秋に入り、過ごしやすい季節になりましたね。
愛犬と一緒にアウトドアや川遊びを計画されている方も多いのではないでしょうか。
愛犬とのお出かけを予定している方にぜひ覚えていただきたいのが、感染症対策です。
川遊びやアウトドアで感染する可能性がある病気を知っていますか?
<目次>
犬との川遊び!レストスピラ症に要注意!
レプトスピラ症という病気を聞いたことはありますか?
レストスピラ症はわんちゃんと人どちらにも感染する細菌が原因で発症する病気です。
ネズミなどが保菌しており、細菌は尿の中に排出されます。尿がしみ込んだ土や水に皮膚や粘膜が触れることによって感染します。
アウトドアや川遊びはネズミとの接触機会も増えますし、雨などで土から菌が流れ出て水たまりや水が汚染されている可能性もあります。(水の中でも生き続ける菌です。)
わんちゃんがケガや皮膚が荒れているときは川遊びを控える、水たまりや土をなめさせないなど注意が必要です。
秋はレストスピラ症の発症が増える?!
感染症というと、滅多にかからないのではと思ってしまいますが、上図によると発生数に差はありますが多くの地域で発生していることがわかります。
2017年には大阪でレストスピラ症が疑われる症例が連続して11件報告されました。
西日本や九州では特に多く発生しているので、感染数が多く報告されている地域にレジャーに行く場合は、注意が必要です。
また国立感染症研究所の報告によると、9月の発症が最も多く、7月から10月に感染時期が集中するそう。
愛犬とのお出かけが増える夏から秋にかけては、特に注意しましょう。
犬がレストスピラ症にかかるとどうなるの?
・発熱
・食欲不振
・嘔吐
・粘膜がうっ血する
・黄疸
・ぐったりと元気がない
アウトドアや川遊びをした後、上記のような症状が現れたらすぐに動物病院にいきましょう。(潜伏期間が3~14日ほど)
軽度の場合は風邪のような症状で自然回復することもありますが、重症になると急性腎不全や肝不全を引き起こし死にいたる場合もあります。
また、急激に症状が進行し、敗血症(細菌による炎症が全身に広がり臓器に障害がおきる)でショックを起こし死亡する場合もあります。
回復した後も慢性腎不全や肝炎で治療が必要になることも多い、恐ろしい病気です。
感染した犬の尿にも細菌が排出されるため、外で尿はさせずにペットシーツにしみこませて処理をしましょう。(飼い主さんは手袋やマスクを着用して素手で触らないようにしましょう。)
「ワクチンを打っているから安心」ではない?!
レプトスピラ症にはワクチンがあり、混合ワクチンの中に含まれていることが多いです。(単品のワクチンもあります。)
しかし、ワクチンを打っているから100%安心かというとそうではありません。
レプトスピラの種類は非常に多く、250種類以上の血清型(細胞の型のこと)が確認されています。(その中で感染する確率が高い型がワクチンに入っています。)
ワクチンで予防できる病気ではありますが、その血清型にあわないと効果がありません。
インフルエンザもA型、B型があり、同じ型のワクチンを打たないと効果がありませんが、それと同じです。
2017年に大阪で集団発生したレストスピラ症の疑いがあるわんちゃんは、11頭中6頭がレストスピラ症のワクチンを受けていたそうです。
ワクチンを打っていても型が違うと感染してしまうので、100%感染から守られているわけではありません。
油断しないようにしましょう。
飼い主さんができる予防方法
血清型が多いワクチンの検討
ワクチンの中に入っている型が多いほど、予防できる確率は高くなります。
一番多いもので4種類の型を予防できるワクチン(10種混合)があります。
レストスピラ症の発生件数が多い地域では、一番多くの型を予防できるワクチンを常備してオススメする動物病院も多いです。
ただ種類が多ければ多いほど、わんちゃんにかかる負担や副作用がでる可能性も高くなるので、愛犬の体調と照らし合わせてきめましょう。
お出かけ先で感染があるか確認する
お出かけをする前に、お出かけ先でレストスピラ症の発生状況がどうなっているかを調べておくと安心です。
また、地域によって流行している型は異なります。
お出かけ先にレストスピラ症の発生が多い場合は、獣医師さんに相談して型が多く入っているワクチンを選びましょう。
獣医師さんによっては、どの型が流行してきているか、どの地域に感染が増えてきているか、いち早く情報を知っている場合もあります。
遊んだら足をしっかり洗う
レストスピラ症は皮膚や粘膜の接触で感染します。
手足を舐めて、菌を口に入れてしまう可能性があります。
感染のリスクをなるべく下げるために、遊び終わったら足や足の裏をしっかり洗って拭いてあげましょう。
自然の中に出かけると、今まで出会う機会の少なかった菌や動物に接触する機会も多くなります。
いざという時に慌てないために、かかる可能性のある感染症や予防法をしっかり覚えておきましょう。
<参考文献>
・イヌのレプトスピラ症とその対応について 大阪府獣医師会
・特集レプトスピラ症 2007年1月~2016年4月 国立感染症研究所
・大阪府内で発生した犬レプトスピラ症集団発生事例 日獣会誌
・犬レプトスピラ症予防の重要性 – 共立製薬
・犬・ワクチン種類の選択をどうするか? あすなろ動物病院
・レプトスピラのおはなし リカ動物病院
・ゾエティスジャパン バンガード®
<画像元>
illust STAMPO
ICOOON MONO
Unsplash
イラストAC
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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