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知らなかった!愛犬の皮膚病は食べ物が原因かも【動物看護師が解説】

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愛犬の健康の源であるペットフード。しかし、そのペットフードが原因で皮膚病になる可能性があることをご存じですか?

ペットフードで皮膚病になる?!

皮膚は代謝が活発な器官。そのため、食べ物の影響がもっとも現れやすい場所であるといわれています。

わんちゃんが毎日食べるペットフード。獣医臨床皮膚科の症例報告によると、ペットショップ自家製のペットフードを食べていたわんちゃんの食事を変更したところ皮膚病が改善したそうです。

わんちゃんが食べていたペットフードを詳しく調べてみると『動物性たんぱく質』が少なく、『亜鉛と銅』が基準値より少なかったそう。

ペットフードは栄養もたくさん入っていて、安心というイメージがありますが、原材料や質によっては皮膚病を引き起こす可能性があります。

亜鉛と銅が不足するとどうなるの?

亜鉛と銅が不足すると、なぜ皮膚病になるのでしょうか。

動物の体に含まれる亜鉛の約20%が皮膚に存在しているといわれています。亜鉛はタンパク質を作ったり、細胞を増やす働きがあり、皮膚の代謝には欠かせない成分なのです。そのため、亜鉛が不足すると皮膚の代謝(ターンオーバー)がうまくいかず、フケが多くなったり、皮膚にただれがみられます。

また、カルシウムやリン、マグネシウムを多く含むペットフードは亜鉛の吸収が悪くなるので、亜鉛不足になりがちです。

銅は毛の色や毛の量を正常に保つ働きがあります。そのため、銅が不足すると毛の色が薄くなったり、毛づやが悪くなる、脱毛などが見られます。

また、他のミネラル(亜鉛やカルシウム)を過剰に摂取すると、銅の吸収が悪くなるので銅不足になってしまいます。

成長期のわんちゃんは特にたくさん栄養が必要なので、亜鉛や銅が不足しがちです。成長ステージに合わせた食事選びが大切ですね!

低栄養なペットフードで皮膚病に?!

下記ようなペットフードも皮膚病になる可能性が指摘されています。

ペットフードは通常加熱して作ります。加熱によって菌を殺したり、嗜好性を高くしたり、長持ちしやすくします。

しかし、短時間で強い加熱することによって、タンパク質が変性し消化しにくくなる、必須脂肪酸の含有量が少なくなどの弊害もあります。(加工の温度が高いほど短時間で大量に作ることができます。)

タンパク質も必須脂肪酸も皮膚をきれいに保つのにかかせない成分。栄養含有量が低いペットフードを食べることによって、皮膚のターンオーバーがうまく働かないだけでなく、皮膚本来が持つバリア機能も低下するため、細菌感染もしやすくなります。

植物原料が多いペットフードで皮膚病に?!

ペットフードには、小麦や大豆などの植物原料も含まれていますね。わんちゃんのエネルギー源となる栄養素ですが、含まれている割合には注意が必要です。

穀物には「フィチン酸」という成分が含まれています。血栓予防や抗酸化作用もある成分ですが、亜鉛の吸収を悪くする働きも持っています。

植物原料が多いフードはフィチン酸も多く含まれているため亜鉛不足になり、皮膚病になってしまう可能性があります。

最初にご紹介したペットショップ自家製のペットフードも動物性の原料が少なく、植物原料が多く含まれていたそう。もし、わんちゃんの皮膚や毛の状態が悪い場合は、ペットフードの原料の割合を確認してみましょう。

皮膚病というと、ノミやダニなどの外からの原因が思い浮かびますが、食べ物が原因の皮膚病もあります。ペットフードが皮膚病を作り出している可能性もあるのです。

わんちゃんの皮膚や毛の状態が気になる場合は、一度ペットフードを見直してみることも大切ですね。

<参考文献>

・アジア動物スキンケア検定 公式テキスト 動物スキンケア実践ガイド/岩﨑 利郎 (著)

・臨床栄養学 獣医学教育モデル・コア・カリキュラム準拠/阿部又信 (著), 左向敏紀 (著)

・動物栄養学/寺島 福秋 (著), 左 久 (著), 矢野 秀雄 (著), 阿部 又信 (著), 秋葉 征夫(著), 奥村 純市 (編集), 田中 桂一 (編集)

・動物看護のための小動物栄養学/著者/阿部 又信 監修/日本小動物獣医師会 動物看護師委員会

・肉食女子の肌は、なぜきれいなのか? 細胞から整える分子整合栄養医学のすすめ/森谷 宜 朋 (著)

・生体におけるメイラード反応の影響/公益社団法人日本農芸化学会

・化粧品とドッグフード 獣医師監修 犬の病気大百科 獣医師宿南章が病気ごとにアドバ

イス

・症例報告 ペットショップ自家製ドライフードにより生じたジェネリック・ドッグフード皮膚症の犬の1例 獣医臨床皮膚科

・ペット栄養会誌 イヌの亜鉛欠乏

・ペット栄養会誌 アミノ酸由来メイラード反応生成物の抗酸化活性および犬に対する嗜好性の検討

・食肉の消化率に及ぼす加熱の影響  青山学院女子短期大学

<画像元>

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イラストAC

いらすとや

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Unsplash

Pixabay

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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