間尿が留まっていると感染症や結石を引き起こすリスクが高くなります。
また水が冷たくて飲みにくい、寒さからの運動不足で喉が渇きにくいというのも、飲水量が減ってしまう原因になります。
喉が渇かない→飲水量が減る→尿量が減るというループを起こさないことが大切です。
愛犬の泌尿器トラブル!チェックするポイントは?
・頻繁にトイレに行く
・トイレを頻繁に失敗する
・排泄のポーズをとるが尿が出ていない
・少量しか尿が出ていない
・頻繁に排泄のポーズをとる
・尿をすると痛がる
・ペットシートにキラキラしたものがある
上記のような行動が見られたら、泌尿器トラブルを起こしている可能性があります。
上の画像はわんちゃんの尿の状態をまとめたカラーチャートです。
わんちゃんの飲水量に応じて尿の色は異なるため、わんちゃんに異常が起きていないかを知る一つの指標になります。
尿の色が濃い黄色だった場合、水分不足の可能性が高いので、意識的に水分を取らせるようにしてください。(透明は水分過多)
黄色の濃さが1日のうちに変わる場合は特に問題ありませんが、何日も濃い尿が続く、尿の色が黄色以外、匂いがきつい場合は泌尿器の病気か別のところに異常がでている可能性があるのですぐに動物病院で検査しましょう。
犬がなりやすい泌尿器の病気
アニコム損保が報告した保険請求額が多い泌尿器の病気は、1位が膀胱炎、2位が慢性腎臓病、3位が尿石症でした。
膀胱炎は細菌感染や結石によって膀胱が傷つけられて炎症を起こす病気です。
尿道が短く地面に触れることが多いメスに多くみられます。
泌尿器に結石ができる病気を結石症といいます。
排尿の頻度が下がると結石の原因となるミネラル成分も濃縮され、ミネラル成分の結晶ができます。(細胞の破片の周りにミネラルが付着して結晶になります。)結晶が結石へと成長していき、膀胱を傷つけたり、尿管を詰まらせてしまうこともあります。
わんちゃんの尿のPHは弱酸性から中性ですが、細菌感染をおこすと細菌の働きでアルカリ性に傾きます。尿のPHがアルカリ性に傾くと、結晶や結石ができやすくなります。
愛犬の泌尿器トラブルを防ぐためには?
尿量を増やす
泌尿器トラブルを予防するために大切なことは、飲水量を増やして尿量を増やすことです。膀胱炎や結石の元となる細胞の破片や細菌を尿と一緒に体外に排出しましょう。
いつでも新鮮な水を飲めるようにしておくことも大切ですが、冬になると冷たい水を嫌がるわんちゃんもいます。常温のお水やゆるめのお湯を用意してあげましょう。
またヤギミルクやお肉をゆでた汁など、水だけにこだわらず水分を取るようにすることが大切です。
食事からも水分を取る
ドライフードをお湯でふやかして与える、缶詰を与えるなど食事からも水分を取れるようにしましょう。
ドライフードの方が喉が渇いてしっかり水を飲むイメージがありますが、缶詰などのウェットフードの方が総合的に摂取できる水分量は多いという実験結果があります。
生活習慣を見直す
塩分が多い食事や肥満などは結石や慢性腎不全になるリスクが高めるので、食事にも気を配りましょう。
また、排泄を我慢させないように散歩の回数や運動量を増やす、トイレを常にきれいにしておくという事も大切です。
室内にトイレがある場合、トイレと水置きが近いと水を飲みたがらないことがあるので、トイレと水置き場は離してあげましょう。
泌尿器の病気は年齢が上がると増えていく傾向にあります。
一度かかると再発しやすく、重症化すると命の危険もある病気です。
泌尿器トラブルを招かないために、愛犬にこまめな水分補給をさせてあげましょう。
<参考文献>
・ネコの水分摂取量と尿量・尿比重値に関する研究 帝京科学大学紀要
・ドライとウェット 猫はどっち派? ブルーバッファロー・ジャパン株式会社
. 犬 と 猫 の 泌 尿 器 疾 患 家庭動物白書2018
・犬の尿路結石(原因、治療、予防法)【獣医師執筆コラム】
アガリクスのケーエーナチュラルフーズ
<画像元>
illust STAMPO
ICOOON MONO
Unsplash
いらすとや
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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