熱中症はどのわんちゃんでも起こる可能性がある怖い病気です。
愛犬が熱中症にならない対策や応急処置を覚えて、いざという時にわんちゃんの命を守れるようにしましょう!
<目次>
2頭に1頭のわんちゃんが熱中症の症状の疑い
わんちゃんも熱中症にかかるという事が広く知られるようになりました。あるアンケートでは、7割以上の方が愛犬とのお出かけの際に暑さ対策をとって出かけていると答えました。
では、わんちゃんはどれくらい熱中症にかかりやすいのでしょうか。
飼い主さん567人に「ペットに対して熱中症を疑ったことがあるか?」という質問をしたところ、「ある」と答えた方は50.7%にも上りました。約2頭に1頭が熱中症の疑いのある症状を見せたことを考えると、わんちゃんは熱中症になるリスクが非常に高いことがわかります。
わんちゃんが熱中症にかかる状況
では、どんな状況が熱中症を招きやすいのでしょうか?上図は、熱中症を疑ったときの状況をまとめたグラフです。
室内は熱中症のリスクが少ないイメージがありますが、室内でも室外でも熱中症にかかる可能性があることがわかります。
また、熱中症にかかりやすい犬種や特徴もあります。
わんちゃんは体から汗をかかないので、熱の発散は呼吸で行います。そのため、呼吸がしにくいパグやペキニーズなどの短頭種、肥満や心臓病をもっているわんちゃんは熱中症にかかる可能性が高くなります。
また、地面の熱の影響を受けやすい足が短い犬種や、熱を吸収しやすい黒毛の犬も注意が必要です。
わんちゃんの熱中症の症状は?
熱中症にかかると、どんな症状がでるのでしょうか。
<初期症状>
・早くて浅い呼吸がずっと出ている
・よだれが大量にでる
・体温が高くなる(犬の平熱は37~39度ほど)
<軽度の熱中症の症状>
・ぐったりして元気がない
・フラフラしている
・目や口の粘膜が赤く充血する
<重度の熱中症の症状>
・嘔吐や下痢をする
・けいれん
・意識がない
首から肩にかけての皮膚を上につまんで、元に戻るのに3秒以上かかったら脱水症状を起こしている可能性があります。これは脱水をおこすと血液の流れが悪くなるためです。テントテストと言います。
熱中症は命に関わることもあります。初期症状で早めに気づいてあげましょうね。
獣医師が勧める熱中症対策は?
獣医師さん100人にわんちゃんの熱中症対策を聞いたアンケートでは上記のような結果になりました。
「クーラーで温度や湿度を調整する」「アスファルトを避ける」「クールマットなどの暑さ対策グッズを置く」などが推奨されました。
車での移動でクーラーを使う方が多いと思いますが、気をつけてほしいのが温度と湿度です。犬種によって多少差はありますが、わんちゃんが快適に過ごせる温度は22度~25度、湿度は50%ほどと言われています。
人では設定温度を28度に合わせがちですが、わんちゃんにとっては少し熱く感じるかもしれません。人が少し肌寒さを感じる、わんちゃんが荒い呼吸をしなくなるを目安に温度を合わせるといいですね。
知っておきたい!熱中症対策お役立ちグッズ
わんちゃんとのお出かけに持って行くと便利な熱中症対策グッズをご紹介します。
クールバンダナ・クールベスト
熱中症対策に体の熱を下げるのは効果的です。特に首には太い血管が通っているので、クールバンダナ効率的に体の熱を下げることができます。
また、直射日光を避けるために、クールベストや薄手の服を着るのもオススメです。クールベストは濡らして使うものが多いですが、吸水速乾性がいいものを選びましょう。乾くのが遅い素材だと、皮膚がムレてしまい皮膚病の原因になる可能性があります。
ペットカート
気温の高い時間に出かける場合、ペットカートを使うと熱いアスファルトの上を歩かせずにすみますし、ホロ付きであれば直射日光を遮ることができます。地面からの照り返しの熱もあるため、高さのあるものをオススメします。
ペットカートの中にも、保冷シートや小型扇風機を設置するなど、快適に過ごせる工夫をしてあげましょう。(複頭数入れるときは密着すると熱が上がるので注意)
犬用の経口補水液
人と同様に、わんちゃん用の経口補水液があります。
水分補給は基本お水で大丈夫ですが、お水をなかなか飲んでくれない、脱水症状が出ていいる、軽い熱中症の場合には、素早く水分補給ができる経口補水液がオススメです。ひとつ持っているとお出かけのときに安心ですね。
人用のスポーツドリンクは塩分も糖分も人用に調整されており、わんちゃんには不向きなため与えないようにしましょう。
※腎臓や心臓に病気があるわんちゃんは獣医師さんに相談してから使用しましょう。
※塩分が入っているので、常飲やガブ飲みさせないようにしましょう。
大きめのタオル・うちわ
熱中症になった場合は、すぐに体を冷やして熱を下げることが大切。タオルを濡らして全身をくるみ、風を送ると気化熱で早く体温を下げることができます。
もしもの時の応急処置に使えるので、準備しておくと安心です。
愛犬が熱中症になったらどうする?
外で熱中症の症状が現れた場合は、すぐに日陰に移動してください。(室内の場合は冷房の温度を低くしましょう。)
わんちゃんの体を水で濡らしたタオルでくるみ、風を送ってください。保冷剤で首や脇、内股を冷やすと早く熱が下がります。
早く熱を下げようと全身を冷たい水につけたり、冷やしすぎると逆効果です。血管が収縮して熱が下がりにくくなったり、冷えすぎた体を温めようと体の震えがおきてしまうので、注意が必要です。
意識がある場合は、水や経口補水液を与えましょう。
かかりつけ医か近くの動物病院に電話して、すぐに受診してください。熱中症が原因で緊急受診するわんちゃんの死亡率は50%ほどと言われています。
飼い主さんの応急処置で回復したように見えても後で症状が出る場合もあるので、早めに動物病院を受診しましょう。
どのわんちゃんでも起こる可能性がある熱中症ですが、予防することもできる病気です。
熱中症対策をしっかりして、楽しい夏の思い出を作ってあげましょうね。
<参考文献>
・犬と猫の熱中症に関する調査 アイペット損害保険株式会社
・ペットの熱中症対策、始めるのは何月から!? アイペット損害保険株式会社
・愛犬のお出かけ時の「暑さ・寒さ対策」はどうしていますか? コムペット
・犬の熱中症対策 どんな環境での散歩が危険 ベッツアイ
・違いを知っておこう!熱中症予防に飲んで良いもの、悪いもの
<画像元>
illust STAMPO
シルエットデザイン
Icon rainbow
ICOOON MONO
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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